箱根はバラエティ豊かな個性派ベーカリーの宝庫

首都圏からほど近い観光地、温泉地として人気の箱根。さまざまな魅力があるなか、パン好きの私は箱根を訪ねると必ずといっていいほど、パンをお土産に買ってきます。創業100年を超える老舗店からロケーション抜群のニューフェイスまで、店舗ごとにバラエティに富んだ商品を揃えていて、何度訪れても楽しい。今回は私も通う5つのベーカリーをご紹介します。

<INDEX>
  1. ベーカリー&テーブル箱根
  2. 箱根ベーカリー 箱根湯本本店
  3. 渡邊ベーカリー
  4. ベーカリー&スイーツ“PICOT”
  5. ベーカリー&デリカテッセン 箱根カフェ

芦ノ湖を望む足湯テラスが特等席「ベーカリー&テーブル箱根」

まず始めにご紹介するのが、芦ノ湖畔にある「ベーカリー&テーブル箱根」。創業は2013年と比較的新しいものの、今や芦ノ湖のランドマーク的な存在です。こちらは、昭和12年(1937)創業の日本における高原リゾートの草分け「赤倉観光ホテル」(新潟)に伝わるパンづくりを受け継いでいます。
外観

2階かカフェ、3階はレストラン

芦ノ湖に面した入口の脇には、湖を一望できる足湯テラスが設けられています。ここではベーカリーでテイクアウトしたパンや、屋外テラスのパーラーのドリンクを楽しむことができます。足湯テラスはカウンター席で席数も限られるため、オープン直後が狙い目。
足湯テラス

足湯テラスからは芦ノ湖が目の前に

1階ベーカリーのショーケースには、奥の工房で焼きたてのパンがズラリ。希望のパンを伝票に書いて購入するシステムですが、飛ぶように売れていき、パンの種類が次々に変わっていきます。1日をかけて約70種類ほどが並ぶそう! 季節のフルーツや野菜を使ったパンも登場します。
1階ベーカリー

1階ベーカリーでは1日に約70~80種のパンが並ぶ

定番商品の中から、お気に入りをご紹介します。まずは基本のクロワッサン。小ぶりですが、バターの芳醇な香りとほんのりとした甘みが感じられ、外はカリッ、中はしっとり。アップルパイは生地がサクサクでリンゴの甘煮はナチュラルな甘さ。軽い食感でペロリといけます。
アップルパイ、クロワッサン

左/アップルパイ300円、右/クロワッサンH180円(いずれも性別)

キューブ型がかわいい箱ねは、デニッシュ生地にレンコン、ゴボウ、ニンジンがゴロゴロと入り、食べ応え充分。ショコラクランベリーもチョコレート、クランベリー、ナッツが生地からはみ出さんばかり。甘さ控えめの大人味です。
箱ね、ショコラクランベリー

左/箱ね200円、右/ショコラクランベリー290円(いずれも税別)

東府や米粉のカレーパンは、表面にライスクリスピーがプチプチと付き、もっちりとした食感。中には卵が丸ごと1個入り、ボリューム満点!
カレーパン

東府や米粉のカレーパン320円(税別)

 そして、塩パン。バターがたっぷり練り込んであるので、風味が濃厚。岩塩がまろやかな塩味を醸し出して美味。パンの底に溜まったバターがカリッと焼けた部分は、バター好きにはたまりません。クリームパンのバニラビーンズを使った自家製カスタードは、卵の風味が濃厚で丁寧に作られているのが分かります。パン好きとしては、並んでいるパンを全部制覇してみたいほど、どのパンも魅力的です。
クリームパン、塩パン

左/クリームパン190円、右/塩パン100円(いずれも税別)

ちなみに、2階がカフェ、3階がレストランで、いずれも大きな窓越しに芦ノ湖を一望。パンやガレットの食事メニューもおすすめなので、まだ別の機会にご紹介できたらと思います。
芦ノ湖

3階のカウンターから見た、一枚の絵のような芦ノ湖

ベーカリー&テーブル箱根
・住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根字御殿9-1
・TEL:0460-85-1530
・営業時間:ベーカリーとパーラー10:00~17:00、カフェ8:30~16:30LO、レストラン11:00~17:00LO ※土日祝は9:00~10:00LOに朝食提供あり
・定休日:無休
・交通:箱根湯本駅から箱根登山バスで元箱根港または箱根町行きで約34分、元箱根港バス停下車、徒歩すぐ
 

トロトロのラクレットチーズトーストに悩殺「箱根ベーカリー 箱根湯本本店」(閉店)

2019年4月、箱根湯本ホテル本館の取り壊しに伴い、惜しまれつつ閉店しました。現在は箱根湯本ホテル売店で一部商品を取り扱うほか、駅併設の小田原店(小田原駅西口構内)、三島店(三島駅北口構内)で主な商品を取り扱っていますので、そちらをチェック!

