ストーカー規制法施行後
警察庁の発表によると2000年11月24日に「ストーカー規制法」が施行されてから、今年の5月末までの6ヶ月間に全国の都道府県警察から報告された事案は9,142件にのぼります。そのうち、被害者の約89%は女性で、行為者は男性が88%でした。ストーカーと被害者の関係については、別れた元恋人などの交際相手が51%と約5割。離婚した元夫婦や別居中の配偶者などが14%、職場の関係者が11%などとなっています。
9,142件のうち、4,744件は、東京、大阪、神奈川、埼玉、千葉、愛知、京都、兵庫、福岡などの主要都市圏で発生しています。このうち、被害者に面識のないストーカー行為者の割合が他の県の割合が平均で7・7%であったのに比べ、平均11・8%となっており、とくに、東京16・6%、大阪15・5%と目立って高かったことが特徴といえます。
同庁によると、「人間関係が希薄な都市部で起きるストーカー行為は、匿名性に隠れて執拗になる傾向があり、被害者は一層不安になる」との危機感を強めているとのことです。
「都市型ストーカー」すなわち「面識のない人物によるストーカー被害」は、なんらかの関係がある間柄に比べると、「相手がわからない」「知らない人」という被害者にとっては予測がたたない、身に覚えがない、空恐ろしいことです。都市部で多く発生しているというのは、やはり匿名性の高さによるものでしょう。「誰にも知られずストーキングをする、その相手すら自分のことを知らない」という点は、ストーカーの陰湿さを物語っているようです。
「地域内の人は限られており、何かすれば目立ってしまい、身内にも迷惑をかけるだろう」というブレーキがかかると思われる大部分の地域に比べると、「隣人も知らない、関わりもない、多数の人が行き交い、誰も自分のことも知らない」という都市部ならではの「匿名性」は、行為者にとってはストーキングをしやすく、被害者にとっては行為者を特定しにくいという条件になります。
また、建物や店が多く、道路も複雑で、集合住宅も多い、という密集性、複雑性ともいうべき都市部の構造が「つきまとい」「尾行」「待ち伏せ」などのストーキングをしやすくしている、ということがいえるでしょう。
>都市型ストーカーの種類>
>>都市型ストーカーの被害は避けうるか?>>