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東京「枝線」紀行【2】メトロ・北綾瀬支線(2ページ目)

路線図を眺めていて気になるのが、本線からちょっとはみ出した「枝線」。用がなければ乗らないそんな「枝線」を、あなたの代わりにガイドが探訪します。シリーズ第2回は、東京メトロ千代田線・北綾瀬支線です。

執筆者:高橋 良算

北綾瀬支線が設けられた理由

北綾瀬駅
車両基地からの回送列車が停まっていた
この枝線の電車は、綾瀬~北綾瀬間のわずか2.1キロを約4分かけて走る。ということは時速30キロちょっとだからかなりゆっくりである。

「地下鉄」千代田線といっても、この区間は全線が地上の高架線。支線と本線とを直通する列車はなく、3両編成の電車が支線内を往復するのみとなっている。

そもそもこの支線は、綾瀬検車区(車両基地)への引き込み線として建設された。その後1979(昭和54)年に北綾瀬駅を設け、旅客営業が開始されている。そのため北綾瀬駅の先もまだ線路は続いていて、折しも回送列車が停止して乗務員が交代する様子が見えた。

住宅地の中の広大な車両基地

北綾瀬駅
北綾瀬駅前
駅を出て車両基地の近くまで行ってみよう。

駅前で高架線と交差する道路は環状七号線、いわゆる「カンナナ」である。子犬の散歩をする親子連れと、ベビーカーを押した若いお母さんが世間話をしている横を、高架に沿って歩く。

北綾瀬駅ができたのは、車両基地建設に対する近隣住民への見返りともいわれる。当時とは様子が変わっているだろうが、たしかに周囲は閑静な住宅地である。そのすぐそばにこれほど大きな施設ができるというのは、住民にとって一大事に違いない。

綾瀬工場
歩道橋から車両基地を遠望
車両基地の入口まで来ると、線路の向こう側に通じる歩道橋があった。電車の架線を跨ぐため、通常の歩道橋の倍の高さだ。上るのがおっくうだが、北綾瀬駅と車両基地を望むにはおあつらえ向きの展望所である。

フェンスが高い上に構内に張り巡らされた架線柱や架線がじゃまをして思ったほど見通しはよくなかったものの、綾瀬方面から延びてきた高架線が次第に高度を下げてこの車両基地へと達する様子はよくわかる。それなりに楽しめたので、満足し駅へ戻る。

居心地のよい公園で枝線を思う

しょうぶ沼公園
隣接する公園から駅を望む
今度は駅の周囲を観察。「Metro Center」と書かれた高架下には、スーパーなどが入居し有効活用されている。買い物客でにぎわっており、これだけでも、この駅を設けた意味はあったのではないかと思えてくる。

駅に隣接して公園がある。「しょうぶ沼公園」とあり、その名の通り6月中旬になると花菖蒲が咲き誇り、しょうぶまつりも開催されるという。なかなか広く落ち着いた公園で、落差4メートルという滝や、吊り橋風の橋まである。

居心地のよさに、携えてきたペットボトルの緑茶を飲みながらベンチで一息つく。

それにしても、今日この街に来たのも、こんな公園の存在も知ることができたのも、この枝線があったおかげなわけだ。かくも短いこの枝線の存在意義とは、必ずしも地元住民のものだけではなかったのである。たかが枝線とあなどってはいけない。

都会の鉄道旅行も捨てたものではないなと視線を上げると、子どもたちが元気よく駆け回る向こうに、今駅を出たばかりの綾瀬行電車がちらと見えた。



東京「枝線」紀行~通勤電車の横道へ』は、シリーズでお届けします。

◎その他の記事はこちら
東京「枝線」紀行【1】東武鉄道・大師線
東京「枝線」紀行【3】京成電鉄・金町線
東京「枝線」紀行【4】西武鉄道・豊島線



[関連サイト]
足立区 しょうぶ沼公園
花菖蒲の開花状況もチェックできます。

足立区 平成19年度「しょうぶまつり&スタンプラリー」
2007年のしょうぶまつりは、6月9日(土)、10日(日)とのこと。

レッツエンジョイ東京 北綾瀬
東京メトロのおでかけ情報サイト。

東京メトロ 電車・駅のご利用案内 綾瀬駅

JR東日本 各駅情報 綾瀬駅

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東京メトロ 沿革
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