日本でもビットコインETFへの道が開ける?
米国では2024年にビットコイン現物ETF(上場投資信託)が上場し、証券口座を通じてビットコインの値動きに投資できるようになりました。一方、日本では現時点で、暗号資産を直接の投資対象とするETFを国内で組成・販売することはできません。

しかし、日本でも状況は変わろうとしています。2026年7月に成立した改正金融商品取引法では、暗号資産を金融商品取引法(金商法)の規制対象とし、暗号資産を対象とする投資運用や投資助言についても金商法の枠組みに入れることになりました。
さらに、2026年度税制改正大綱では、一定の暗号資産を投資対象とする投資信託を想定した税制措置も盛り込まれています。法改正だけでビットコインETFがすぐ誕生するわけではありませんが、これまで閉ざされていた道を開くための制度整備が進んでいると考えれば分かりやすいでしょう。
ETFなら証券口座から投資できる
ETFには、日経平均株価や米国株、金などに連動するETFがあり、株式と同じように証券取引所で売買できます。
ビットコインETFも基本的な仕組みは同じです。投資家が暗号資産交換所(交換所)でビットコインそのものを購入するのではなく、ビットコインの値動きに連動することを目指すETFを証券口座から購入します。
これまでビットコインを買うには、交換所に口座を開設するのが一般的でした。ETFが国内に登場すれば、普段利用している証券会社から投資できるようになる可能性があります。交換所を利用したことのない投資家にとっては、ビットコイン投資へのハードルが下がることになります。
ビットコインを直接持つのとは何が違う?
ただし、ETFを買うことと、ビットコインそのものを買うことは同じではありません。
交換所でビットコインを購入すれば、保有したビットコインを外部のウォレットへ送ることもできます。一方、ETFで投資家が保有するのはETFの受益権であり、ビットコインそのものを自由に送金したり、決済に使ったりすることはできません。
その代わり、自分でウォレットや秘密鍵を管理する必要がありません。「ビットコインそのものを保有したい人」と「ビットコインの値動きに投資したい人」では、適した方法が違ってくるわけです。
ETFだけでなく投資信託も登場する?
今回の制度改正で注目したいのは、ETFだけではありません。2026年度税制改正大綱では、「特定暗号資産を投資の対象とする投資信託の受益権」について、株式などと同様の課税制度に組み入れるための措置が示されています。
制度整備が進めば、将来的にはビットコインなどを組み入れた投資信託が登場し、暗号資産への投資方法が広がる可能性があります。ETFで市場価格を見ながら売買するだけでなく、投資信託を通じて保有するといった選択肢も考えられるようになります。
もっとも、現時点で「いつ、どの運用会社から、どのような商品が発売される」と決まっているわけではありません。制度上の環境が整いつつあることと、実際の商品が発売されることは分けて考える必要があります。
税制改正もETF誕生への重要な一歩
ビットコインETFの実現を考えるうえでは、金商法だけでなく税制も重要です。2026年度税制改正大綱では、一定の暗号資産を投資対象とする投資信託の受益権について、一般株式等に係る譲渡所得等の課税特例の対象に加える方針が盛り込まれました。また、一定の暗号資産取引についても、20%の分離課税とする方向が示されています。
つまり、今回進んでいるのは単に「ビットコインETFを解禁する」という話ではありません。金商法による投資家保護、投資信託としての商品設計、税制という複数の制度を整え、暗号資産を既存の金融市場に取り込んでいく動きと捉えた方がよいでしょう。
ETFになってもビットコインのリスクは変わらない
初心者が注意したいのは、ETFになればビットコインが安全になるわけではないことです。
ETFという「器」に入っても、投資対象がビットコインである以上、ビットコイン価格が急落すればETFの価格も大きく下落する可能性があります。金商法の対象になることも、国がビットコインの値上がりや安全性を保証することを意味しません。
変わるのは、ビットコインそのものではなく、「投資するための器とルール」です。
日本でビットコインETFや投資信託が実現すれば、交換所だけでなく、証券会社を通じてビットコインへ投資できる時代が近づきます。これまで暗号資産に縁がなかった個人投資家にも投資の選択肢が広がるという意味で、今回の制度改正は日本の暗号資産市場にとって大きな転換点になりそうです。