※以前配信した記事はこちら↓

須雲川に沿って続く滝通りの「箱根ベーカリー本店」は、「箱根湯本ホテル」直営のベーカリー。パンの美味しさに定評があり、小田原駅などにも支店を展開しています。こちらは2年前にリニューアル。イートインスペースとイートインメニューが加わりました。
湯本川

湯本川に沿って奥湯本方面へ

箱根湯本駅から歩くと20分強かかりますが、美しい川面を眺めながら進むと気持ちがいいものです。
外観

大きなガラス窓から自然光があふれる

入口の横にはテラス席も設けられていました。店内は吹き抜けで開放感があり、窓越しに周囲の緑を取り込みます。
店内

天井が高く開放感のある店内

まず、イートインの人気メニュー、ラクレットトーストをいただくことに。オーダーすると、大きなラクレットを直火であぶり、とろとろのチーズを目の前でたっぷりかけてくれます!
ラクレットを直火で

ラクレットを直火であぶって乗せてくれます

かけたてをいただくと、トロトロに糸を引き、美味しい~! ラクレットは別名「ハイジのチーズ」といわれるチーズ。シンプルなチーズトーストにも関わらず、食パンの美味しさも手伝って人気の高さに頷けました。
ラクレットチーズトースト

ラクレットチーズトースト(サラダ付き)850円(税別)

使用される食パンは「芳醇生クリーム食パン」の4枚切り角型。販売もされていましたが、外がカリッ、中がもっちりの食感は、4枚切りだからこそ成せる技。生クリームを使用することにより、コクと風味、しっとり感が増すのだそう。一方、山型はふんわり感が味わえます。
芳醇生クリームパン

芳醇生クリームパン

こちらのクロワッサンはビッグサイズ! 独自の練り方を採用しているそうで、生地の引きがいいのが特徴。バターは色々試した結果、北海道産の低温熟成牛乳と生クリームで作られたフレッシュバターを使っているそうで、バターの甘みが感じられます。
クロワッサン

ひと際大きなサイズのクロワッサン204円(税別)

パン職人さんに話をお聞きしたところ、自家製のライ麦からおこした天然酵母を使用したり、レーズンなどはひとつ一つヘタが残らないよう手作業で選別するなど、手間をかけて仕込みを行うのがモットーだそうです。
セーグルレザン(ハーフ)

セーグルレザン(ハーフ)352円(税別)

セーグルレザンの場合、ライ麦と全粒粉使用のカンパーニュ生地に山葡萄とクルミが練り込まれているのですが、スライスするとぎっしり詰まっているのが分かります。そしてずっしりと重い。砂糖不使用で自然な甘みと酸味が広がります。「入れ過ぎかもしれませんが、薄くスライスして食べて欲しくて」と語る職人さんに、パンへの深い愛を感じずにはいられませんでした。
箱根山 龍神あんぱん

「九頭龍神社本宮」の月次祭に奉納されている箱根山 龍神あんぱん158円(税別)

箱根ベーカリー 箱根湯本本店」(閉店)
・住所:神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋184(箱根湯本ホテル本館1階)
・TEL:0460-85-8876
・営業時間:9:00~17:00(LO16:30)
・定休日:無休
・交通:箱根湯本駅から徒歩20分、または旅館組合シャトルバスBコース(早雲通り方面行き)で約5分、天成園バス停下車、徒歩3分

箱根ベーカリー 小田原店
・住所:神奈川県小田原市城山1−1−1
・TEL:0465-20-1126
・営業時間 : 7:00~21:00 
・定休日:無休

箱根ベーカリー 三島店
・住所:静岡県三島市一番町16-1
・TEL:055-986-7338
・営業時間 : 6:30~20:00 
・定休日:無休
  

老舗店なのにアイデア豊富で美味しさも太鼓判「渡邊ベーカリー」

観光地にありながら、昔ながらの町のパン屋さん、といった懐かしい風情を漂わせる「渡邊ベーカリー」は、国道1号宮ノ下交差点からすぐにあります。創業は明治24年(1891)。この地で126年も愛され続けている老舗店です。
外観

外のベンチでパンをいただくもよし

温泉井戸

お店の前の井戸からは温かな温泉が

渡邊ベーカリーの名物といえば、言わずと知れた、温泉シチューパン。久しぶりにいただきましたが、外側カリッ、中はふわふわのパン生地の美味しさもさることながら、じっくり煮込んだビーフシチューもなかなかの美味しさ。サラッとしたシチューの中に、ほろほろと崩れる柔らな牛肉、ニンジンやジャガイモがゴロッと入り、幸せな気分に!
温泉シチューパン

温泉シチューパン575円(税別)

この日は、温泉シチューパン用のフランスパンも販売していました(販売時期や時間は不定期)。パン自体がかなり美味しいので、中身をくり抜いて自宅で真似てみるのもいいかも! 
温泉シチューパン用のフランスパン

温泉シチューパン用のフランスパンが販売されることも

温泉シチューパン以外にも、他店にないユニークなパンが多いのがこちらの魅力。私のお気に入りの筆頭に上がるのが、梅干あんぱん。見た目は普通のあんぱんですが、中を割ると、こしあんの中に曽我の梅干が種ごと入っていて、甘じょっぱさがクセになります!
/梅干あんぱん、左/ジューシー丸ごとみかん

右/梅干あんぱん、左/ジューシー丸ごとみかん

ジューシー丸ごとみかんは、小田原の農家直送の温州みかんを使った季節限定商品(温州みかんがなくなり次第、販売終了に)。ラム酒に漬け込んだ温州みかんをカスタードクリームが包み込み、大人の味わい。絶妙なバランスに驚かされます。いずれも外見からは想像のつかない味なので、ぜひ食べてみて欲しいです。
ジューシー丸ごとみかん

ジューシー丸ごとみかんの中身は、こんな感じ!

もうひとつのお気に入りが、箱根温泉村のたまごパン。こちらは、丸ごと1個のゆで玉子をタルタルソースが包み、ありそうでなかった味。
箱根温泉村のたまごパン

箱根温泉村のたまごパン240円(税別)

パン棚には、季節商品も含めて常時30~40種くらいがズラリと並びます。イートインコーナーは10席ほどしかないので、行列ができることも。調理パンもなかなかユニークで、フキの佃煮をトーストに挟んだキャラブキサンドは、甘辛いタレがトーストと相性が良く、おすすめです。
パン棚

見ためは素朴、なのに奥が深いパン達

渡邊ベーカリー
・住所:神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下343-3
・TEL:0460-82-2127
・営業時間:9:30~17:30(10~3月は~17:00)
・定休日:水曜、第3火曜
・交通:箱根登山鉄道宮ノ下駅から徒歩8分
 

富士屋ホテル直営のベーカリー「ベーカリー&スイーツ“PICOT”」

宮ノ下といえば、箱根を代表する老舗ホテル「富士屋ホテル」のお膝元。ホテルは2018年4月から2020年春の2年間、改装のため休業に入るのですが、直営ベーカリー「ベーカリー&スイーツ“PICOT”」は営業を続けるそうで、休業中も引き続きホテルメイドのパンを味わうことができます。
外観

ホテルの建物と独立して建っています

こちらのお店では、ホテルのメインダイニングで提供されている食パンやクロワッサンといったパンのほか、ケーキやプリン、パイなどの各種スイーツ、そしてホテルオリジナルジャムやドレッシング、レトルトカレーやスープに至るまで、幅広いアイテムを扱っています。
内観

ピコット本店の内観

パンやスイーツはショップの奥の工房で毎日、伝統製法により作られています。大きなガラス窓を通して、ケーキのデコレーション風景などを眺めることもできます。
パティシエ

店内ではパティシエの作業を垣間見ることも

こちらのパンは、箱根の天然水と、代々受け継がれる伝統製法が美味しさの秘密。なかでも長きにわたり人気No.1の座を誇っているのが、クラシックカレーパン。メインダイニングルーム「ザ・フジヤ」で提供されているカレーの味に限りなく近づけているそうで、カリッと揚がったほのかな甘みを感じる生地の中に、スパイシーなカレーがたっぷり。小腹が空いたときのおやつに良さそう。
クラシックカレーパン

クラシックカレーパン

人気No.2の食パンは、代々受け継がれてきた伝統のレシピで作られていて、長年のファンが多い商品です。ホテルのレストランのサンドイッチやフレンチトーストなどのメニューに多用されています。柔らかすぎず歯ごたえを残すため、強力粉と中力粉をブレンドしているとか。少し厚めに切ってトーストして食べると絶品!
食パン(1斤)

人気No.2の食パン(1斤)

りんごの形をモチーフにしたりんごパンは、可愛らしさもあって女性に人気。じっくり煮込んだリンゴとカスタードクリーム入りで、酸味と甘みのハーモニーが楽しめます。
りんごパン

