駅長室前はカメラ片手の見物客で大混雑
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貴志駅の改札口付近は、異様な熱気に包まれていた。 |
ホームへの出入り口には、木の改札口がある。本来は、そこで駅長さんが出迎えてくれるはずだったが、今日はお疲れなのかそこにはいない。代わりに大勢の人々がカメラ片手に、脇にある部屋の中を覗き込んでいる。
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カメラの放列で駅長の姿は中々拝めない。 |
どれどれと人ごみの間から一緒に覗き込むと、棚の上に寝そべっている駅長がいた。これが有名なネコの駅長「たま」なのだ。大勢の人々に見られるのは、もうすっかり慣れきったのか、逃げるでもなし実に大人しい。
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たまは、ゆっくり昼寝でもしたいらしい。 |
むしろ、見たいなら見ろといわんばかりに悠然としている。やはり駅長と呼ばれるだけあって、堂々としている。ちょっとポーズを取るように後ろを向いたり、伸びをしたりマイペースである。
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この日は雨が降っていたので、たま駅長は気分が落ち込んでいたのだろうか。 |
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駅長のポスター。たまのイラストも可愛らしくて人気だ。 |
「たま」は、もともとはこの駅の売店で飼われていた人気者だった。駅に住みついていたのだが、和歌山電鐵に代わったときに、居場所がなくなってしまったようだ。
しかし、新しい社長の粋な計らいで、なんと「駅長」に任命され(無人駅なので駅長はいなかった)、正式に駅に居座れるようになったとのことである。これが大勢の人の知るところとなり、マスコミにも登場。今や、遠方から「いちご電車」や「おもちゃ電車」に乗って見物にやってくる乗客でごったがえすようになったのである。混乱を避けるため、最近駅長室が完成。改札口に出ることもあるが、部屋の中で過ごすことも多いようだ。
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こちらは助役に任命されたネコだ。 |
なお、母親のネコともう一匹仲間がいるが、あとの二匹は、「助役」に任命されているようだ。「たま」はメスネコだが、和歌山電鉄唯一の女性管理職だとか(笑)。ただの駅長ではなく、今や「スーパー駅長」だそうだ。
見物客は、いわゆる「テツ」よりは、女性客や家族連れが多い。大阪あたりからは、和歌山のみかん狩りを兼ねた日帰りツアーでやってくる観光客もいるとか。往復はバスだが、和歌山電鐵の
「いちご電車」「おもちゃ電車」だけは、乗車しているという。結構な話ではないか。正に和歌山電鉄に福をもたらす「招き猫」といえよう。
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