ある日の尾瀬夜行乗車記

東武浅草駅
ひときわ明るいネオンが輝く東武浅草駅
週末、金曜日の夜23時00分、始発駅である東武浅草駅へ。尾瀬夜行の改札開始は23時30分からとのことですが、すでに一見してそれとわかる人たちが集まっており、家路を急ぐサラリーマンの姿とは対照的です。改札口の上にぶら下がる列車案内標示の英語表記は「STAR LIGHT LTD.EXP.OZE」。何とも夜行列車らしい粋な英訳ではありませんか!

列車は定刻の23時55分に浅草駅5番ホームから出発。すると待ちかねたようにあちこちで缶ビールを開ける音が聞こえてきます。しかし、あと3時間30分後には列車を降りるわけですから、そうゆっくりも飲んでいられません。体力の消耗を防ぐためにも、早目に切り上げて仮眠をとった方がよいに決まっています。この列車に乗り慣れているのか、中には発車前から眠っている人もいました。

通勤電車の合間をぬって走るためか、浅草駅を出てしばらくの間はかなりゆっくり走ります。最初の停車駅北千住では10人ほど乗りましたが、この時点での乗車率は20%程度。

深夜の春日部駅
深夜の春日部駅が最後の停車駅
北千住を出ると複々線区間となり、一気にスピードを上げます。最後の停車駅春日部駅では、今までで一番多くの乗車がありましたが、それでもまだだいぶ空席が。車掌が通りがかったので、今日の乗車人数を聞いてみると、「本日は135名のお客様にご乗車いただいております」と丁寧な答えが返ってきました。定員は396名なので、乗車率は34%ということになります。まだシーズン初めだからでしょうか、今日の尾瀬夜行はやはり空いているようでした。

車内が暗くなって起きた「事件」

消灯されかなり暗くなった車内を、何かきょろきょろしながら歩いている人が。これは怪しいので意識をそちらに集中させていると、私の左斜め前の座席に腰を下ろしました。すると、あろうことか、すばやくタバコを取り出し火を付けたではありませんか!

尾瀬夜行は全席禁煙。予想外の出来事にちょっとたじろぎましたが、すぐに席を立ちその犯人のところへ行くと、そこには白髪まじりの中年男性が座っていました。

「いくらなんでもそれはないでしょう?」と言うと、「あ、すんません……」と言いながら携帯灰皿に吸いがらを隠すとさっさと向こうへ行ってしまいました。あなた、謝るってことは、初めから悪いとわかっていてやっているわけですよね?

何とも後味の悪いことです。

その後しばらくは煙が周囲に滞留して閉口しましたが、しかし、あのような人間が尾瀬へ入ったらどんなことになるのか、それを考えると空恐ろしい気がします。

未明の終着駅、そして尾瀬へ

会津高原尾瀬口駅
終着、会津高原尾瀬口駅はまだ暗い
窓外に灯りがまったくなくなり、通過する駅も消灯されていて、どこを走っているのかまったくわからなくなってしばらくした頃、新藤原駅に停車。ここから先は野岩鉄道で、乗務員交代のための停車です。時計を見ると、2時35分。10分ほどの小休止です。

野岩鉄道は比較的新しい路線で、カーブが少なく長いトンネルが多く、さっきまでとは比べものにならないスピードでラストスパート。

そして定刻3時18分、会津高原尾瀬口駅へ静かに到着。外に出れば、清々しい山の空気と、虫たちカエルたちの大合唱がお出迎え。気温は15度くらいでしょうか、半袖はやめたほうがよいですね。

ここからは、会津バスの連絡バス3台に分乗して4時00分に駅を出発、さらに約1時間30分かけて尾瀬の入口を目指します。さすがにそのほとんどを眠っていましたが、途中ふと目を覚ますと、残雪多い燧ヶ岳(ひうちがたけ)が眼前に迫り、東京からたった数時間でこんなところにいるのはちょっと不思議な感覚でした。

沼山峠口
沼山峠口は標高1,700m、尾瀬沼までは80分
ようやく到着した沼山峠口はすでに標高1,700メートル。寒いです。ここで皆さん装備を整えて、続々と尾瀬へ向かって出発して行きます。しかし尾瀬見物が本来の目的ではない私は、周囲の人たちに比べてかなり軽装。あまり山を甘く見るものではないですから、今回は入山を自粛し、山を下りるバスを待つことに。

その間、近くを散歩して過ごしましたが、もうそれだけでもかなり大量なマイナスイオンを浴び、清冽な雪解け水の中に咲く水芭蕉を眺め、相当なリフレッシュ効果が得られたようでした。



[関連サイト]

尾瀬夜行23:55(東武鉄道)

東武トラベル

TOBULAND 東武鉄道沿線情報

野岩鉄道

尾瀬保護財団

尾瀬桧枝岐温泉観光協会
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