老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金を繰り下げて受給額が増えた場合、所得税や住民税、健康保険料なども高くなるのかについての質問です。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
Q:年金を繰り下げて受給額が増えると、税金や健康保険料も高くなりますか?
「現在68歳で、老齢年金を繰り下げています。繰り下げ受給をすると毎月の年金額が増えますが、その分、所得税や住民税、健康保険料も高くなるのでしょうか。年金の額面が増えても、税金や保険料が増えて手取りがあまり変わらないのではないかと心配しています」(じゅんじゅんさん)

A:年金を繰り下げて受給額が増えると、所得税や住民税、健康保険料、介護保険料などの負担が増える場合があります
老齢年金を繰り下げると、65歳から繰り下げた月数に応じて、1カ月当たり0.7%ずつ年金額が増額されます。
ただし、年金の額面が増えた分が、そのまま手取りの増加額になるとは限りません。年金額が増えることによって所得が増え、所得税や住民税、健康保険料、介護保険料などが増える場合があるためです。
65歳以上の人が受け取る公的年金には、原則として110万円の公的年金等控除があります。年金収入から公的年金等控除を差し引いた金額が公的年金等に係る雑所得となり、さらに基礎控除などの所得控除を差し引いた課税所得に応じて所得税や住民税がかかります。
そのため、繰り下げによって年金収入が増えれば、所得税や住民税の負担が増えることがあります。ただし、年金額やその他の所得、所得控除などによっては、年金額が増えても税金がかからない場合もあります。
実際に税金がかかるか、どのくらい負担が増えるかは、年金額やその他の所得、所得控除などによって異なります。具体的な税額については、税務署や税理士などに確認するとよいでしょう。
また、国民健康保険料や65歳以上の介護保険料なども、所得などをもとに計算されます。そのため、繰り下げによって年金額が増えると、翌年度以降の保険料が高くなる可能性があります。75歳以降は後期高齢者医療制度に加入するため、後期高齢者医療保険料にも影響することがあります。
さらに注意したいのが、住民税非課税世帯に該当している場合です。繰り下げによって年金収入が増え、住民税非課税の基準を超えると、住民税が課税されるだけでなく、介護保険料や高額療養費の自己負担限度額などに影響する場合があります。
じゅんじゅんさんは現在68歳とのことです。仮に68歳0カ月まで36カ月繰り下げた場合、年金の増額率は25.2%(0.7%×36カ月)となります。実際の増額率は、65歳から何カ月繰り下げたかによって決まります。
繰り下げによって年金額が増えても、増えた分が全て税金や保険料として差し引かれるわけではありません。ただし、税金や社会保険料を考慮すると、額面で見た増加額と実際の手取りの増加額には差が出ることがあります。
繰り下げ受給を検討するときは、年金の額面だけではなく、税金や社会保険料を差し引いた後の手取り額も考えておくことが大切です。ご自身の年金見込額を確認したうえで、税金については税務署や自治体、国民健康保険料や介護保険料についてはお住まいの自治体などで確認するとよいでしょう。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






