梅雨ならではの風情・アジサイを楽しむために箱根へ
雨続きの毎日で、ユウウツな気分になりがちな梅雨の時期。ついつい旅へ出る気持ちが失せてしまっているのではないでしょうか。でも雨だからこそ楽しめる風情もあります。この季節、見逃せないのが、雨に濡れたアジサイではないでしょうか?雨がよく似合うアジサイの花
今回は箱根へ足を伸ばしてみることにしました。新宿駅から特急ロマンスカーで約1時間30分、箱根湯本駅に到着します。ここからアジサイ巡りの旅が始まります。
満開のアジサイに囲まれて箱根山内を進む
箱根湯本駅で箱根登山電車に乗り換えるのですが、この季節の箱根登山電車は、別名「あじさい電車」と呼ばれています。なぜなら、6月中旬~7月中旬にかけて、沿線に植えられた約1万株のアジサイが徐々に花を付けるから。車内から見えるその様子は、それはそれはキレイなのです。標高差があるため、1ヵ月以上に渡って長く楽しめるのが箱根のアジサイの魅力ともいえるでしょう。雨に濡れたつややかな花々が車窓に触れるほどこんもりと咲き、まるでアジサイのトンネルをいくつも潜り抜けて行くよう。うっとりと見つめているうちに、いつしか心が癒されるでしょう。
沿線に咲くアジサイをさらに楽しむなら、「アレグラ号」への乗車がおすすめ。床から天井まで続く全面ガラスを採用しているので、線路の両脇に広がるアジサイの群落が一層美しく観賞できるでしょう。
2017年6月17日~7月9日には、18時30分~22時に夜間のライトアップも開催されます。ライトアップされたアジサイは、昼間とは違った幻想的な美しさで見る者を魅了することでしょう。
じっくり鑑賞するなら、全席指定の特別電車「夜のあじさい号」(箱根湯本~強羅間片道大人310円 ※別途運賃が必要。大人片道400円。要予約)がオススメ。2017年6月17日~22日は箱根湯本駅発1便、強羅駅発1便(アレグラ号)の系2便、2017年6月23日~7月2日は箱根湯本駅発2便、強羅駅発2便の計4便が運行されます。
途中、6ヶ所のライトアップポイントでは電車内を消灯して徐行や一時停止をしたり、強羅行きでは宮ノ下駅で、箱根湯本行きでは塔ノ沢駅で、約10分の記念撮影タイムが設けられたりと、通常の定期電車と違って、お楽しみもいっぱいです!
「箱根登山電車」
・TEL:0465-32-8787(夜のあじさい号予約センター)
予約受付期間:2017年6月30日まで(月~金曜 9時30分~17時)
次ページでは、この時期にアジサイを愛でることのできるオススメスポットをご紹介します。
満開のアジサイにすっぽり包まれたお寺へ
まずはじめは、塔ノ沢駅から20分ほど歩いた山の中腹にある「阿弥陀寺」です。弾誓(たんぜい)上人により慶長年間に開山され、皇女和宮の位牌をお祀りする寺でもあります。別名あじさい寺と呼ばれていて、緩やかな傾斜のある参道から境内にかけては、約3000株のアジサイに埋め尽くされます。現住職は琵琶の名手でもあり、琵琶説法を聞くことのできる日もあるので、事前に確認してみるといいでしょう。
「阿弥陀寺」
・住所:神奈川県足柄下郡箱根町塔之沢24番地
・TEL:0460-85-5193
・参拝時間:8~17時
・拝観無料
・箱根登山鉄道塔ノ沢駅から徒歩20分
あじさい展で珍しい品種に出合う
次に訪れたのが、箱根登山電車強羅駅から箱根登山ケーブルカーに乗り換えて、公園下、または公園上駅から徒歩1分ほどのところにある「箱根強羅公園」です。こちらは、大正3年に開園した日本初のフランス式整型庭園として知られていますが、6月中旬から7月にかけては、園内のあちこちで、珍しいヤマアジサイを目にすることができます。2017年7月2日までは、園内の特設会場にて毎年恒例の「あじさい展」を開催中。ヤマアジサイを中心に、白い品種の「富士の滝」、白から赤に変化する「クレナイヤマアジサイ」など、珍しい品種も含めた約80種・200鉢(期間中)が咲き誇ります。各種ヤマアジサイの即売コーナーもあるので、おみやげに買って帰るのもよさそうです。
園内の体験工芸館「箱根クラフトハウス」では、アジサイ色をモチーフにした吹きガラスにトライできます(コップ3560円、マグ3960円、ぐいのみ3560円、一輪挿し3560円などの各種料金にプラス540円)。
また、陶芸体験でもあじさい限定色が登場。電動ろくろ3660円~、手びねり3560円~に+540円で体験することができます。また、園内のカフェ&ショップでは、季節限定のあじさいソフトを味わうことも! まさにアジサイ尽くしですね。
「箱根強羅公園」
・住所:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300
・TEL:0460-82-2825
・営業時間:9時~17時(入園は16時30分まで) ※あじさい展は10時~16時
・定休日:無休
・入園料:大人550円
・交通:箱根登山鉄道強羅駅から徒歩5分、または箱根登山ケーブルカー公園下または公園上駅から徒歩1分
このあと、仙石原にある美術館へ足を伸ばしました。何とここでもアジサイを発見! 詳しくは次ページへ。
西洋アジサイからクリスタルガラスのアジサイまで!