人気No.3のりんごパン

一方、スイーツの人気No.1は、著名人にも愛されてきた伝統のアップルパイ。サクサクのパイの中にじっくり煮詰めたシナモン風味のリンゴがたっぷり! クラシカルな味わいで、テイクアウトもいいけれど、ホテルのティーラウンジでいただくと優雅な雰囲気もプラスされて格別の味に感じられるはず。
ホールアップルパイ(大)

ホールアップルパイ(大)

ショーケースの中には、懐かしいビジュアルのレモンメレンゲパイも! 堅さのあるイタリアンメレンゲにチェリーの砂糖漬けやマジパンがトッピングされ、かわいい。メレンゲの下には、レモンクリームの上にレモンリキュールを含ませたスポンジが乗り、レモン風味が際立ちます。
レモンメレンゲパイ

レモンメレンゲパイ400円(税別)

ベーカリー&スイーツ“PICOT”
・住所:神奈川県足柄下郡箱根町宮ノ下359
・TEL:0460-82-5541
・営業時間:8:30~18:00
・定休日:無休
・交通:箱根登山鉄道宮ノ下駅から徒歩7分
  

箱根の玄関口 箱根湯本駅構内で便利「ベーカリー&デリカテッセン 箱根カフェ」

最後にご紹介するのが、箱根湯本駅改札横にある「ベーカリー&デリカテッセン 箱根カフェ」。ロマンスカーの出発前や到着後の利用に便利です。
外観

箱根カフェの外観

イートインスペースが広いのが特徴で、ワイドに取られたガラス窓越しにロマンスカーや箱根登山電車の発着が見下ろせるので、鉄道ファンや小さな子連れにも喜ばれそう。
パンとコーヒー

パンとコーヒーで気軽に朝食も◎

入口右手のパン棚には、常時45~50種類ほどの焼きたてパンがずらり。併設された工房で作られたパンが並びます。ソフト系、ハード系、デニッシュ、惣菜パン、サンドイッチなどがバランス良く揃うなか、人気No.1がクリームパンだそう。ミルク生地にクランべリーを練り込み、クリームチーズを包んだクランベリーフロマージュ200円(税込)も、オープン以来人気です。
人気のパン達

人気のパン達

極太フランクをパイ生地で包み、ペッパーをかけたペッパーフランクは、スパイシーでビールに合いそう。
ペッパーフランク

ペッパーフランク230円(税込)

フランス・ブルターニュの地方菓子、リンゴのファーブルトンは、しっとりとした生地にアプリコットジャムがたっぷり塗られ、濃厚な風味に。
リンゴのファーブルトン

リンゴのファーブルトン180円(税込)

2019年4月に開業10周年を迎え、2020年3月31日まで記念商品を発売中。ごま、ココア、プレーンの3種の生地を編み込み、箱根寄木細工に見立てた「寄せ生地細工パン」や、小田急 山のホテルオリジナルビールから作った天然酵母を使用した「箱根カフェ ホップスブレッド」、湯だね食パンの生地にスイートバターを折り込んで年輪に見立てた「年輪パン」などが期間限定で発売されているのでチェック!
寄せ生地細工パン1個130円(税込)

寄せ生地細工パン1個130円(税込)

 
箱根カフェ ホップスブレッド1本500円(税込)

箱根カフェ ホップスブレッド1本500円(税込)


パンとともに味わいたいのが、常時8~10種類が揃う洋風デリ。系列ホテルのシェフがプロデュースするだけあり、ホテルのデリカテッセンを思わせるものばかり。訪れた日は、キャロットオレンジのサラダ、若鶏の唐揚げ、ハッシュドポテト、サーモンマリネなどが、彩りよく並んでいました。
洋風デリ

洋風デリは常時8~10種類を用意

 2019年8月からはアルコールドリンクが充実。これまでの生ビールの他にも、ハイボール、モヒート、赤・白ワインが加わりました。それに合わせて、ちょい飲みにぴったりのパンやデリも新登場。ちょい飲みしてからロマンスカーへ、またはテイクアウトしてロマンスカーでほろ酔い気分、という新たな選択肢が増えて嬉しいですね!

ベーカリー&デリカテッセン 箱根カフェ
・住所:神奈川県足柄下郡箱根町湯本707 箱根湯本駅構内
・TEL:0460-85-8617
・営業時間:8:00~19:00
・定休日:無休(不定期でメンテナンス休業あり)
・交通:箱根登山鉄道箱根湯本駅構内

いかがでしたか? 箱根のベーカリー。創業100余年の老舗店から近年オープンの新店までさまざまですが、お店ならではの素材や製法のこだわりやオリジナリティがあり、ロケーションもさまざまで、パン好きとしてはたまらない旅となりました。皆さんもパン巡りの旅、ぜひ挑戦してみてください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。