浜小清水発「DMV2号」試乗記
DMVは浜小清水駅に発着 |
出発駅に「鉄道の駅」と「道の駅」が共存している、というのがいかにもDMVらしいですが、同時に、車社会に置かれたローカル線の現状を象徴的に示しているようにも思えます。
線路の向こう側にあるDMV専用発着場で、黄色く塗られたDMVと初対面。マイクロバスの前部に、鉄車輪を格納する部分が突き出したスタイルが特徴的です。
入念に仕業点検をする運転士さん |
点検が済むと、今度はバスの運転士が車両を一周させてきて、乗車開始。
思っていた以上に狭い、というのが車内の第一印象。背が高い方なら天井に頭がついてしまいます。座席も通常の鉄道車両より窮屈ですね。そもそもマイクロバスというのは、長時間乗車することを想定した車両ではないのでしょう。もちろんトイレもありません。
十分な荷物棚もありませんので、大きな荷物がある場合は車いすスペースのあたりに置くよう指示されます(もちろん、車いすの方が乗車する場合は置けません。なお、浜小清水駅にコインロッカー等はありません)。
パンフレットや記念品などが配られ準備が完了すると、いよいよ出発です。
バスから列車へ、華麗なる「モードチェンジ」
出発を待つDMVの横を通過する普通列車(浜小清水駅) |
鉄道の運転士に交代した後、線路走行用の鉄車輪を下ろします。前部の車輪を下ろすと、車両の前部が上に持ち上がった格好になります。外から見ると結構角度が付いているように見えますが、実際に乗っているとほとんど傾斜は感じません。このモードチェンジ自体は十数秒程度で済むのが特徴。注意していてもほとんどわからないくらいでした。
その後運転士さんが「列車停止位置目標まで移動!」と言って警笛を鳴らします。本来ならここで「プワァン」という鉄道の警笛が鳴るわけですが、この車両はバスなので、自動車の「プー」という音。真剣にやっている運転士さんには悪いのですが、意表をつかれて何だかちょっと笑ってしまいました。
線路に入るには「閉塞カギ」がカギ
運転士から係員へ、閉塞カギの受け渡し(藻琴駅) |
鉄道運行の基本に「閉塞」という考え方があります。これは、線路を一定の区間で区切り、その区間(閉塞区間)には常に1列車しか入れないようにすることで、正面衝突や追突を避けるという、安全システムの基本中の基本です。朝の通勤ラッシュ時などに電車がつかえてしまうのも、一つ先の閉塞区間に列車がいるためです。
「閉塞」をつくり出すための方法である「閉塞方式」にはいろいろなものがあるのですが、現状のDMVはさまざまな技術的問題により、釧網本線で使われている既存の方式が使えません。
このため、DMV走行時に限り特別な閉塞方式(照査閉塞式)に変更して運行されます。モードインターチェンジで行なわれているのはその変更手続きで、完了までに約5分ほどかかります。
関係各所と連絡を取り閉塞方式を変更する(藻琴駅) |
その後、装置からカギを抜き取り、DMVの運転士に返します。なお、運転席にある決められた場所にそのカギを差し込まないと、発車できない仕組みになっているそうです。
いよいよDMVが線路を走ります! >>