箱根登山電車の強羅駅から、箱根施設巡りバス(湿生花園行き)で約17分、箱根ガラスの森バス停で下車、目の前の「箱根ガラスの森」が次の目的地です。緑溢れる園内には山並みをバックに欧風の建物が立ち並び、異国情緒たっぷり。15~19世紀の貴重な作品がコレクションされたヴェネチアン・グラス美術館や、19世紀後半以降の現代ヴェネチアン・グラスを展示する現代ガラス美術館で、多彩なガラス作品に出合える上、この時期はアジサイ庭園がさらに楽しませてくれるのです。
木立に囲まれた早川の渓流沿いに広がる庭園では、6月中旬から7月下旬にかけて、早咲きから遅咲きまで約70種・4500株が次々に花を咲かせます。なかには、一度絶滅したものの復活した幻の花「七段花」や古品種「クロヒメ」といった、ほかでは出合えない貴重な品種や、斜面いっぱいに咲く大輪のアナベルが作り出す「あじさいの滝」など、さまざまなアジサイに出合えます。
さらに、ここでしかお目にかかれない、クリスタルガラス製のアジサイ「オルテンシア」も必見! 一粒ごとに丁寧にカッティングされた一万粒余りのクリスタルガラスが、風に揺れて煌めく様に思わず見入ってしまうでしょう。
園内の体験工房では、ガラスを溶かして接合するフュージング、砂を吹きつけて模様を彫るサンドブラスト体験を通して、アジサイをモチーフにした作品にトライできます。
さらにミュージアムショップでは、アジサイのアクセサリーやミニチュアのオルテンシアなど、アジサイにちなんだガラス製品も見つかります。自分へのごほうびに、友人へのギフトにピッタリですね。
「箱根ガラスの森」
・住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原940-48
・TEL:0460-86-3111
・営業時間:10:00~17:30(入館は17:00まで)
・定休日:毎年成人の日の翌日から11日間は休館
・入園料:大人1500円
・交通:箱根登山鉄道強羅駅から箱根施設巡りバスで約17分、箱根ガラスの森バス停下車、徒歩1分
帰りは箱根湯本駅でアジサイにちなんだお土産を
箱根湯本駅から帰る直前のお土産探しに便利なのが、駅構内にある「箱根の市」。各種お土産が揃うなか、アジサイシーズンには、アジサイにちなんだお土産が期間限定で販売されています。その中から、いくつかご紹介したいと思います。まずは、ピンク色が可愛らしい、ひと口サイズの黄身時雨「あじさいしぐれ」です。甘すぎず口溶けの良い食感で人気です。お茶請けにも良さそうですね。
「紫陽花の里」は、アジサイの絵柄がデザインされたゴーフレット。サクサクとした薄生地の間にバニラクリームをサンド。軽い口当たりでお土産に喜ばれそう。
そして見た目がアジサイそのもので、食べてしまうのが惜しいほどの「あじさい金平糖」。アジサイの花びらを模して、それぞれ複数の色が混じり合っているのがポイントです。
「箱根の市」
・住所:箱根湯本駅構内
・TEL:0460-85-7428
・営業時間:8:30~21:00
・定休日:無休
さらに駅構内の「箱根カフェ」でも、数量限定の紫陽花パンが登場。鹿児島産紅芋を使った餡とパン生地を包み込むように焼き上げた、アジサイを思わせるフォルムが特徴です。ドリンクとともにイートインもよし、帰りの車内でおやつ代わりにいただくのもいいですね。
「箱根カフェ」
・住所:箱根湯本駅構内
・TEL:0460-85-8617
・営業時間:8:00~19:00
・定休日:無休
いかがでしたか? ひとことでアジサイといっても、本当にさまざまな品種があって、アジサイのイメージが180度変わりますね。クリスタルガラスのアジサイは見られるのも、箱根ならではですね!