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北海道&東日本パスで札幌へ!鈍行急行乗り継ぎ旅行記(4ページ目)

連続した5日間、JR東日本とJR北海道の普通列車が乗り放題の「北海道&東日本パス」。青春18きっぷでは乗れない路線にも乗れるこの切符で、上野~北海道まで鈍行と急行を乗り継いで行ってみた旅行記(前編)

執筆者:高橋 良算

関東平野を脱出、ようやく盛り上がる旅気分
黒磯8:37→9:56郡山

黒磯駅
ここまではまだまだ旅の序章(黒磯)
黒磯は、直流電化と交流電化の境目にある駅だ。首都圏を走っている直流電車はこの先に進むことができない。北へ向かうには必ず乗り換えなければならない関所のような駅で、在来線の旅行者にはよく知られている。

黒磯からの郡山行は、今年投入されたばかりの新型車両だった。ボックスシートとロングシートを折衷したセミクロスシート車両である。だが4両編成と短く、前の列車では乗り換えの跨線橋から一番遠い先頭車に乗っていたので、ボックスシートには座れなかった。

車両がどうだとか、座れたとか座れないとか、そんなことをいちいち読まされるのは煩わしいかもしれないが、ひたすら列車を乗り継ぐような旅をしていると、車両の種類や座席の確保といったことは主要な関心事の一つになってくるのである。

それに、これを読んで万一同じ旅をしようと考える人がいた場合には重要な情報にもなるので、まあご辛抱いただきたい。


さてこのあたりまで来ると、ふるいにかけられるように残ってきた旅行者の姿が目につくようになる。一人旅が多いから車内は静かだ。おそらく「青春18きっぷ」か「北海道&東日本パス」利用者であろう。自分を棚に上げて言うのもなんだが、物好きは結構いるものである。

しかし、同志とはいえ車中での過ごし方は人それぞれだ。大きな時刻表を広げている者もいれば、携帯電話でひたすらメールか何かを打っている者もいる。中には、景色などには目もくれず、一心不乱に携帯型ゲーム機のボタンを押す者もいる。

私はといえば、窓外の景色と地図を見比べながらメモなどしつつ写真も撮り、その合間をぬって居眠りもしなければならないから、実は結構忙しい。

大きな農協倉庫のある黒田原を過ぎると、八溝山地と那須連山に挟まれた丘陵地を上りはじめる。関東平野はとうとう終わったのだ。ようやく旅気分が出てくる。

豊原~白坂間の車窓
にわかに山の緑が濃くなる(豊原~白坂間)
上るといってもたいした標高ではないのだが、単調な関東平野の景色に慣れた目には、深い山中に迷い込んだように映る。サミット付近にある豊原駅のたたずまいなど、高原の駅のようだ。一度降りてみたい駅だが、なかなかその機会がない。そんな駅から、男子高校生が2人乗ってきた。

そして間もなく、長い黒川橋梁を渡って福島県に入った。上野を発って約3時間、いよいよ「みちのく」が始まったのである。札幌を前夜に出発した寝台特急「北斗星4号」とすれ違った。

「みちのく」の入口で小休止

新白河駅
いよいよ「みちのく」に入る(新白河)
新白河駅では、13分停車する。なぜそんなに停まるのかと思ったが、これは新幹線との接続をとるためであった。ほどなく乗り換え客が大勢やってきて、車内は立ち客が多数出るほどの混雑になった。そのほとんどはスーツを着た用務客風で、次の白河で下車していった。

白河市街の中心部が白河駅周辺なのに対し、新白河駅はそのはずれにある。正確には西白河郡西郷村というところで、元は磐城西郷という小駅だった。

高速道路や新幹線ができて以降、商業地の中心は新白河駅周辺に移り、旧来の商店街は空洞化しているという。ところが、新幹線が白河駅を通らなかったために、その三角屋根の名駅舎は破壊されずに済んだ。小峰城の天守閣に見下ろされるようにして建つその姿が、チラリと見えた。

白河から中高生くらいの女の子がたくさん乗ってきて、にわかに賑やかになる。窓の外には、虫取り網を元気よく振り回している子どもたちも見える。まだ夏休みは始まったばかりだ。

車内に東北訛りが聞こえるようになってきたが、若い人はあまり方言を話さない。わずかに抑揚が東北らしいな、という程度である。「◯◯◯じゃね?」「マジやばくね?」みたいな言い回し(文字で書くとわかりにくいが)は、今や全国どこでも聞ける。やっぱりテレビの影響だろうか。

その先は各駅に停車するごとにどんどん乗客が増え、ほとんど通勤ラッシュのような状態で郡山に着いた。


郡山から仙台へと旅は続く。 >>
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