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「日本一のモグラ駅」の正体とは

JR上越線の土合(土合)駅は、「日本一のモグラ駅」として有名です。果たして、モグラ駅とは一体どのような駅なのでしょうか?そして時刻表の謎の注意書きとは……?

執筆者:高橋 良算


『<ご注意>土合(どあい)駅は改札から下りホームまで約10分かかります』

時刻表でJR上越線下りのページを見ると、その欄外に、つい見過ごしてしまいそうなこんな注意書きがあります。しかし、改札から下りホームまで10分もかかるとはちょっと尋常じゃありません。自宅から最寄りの駅までだって歩いて7~8分なのに。これは確かめる必要がありそうです。

モグラ駅はトンネルの駅

土合駅は、群馬県の高崎と新潟県の宮内を結ぶ上越線の、群馬県側最後の駅。水上駅から長岡行きの普通列車に乗ると、約10分で、トンネルの中のホームに到着します。

土合駅地下ホーム
トンネルの中のホームはかなり不気味
かつて上越線は単線で、この土合駅も、その頃は地上のホームを使用していました。ところが、上越線を複線化する際、従来の線路を上り線用にして、下り線は、新しく全長13,500メートルの新清水トンネルを掘ったのです。そして1967(昭和42)年のトンネル開通と同時に、この下りホームが誕生しました。できた当時は、国鉄初の地下駅だったそうです。

このような経緯で、地下ホームと改札との間には、486段もの階段が設けられています。そんなわけで、改札から下りホームまでが遠いですよ、という冒頭のような時刻表の注意書きが必要なのでした。

地底の駅から出る試練

さて、下車したのは私一人。また物好きが来た、といった車掌の表情を残して列車が発車してしまうと、辺りには勢いよく流れる地下水の音だけが響き、まるで洞窟か鍾乳洞にいるようです。照明は付いていますが、ホームの端まで行くと薄暗く、かなり不気味。

階段
果てしなく続く地上への階段
待合室以外は何もないので、早速出口へ向かうと、眼前に階段が現れます。「天国へ続く階段」と言う言葉が一瞬浮かびましたが、下から見上げると頂上の部分は良く見えません。そして、階段の横にある立て看板には、こう書いてあります。

「ようこそ『日本一のモグラ駅』へ」

この階段は338メートル462段あります。階段を上り、143メートル(階段24段)の連絡通路を経て、改札口になります。また、この下りホームの標高は、653.7メートルあり、駅舎と下りホームの標高差70.7メートルあります。改札口までの所要時間は、約10分要します。足元にご注意してお上がり下さい。

どうやら、地上へ出るにはこの階段を上るしかないようです。

→ さあ、覚悟を決めて地上への階段を上っていきましょう!
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