夏にオススメの鉄道旅行の舞台は北海道。特に今年は7月に洞爺湖サミット開催とあって、俄然注目の地域だ。中でも、最果て旅情を感じる道北や道東がいい。今回は、車窓風景のバラエティに富んでいる釧網本線の旅をご紹介しよう。沿線には釧路湿原や、洞爺湖で人気沸騰の北海道の湖の中でもメジャーな摩周湖、屈斜路湖があり、見所には事欠かない。
釧路駅を起点に釧網本線を旅する
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釧路駅の玄関口。広場にあるSLの動輪をイメージしたモニュメントが印象的だ。 |
JR釧網(せんもう)本線とは、釧路と網走を結ぶ路線という意味で命名された線名だ。正式には、網走から東釧路に向かう列車を下りとしているが、今回は、線名のように釧路を起点とする旅にしてみた。
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釧路駅の自動改札。日本最東端の自動改札と言われている。 |
釧路駅は、札幌とを結ぶ特急列車が発着する道東のターミナル駅だ。そのせいもあって改札口には自動改札機もある近代的な造りとなっているが、おそらくは日本で一番東にある自動改札機といわれている。釧路は根室本線の駅であり、釧網本線の列車は、一駅だけ根室本線を走って釧網本線に入っていく。
釧路駅は、観光名所の釧路湿原が近いこともあって、ここがスタート地点となる「ノロッコ号」も運転されている。シーズンともなると観光客で賑わうのだが、今回は、ごく普通の列車で旅をしてみよう。
網走行きの列車で出発!
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釧路駅のホームで出発を待つ網走行きディーゼルカー |
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車内のシートはゆったりしたものに改造されたが、窓との関係がちぐはぐになってしまった。 |
網走行きの列車が、ホームに入ってきた。列車といっても、僅か一両のディーゼルカーである。ステンレスの地肌に赤いストライプが入った都会的な恰好の車両だが、中へ入ると車内は真ん中の向かい合わせの四人掛け席を境にすべての座席が中央に向くように配列された俗称「集団見合い」型シートだ。
但し、シートの間隔と窓の配置が合っていないので、座席によっては窓に視線を向けると、窓と窓の間の壁を見つめることになる面白くない構造だ。座席だけをあとから改造したからだろう。ともあれ、空いているうちに外がよく見えて座席が進行方向を向いた左側の席を確保した。列車は、定時に、ほどほどの混み具合で出発となった。
次のページで列車は釧路川を越え、いよいよ釧路本線の旅へと進む。