この記号には深い意味が(車体側面の標記) |
車両形式とは、それぞれの車両を、動力装置の有無、用途、設備、重量、などにより分類したもので、すべての鉄道車両は何らかの形式に属しています。
分類方法はJR・私鉄ともあまり差はありませんが、やはり車両の種類が多いJRのものがもっとも複雑。JR各社の車両形式分類法としては、国鉄時代に定められていた「車両称号基準規定」が現在でもほぼ踏襲されています。
両数としては減りつつあるものの、国鉄時代からの車両が今も多数現役ですし、会社をまたいだ長距離乗り入れも多いJRの場合は、他社との整合性を保つためにもあまり勝手なことができないという事情もあるでしょう。ただし、JR化後に新しく登場した車両ではその限りではない分類をすることもあり、完全に統一が図られているわけではありません。
車両の運用・保守の上で重要な記号(車内車端部の標記) |
- 車体の側面中央
- 車内車端部の右上または左上
それでは、JRの車両を例に、おもな車両形式の分類をみてみましょう。
※一般の旅客が乗車できない「事業用車」の形式は割愛しました。
※JR四国は、カタカナ+数字での表記を廃止しました(国鉄時代からの車両を除く)。
電車の形式
カタカナと数字3ケタの組み合わせで表します。電車の標記例(クモハ103-77) |
- ク :運転室のある車両(制御車)
- モ :モーターのある車両(電動車)
- クモ:運転室とモーターのある車両(制御電動車)
- サ :運転室もモーターもない車両(付随車)
電車の標記例(モハ474-43) |
- ロ :グリーン車
- ハ :普通座席車
- ロネ:A寝台車
- ハネ:B寝台車
- シ :食堂車
(3)数字(3ケタ)
- 百の位=電気方式を表す1~3:直流/4・5:交直流/7・8:交流/6・9:予備番号
- 十の位=用途を表す0:通勤型/1~3:近郊型/4:事業用/5~7:急行型/8:特急型/9:試作型
※カタカナと数字の組み合わせ例
- クハ201:運転室のある普通座席車(直流区間用・通勤型車両)
- モハ484:モーターのある普通座席車(交直流区間用・特急型)
- サハ103:運転室もモーターもない普通座席車(直流区間用・通勤型)
- クモハ719:運転室とモーターのある普通座席車(交流区間用・近郊型)
- モハネ582:モーターのあるB寝台車(交直流区間用・特急型)
- サロハネ285:運転室もモーターもないA・B寝台車(直流区間用・特急型)
※JR東日本で近年製造された車両には、数字の前にEastの「E」が付けられています。
- 例)クハE231、モハE653、など
次のページでは、気動車と客車の記号をご紹介します。