都市型ストーカーの被害は避けうるか?
誰でも、いつでも、被害者当人にはわからない理由でストーキング被害を受ける可能性はあるのです。それが「都市型ストーカー」の恐ろしさでもあります。相手を特定できない、誰だかわからない、というのは大変な恐怖です。「オレは男だから関係ない」ということはありません。被害件数の1割が男性ですが、実数はもう少し多いはずです。男性でも被害に遭う可能性があることを忘れてはいけません。社会的地位や名声を傷つけられることもあります。女性にとってはもちろん、恐怖心や不快感は拭いがたく耐え難いものなのですが、「脅えるだけ」では、相手を増長させ、事態を悪化させるだけです。断固として悪質な行為を拒否する意識を持っていましょう。
都市構造の複雑性が、尾行をしやすい条件を作っているわけですが、この「尾行しやすい・されやすい」ということは、実は「尾行をまきやすい」ということでもあります。普段から、決まったルートだけを利用しないで、時折、別のルートを利用して通勤、通学するなど自分の行動や行動範囲を限定しないようにするとよいでしょう。そして自宅を特定されないように細心の注意を払いましょう。
また、他人との接触には十分注意して、小さなことでも反感を買わないように常識的な行動をとることです。日常生活においては、360度に注意を払い、自然なさりげない態度の中にも緊張感を持ち、不審人物を近づけないという強い意志を持ちましょう。
尾行やつきまとい、迷惑電話等のストーキングには早く気がつくようにして、表札や郵便物などの個人情報の管理にも気を配りましょう。どんなことにも言えることですが、「早期発見早期解決」が第一なのです。不審な出来事には敏感に、被害を悪化させないように早期に対策をとることです。各地の警察署でも相談しやすくなっていますので、事態を悪化させる前に相談することをおすすめします。
#法律ワンポイントチェック#
「ストーカー規制法」とは、特定の相手につきまとったり、嫌がらせを繰り返すストーカー行為を行った者は6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金。行為そのものをやめさせたい場合には被害者の申し出で、警察が警告や禁止命令を出すことができ、悪質な禁止命令違反の場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金。昨年11月24日に制定された。
なお、拙著
『ヘンな人、危ない人から身を守る-知的護身術のすすめ』並木書房
『父が娘に読ませたい「安全作法」の心得』中経出版
でも、具体的な対策等について記述がありますので、ぜひご参考になさってください。