地上に地下に、網の目のように張り巡らされた東京の鉄道網。その路線図を眺めていると、本線からちょこっとだけはみ出した路線を見つけることはありませんか?用事がなければ乗らない、多くの人が素通りしてしまうそんな1駅か2駅だけのはみ出し線、人呼んで「枝線」。
都会の中でそういった枝線が生まれた経緯をたどってみると、意外な事実に驚くことも。距離は短いけれど、どこか不思議で好奇心をくすぐる枝線。早速乗りに出かけてみましょう!
なお、『東京「枝線」紀行~通勤電車の横道へ』は、シリーズでお届けします。
幻に終わった鉄道路線計画を今に伝える
東武大師線
今回の「枝線」は東武大師線 |
まずは東武伊勢崎線に乗るべく、北千住駅へと向かう。JR、東武など4社5路線が集結する、大ターミナル駅だ。しかしながら、東京西部の郊外で生まれ育った私にとっては馴染みが薄い駅であり、いまだに構造がよく把握できていない。いつも乗り換えの度にウロウロしてしまう。
今回も、地下鉄千代田線のホームからエスカレーターをいくつか乗り継ぎ、やっと東武伊勢崎線のホームに出たと思ったら、そこは各駅停車が停まるホームだった。急行なら次の停車駅は西新井なのだが、各駅停車だとその間に3つも駅が挟まっている。
駅員に確かめると、ちょうど急行は発車したところだから、ここに停まっている各駅停車が先に着きますよ、と言うのでそれに従うことにした。
西新井駅の不思議な改札
改札の中に改札がある西新井駅 |
おそるおそるPASMO(パスモ)をタッチすると、料金が引き落とされた。切符を持っている場合は、ここで回収される。これからまだ乗るのに、である。しかしその理由は大師駅で下車する時にわかる。
短いホームの大師線のりば |
とはいえここは足立区である。たった一駅とはいえ、乗客はそこそこいる。沿線住民の足としてちゃんと利用されているようだ。平日の朝夕などはもっと乗客も多いのだろう。
全長1キロ・2分間、それが大師線の旅
すぐに本線と分岐する |
発車後すぐに左にカーブして潔く本線と別れると、登り坂にかかる。単線ながら1991(平成3)年に高架化されているためだ。高架に上がったら、すぐに終点の大師前駅が見えてきた。周囲の景色を眺める間もなく、電車は大きな屋根に覆われた高架駅にゆっくりと停車した。
大きな屋根に覆われた大師駅ホーム |
日中は10分間隔の運転だから、2分走って3分で折り返す、というのを繰り返していることになる。こういう列車ダイヤを専門的には「パターンダイヤ」という。さっき発車した電車は、7分後にはまた大師駅に戻ってくるのだ。
果たして、西新井駅にある大師線用改札口の存在理由とは?
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