福島県・群馬県・新潟県にまたがる広大な尾瀬は、首都圏からも近いため年間約32万人(平成17年度)が訪れる、言わずと知れた人気の登山・ハイキング地。
貴重な自然が数多く残り、日光国立公園の特別保護地区および国の特別天然記念物に指定されているこの地域ではマイカー規制が行われているため、アプローチには公共交通機関を利用するのが一般的です。
尾瀬への入山口は全部で6つありますが、福島県側の桧枝岐(ひのえまた)村からの入山ルートとして、この尾瀬夜行を利用することができます。
私鉄で唯一の夜行列車
浅草駅に停車中の尾瀬夜行23:55 |
わずか3時間30分ほどの所要時間とはいえ、JR以外の私鉄が運行する夜行列車としては全国で唯一の貴重な存在でもあります。近鉄についで全国私鉄第2位の営業キロ(路線の総延長)を持ち、関東圏で最も広範囲な線路網を持つ東武鉄道ならではの列車と言えるでしょう。
会津高原尾瀬口駅からは、4時00分に発車する夜行連絡バスに乗り継ぎ、尾瀬の入口である沼山峠着は6時00分頃(予定)。このように早朝に到着することによって、日帰りでも丸一日ゆっくり尾瀬の散策を楽しむことができるところが、夜行列車ならではのメリットですね。
うれしい全席ブランケット付き
若干、年季の入った尾瀬夜行の座席 |
しかし全席にブランケット(膝かけ毛布)のサービスがあります。航空機や夜行高速バスなどでは標準的なサービスですが、鉄道ではあまりお目にかかることがないもので、特に女性の方には好評のようです。
空気枕とブランケットで準備万端 |
ちなみに、栗橋駅を通過する午前1時前に車内は減光(室内灯消灯、常夜灯点灯)され、かなり暗くなります。明るい車内では眠れない、という方もこれなら十分に仮眠をとることができるでしょう。なお、女性専用車両(6号車)もありますので、希望する場合はチケット購入時に申し出てください。
尾瀬夜行に乗車するには?
この尾瀬夜行に乗車するには、事前に「東武トラベル」各支店にてツアークーポン券を購入する必要があります。このツアークーポン券は駅では発売していませんのでご注意ください。また、通常の乗車券類では乗車できません。発売は1ヶ月前から当日の17時まで。発車直前には購入できませんので、くれぐれもお早目のご用意を。◆尾瀬夜行の空席情報はこちらでチェックできます
ツアークーポン券は、「尾瀬・鬼怒川ルートパス」(往復割引乗車券)と「尾瀬・鬼怒川ワンウェイパス」(片道割引乗車券)の2種類があり、これに尾瀬夜行の割引特急券をあわせて購入する形になっています(尾瀬夜行だけでは買えません)。なお、乗車できる駅は、浅草、北千住(0:08発)、新越谷(0:21発)、春日部(0:35発)の各駅のみです。
■尾瀬・鬼怒川ルートパス(4日間有効)+尾瀬夜行の割引特急券
代金に含まれるもの
- 発駅から会津高原尾瀬口駅までの往復運賃
- 会津高原尾瀬口駅から沼山峠までの往復バス代
- 尾瀬夜行の割引特急料金
■尾瀬・鬼怒川ワンウェイパス(2日間有効)+尾瀬夜行の割引特急券
代金に含まれるもの
- 発駅から会津高原尾瀬口駅までの片道運賃
- 会津高原尾瀬口駅から沼山峠までの片道バス代
- 尾瀬夜行の割引特急料金
沼山峠口を散策の起終点にする場合は往復用のルートパスを、群馬県側に抜ける場合は片道用のワンウェイパスを利用するのが便利です。なおルートパス利用の場合、帰りの路線バスと列車は各自で選択して乗車します。復路に東武鉄道の特急列車を利用する時は、別途特急料金が必要です。
さて、ガイドがこの尾瀬夜行に乗ってみました。その模様は次のページから。