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東京「枝線」紀行【4】西武・豊島線(2ページ目)

路線図を眺めていて気になるのが、本線からちょっとはみ出した「枝線」。用がなければ乗らないそんな「枝線」を、あなたの代わりにガイドが探訪します。シリーズ第4回は、西武鉄道・豊島線です。

執筆者:高橋 良算

広いプラットホームと臨時改札口

豊島園駅
終着・豊島園駅のホームは広い
それにしても広いプラットホームである。多くの行楽客を捌くために広く造ったのかと思ったが、かつては2つのホームだったそうだ。

そのホームとホームの間の線路を1本埋めてひとつのホームにしたのである。たしかに上家(屋根)がそれを思わせる形をしているし、コンクリートにも継ぎ目のようなものがあった。

豊島園駅臨時改札口
臨時改札口のラッチはどこか懐かしい
ホームからゆるやかに続くスロープを下っていくと、通常の改札口の横に、行楽地の駅のシンボルともいえる「臨時改札口」がある。

遠足の団体なんかが利用するわけだが、そのラッチは金属製のパイプを曲げてつくられたもので、どことなく懐かしい味のある形をしている。金属には冷たいイメージもあるけれど、自動改札機ばかりになった今、それですら貴重な駅のアイテムなのだ。

豊島線も豊島園駅も練馬区内

豊島園駅前
休日を過ごす人々でにぎわう豊島園駅前
としまえんは、1927(昭和2)年に全面開園した古い遊園地だ。豊島線は、武蔵野鉄道(西武鉄道の前身)豊島園線として同年に開業している。

現在は豊島線も豊島園駅もとしまえんもみんな練馬区にあるが、当時このあたりは、東京府北豊島郡上練馬村と呼ばれていた。後に練馬区が23番目の区として板橋区から分離独立したのは、昭和22年のことだ。

豊島園駅前
ビルやマンションに囲まれた駅前広場
1991(平成3)年に都営地下鉄12号線(現在の大江戸線)が部分開業してこちらにも豊島園駅ができた。それ以降、この駅前もずいぶん変わったようだ。シネコンの大きなビルができたし、スターバックスとかマクドナルドとかコンビニ、トイザらスや日帰り温泉施設まで揃っている。

後輩の大きなビルやマンションたちに取り囲まれ、今では一番背の低い建物になってしまった駅舎に、すでに陽光は届いてなかった。

豊島園駅を後に、練馬駅まで歩いてみる

としまえん
としまえんの入場ゲートは駅からすぐ
駅舎を出ればすぐにとしまえんの入場ゲートがあり、奥のほうにはジェットコースターの線路も見えている。色づき始めの葉をつけた木々も多い。わずかではあるが、かつての武蔵野の面影を残している場所なのかもしれない。

としまえんには、たぶん3回ほど来たことがあると思う。でも今回は遊びに来たのではないから、休日を過ごす人々を横目に、歩いて練馬駅へ戻る。別に電車で帰ってもいいのだが、わずか1kmだし、歩いてみたかった。

駅を離れて表通りへ出る。来る時にバスで通った道で「豊島園通り」と名前が付いている。この通りは線路と並行しているけれど線路は見えない。途中で住宅地の路地を入ってみると、すぐに豊島線の踏切があった。

西武豊島線の電車
カーブを曲がった先はもう練馬駅だ
ちょうどカーブの入口あたりに位置する踏切だった。豊島園駅に停車中の電車がすぐそこに見えている。ちょうど発車のベルが鳴っていて、まるでホームにいるかのようによく聞こえる。電車はすぐに近付いてきて、モーター音が目の前を通り過ぎたかと思うと、もうカーブの向こうへ消えた。


歩いて練馬駅へ戻り、しばし思い出をたどろうと試みる。 >>
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