鉄道/駅、鉄道グッズ

行き止まり駅の旅~JR新十津川駅(2ページ目)

全国の「行き止まり駅」を訪ねるシリーズ第2回は、北海道のJR新十津川駅をご紹介します。当初は行き止まりではなかった札沼線の歴史と、駅のある新十津川町の歴史に思いを馳せながら、出かけてみましょう。

執筆者:高橋 良算

終着駅らしからぬ新十津川駅

線路終端部を望む
かつてはこの先に線路が延びていた
終着駅となってから30数年を経ていますが、「終着駅の風格」というようなものはあまり感じず、それがかえってこの駅に独特の風情を醸し出しているような気がします。かつて石狩沼田まで続いていた線路がもう少し先まで続いていますが、その行く手にはまるで通せんぼをするかのようにアパートが建っていました。

駅舎もとてもこぢんまりとしたもの。とはいえ1日に3本の列車しか発着しないのですから、きちんとした建物があるだけ幸運と言って良いかもしれません。こんな小さな駅舎にも暖房用の灯油タンクが設置されていますから、かつては駅員がいる駅だったことが伺えます。

停車中の列車
発車時刻までしばし休憩
ホームから駅舎に入る入り口の上には、「歓迎 ようこそ新十津川へ」という金モールで飾られた看板があるのですが、何だかこの駅の雰囲気には不似合いな感じがしました。それに、列車で訪れる「純粋な」観光客はどれくらいいるのかなあ、とちょっと考えてしまいます。

到着した列車は約10~25分程で折り返していきますが、運転士さんもその間特にすることがなく手持ち無沙汰なのか、ホームに出てのんびりと発車時刻を待っているようでした。

新十津川の「新」にこめられた意味

ところで、この駅のある新十津川町には、こんな歴史があります。

『明治22年8月、奈良県吉野郡一帯で数日間に渡って降り続いた豪雨のため大水害が発生。壊滅的な被害を受けた十津川村を含むこの地域の600戸約2,500人の住民たちは、生活再建を求めて北海道へと移住を決意。船、汽車、そして徒歩で約1,200km離れた北海道の地へ入植、第二の故郷を建設することを誓い「新十津川村」と名付けた……』

名所案内板
どの名所も駅から遠いのが残念
この経緯は、全10巻からなる川村たかし著の児童文学「新十津川物語」によって小説化され、平成3~4年にかけてNHKがドラマ化したことにより、一気に有名になりました。奈良県の十津川村とこの新十津川町は今も交流があり、町(村)章は共通のものが使われているそうです。

「ふるさと公園」内にある「新十津川物語記念館」では、この小説について詳しく知ることもできますが、新十津川町で見るべきスポットはどれも新十津川駅からだいぶ離れているため、列車だけでは訪れにくいのがちょっと残念です。

ところで、新十津川駅を列車で訪れる方に、とっておきの裏技を伝授しましょう!
次のページへ>>
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます