路線図
北綾瀬支線は千代田線の枝線
地上に地下に、網の目のように張り巡らされた東京の鉄道網。その路線図を眺めていると、本線からちょこっとだけはみ出した路線を見つけることはありませんか?用事がなければ乗らない、多くの人が素通りしてしまうそんな1駅か2駅だけのはみ出し線、人呼んで「枝線」。

都会の中でそういった枝線が生まれた経緯をたどってみると、意外な事実に驚くことも。距離は短いけれど、どこか不思議で好奇心をくすぐる枝線。

シリーズ2回目は、東京メトロ千代田線・北綾瀬支線です。



ちょっと不思議な綾瀬駅

今回の枝線は、東京メトロ(東京地下鉄)千代田線の綾瀬駅から北綾瀬駅までの一駅、通称「北綾瀬支線」。

東京メトロのサイトを見ても、駅で配布されている「営業のご案内」というパンフレットを見ても、この支線に付けられた正式な路線名はなく、あくまでも千代田線の一部ということのようだ。

綾瀬駅
綾瀬駅は東京メトロの駅?JRの駅?
起点となる綾瀬駅へ向かうべく、北千住駅から千代田線の電車に乗る。地下2階のホームを発車するとまもなく地上へ出て、荒川を渡るともう綾瀬駅である。

この綾瀬という駅はなかなか不思議な駅で、JR常磐線の駅なのに、駅を管理しているのは東京メトロなのだ。そこへ、もう一方の端で乗り入れている小田急の車両がやって来たりするから、ますますややこしい。

正確には、JR東日本が東京メトロに駅業務を委託している、ということになるらしく、東京メトロの駅員しかいない。みどりの窓口などJR駅の施設はなく、JR東日本のサイトにある駅情報のページで綾瀬駅を見ると、記載内容が無人駅とよく似ている。

綾瀬駅駅名標
駅名標も独特な折衷型
駅名標も、東京メトロとJRを折衷したような、他では見られない独特の仕様である。「C19」という東京メトロの駅ナンバリング表示もあるが、よく見ると右上のところに小さく「区」と書いてある。これは東京23区内にあるJRの駅に付けられる記号で、運賃計算に関わる。建設時の経緯から、綾瀬~北千住間は運賃計算上、両者に属する区間となっているのである。

はたして綾瀬駅は東京メトロの駅なのか、JRの駅なのか、鉄道趣味的には大変興味深いのだが、一般の乗客にとっては東京メトロだろうがJRだろうが関係ないのであって、そういう十数万人が日々この駅を無意識に通り過ぎている。おそらく本記事読者の多くもその十数万人に近い立ち位置であると推察されるから、これ以上の深入りはしないものとする。

枝線に相応しい、都会の中の0番線

綾瀬駅0番線
こんなところで0番線に出会えるとは
亀有寄りにある北綾瀬方面のりばへと向かう。1・2番線の先端まで行くとようやく「北綾瀬ゆき」ホームがある。案内標示を見上げると、ホームの番号は「0」だ。なんと、0番線とは味わい深い。

0番線は、既存のプラットホームの一部分を切り欠き、本線から分岐する支線の乗降用として流用する場合などに設けられる。まさしく枝線に相応しい番線名で、わざわざ枝線を訪問しに来たような人間にとっては、最大級の演出効果を発揮する。

綾瀬駅0番線
支線用電車はワンマン・3両編成
電車が発車したばかりのホームで、幼い姉弟が遊んでいる。私が写真など撮っているのを不審そうに見ている弟君に「いつもここから電車に乗るの?」と尋ねてみる。すると「ううん、乗らない」とおっしゃる。すぐ横の常磐快速線を、JRの特急列車が駆け抜けていく。

休日の昼下がり。綾瀬駅0番線はいささかのんびりしているのだが、しかしここは都会の駅。ワンマン運転のため、ホームにはホームドアも設置されており、いわゆる「ローカル線」における0番線のような、ぞくぞくする特別な旅情とまではいかない。


とまれ、そんな北綾瀬支線ができたのにも、やはり理由があった。
その理由は次のページへ>>