いよいよ海に沿ってラストスパート
鳥羽駅に到着すると早々と名古屋行きに表示を変えて、しばしホームで休息する快速「みえ」。 |
外国人旅行客は、ほとんどが伊勢市で降りてしまい、閑散とした快速「みえ」は、いよいよ最終行程に入る。まとわり付いてきた近鉄も山の方に去ってしまい、参宮線は海に近いところを走り、次の停車駅は二見浦だ。夫婦岩で有名な二見浦(ふたみがうら)の最寄り駅らしく、JRになってから建て直した駅舎は夫婦岩をイメージしたユニークなもの。但し駅名は二見浦(ふたみのうら)と読み方が異なる。
参宮線唯一のトンネルを抜け、小さな松下駅を通過、その次の臨時駅池の浦シーサイドをかすめると、いきなり海の景観が車窓に飛び込んでくる。海といっても外洋ではなく、志摩半島のリアス式海岸なので、複雑な海岸線が目を楽しませる。右に左にカーブしながら海岸線を快走する。一瞬ではあるが、海の中に造られた堤防の上を走る場面もある。
飛び出した入り江の先には立派なリゾートホテルも見える。海沿いの観光地らしい情景が展開する。この車窓を見るために、わざわざ快速「みえ」に乗ったのだが、その選択は正しかったようだ。商船学校の波止場に停泊する練習船の姿も見えると、終点の鳥羽は近い。突然、頭上を線路が跨いで、海沿いに近鉄が寄り添う。そのまま一緒にしばらく走ると鳥羽駅の構内に入っていく。名古屋から、およそ1時間45分の旅は終わった。
鳥羽駅とその周辺
JR鳥羽駅は終点の行き止まりの駅である。広くて長いホームを持て余し気味で、それに較べると、4両ないし2両編成の快速「みえ」は小さく見える。あっという間に乗客がいなくなってしまうとホームは閑散としてしまった。一方、すぐ隣の近鉄ホームは、ひっきりなしに電車が行きかい混雑している。JR側の駅前には人もまばらな商店街があり、ぽつんと立っている鳥居が淋しげだ。
近鉄側に渡ると、駅前も大きく観光バスが発着している。その先は、もう海だ。海岸には公園があり、イルカが踊ったような形の噴水が鳥羽らしい。その向こうには沖に浮かぶ島が見えるが、そこにはホテルやレストランもある。賑やかなリゾート地で過ごした後は、その気分を引きずった近鉄の特急「伊勢志摩ライナー」や豪華観光特急「しまかぜ」などで帰るのがふさわしいかもしれないと思った。
関連サイト(海が見える鉄道旅行)
海を眺める観光列車『みすゞ潮彩』の旅