Q:年金を61歳6カ月で繰り上げるか迷っています。65歳以降も働く予定ですが、年金はいくらになりますか?
「年金を繰り上げ受給するか悩んでいます。現時点で65歳から受給できる額は年額176万6958円です。今61歳6カ月で受給しようと考えています。貯金もなく、何かあったときに使えるお金が必要なのと、元気なうちに少し楽しいこともしたいと思っています。妻は障害等級1級(永年認定)で月10万6500円もらっています。私は65歳になっても働いて頑張るつもりですが、年金は増えますか? いくらもらえるでしょうか? よろしくお願いいたします」(秋さん)
年金を繰り上げするかどうかで迷っています(画像:PIXTA)
A:61歳6カ月で繰り上げると年金は一生減額され、年額は約147万円(概算)になります。ただし65歳以降も働けば、老齢厚生年金部分が増える可能性はあります
秋さんは、65歳から受給できる年金(年額176万6958円)を、61歳6カ月で繰り上げるか検討されているのですね。貯金がなく、いざというときに使えるお金が必要なこと、元気なうちに楽しみに使えるお金も確保したいことを考えると、「早めに年金を受け取る」という選択肢が気になるのは自然だと思います。年金の繰り上げには、早く受け取れるというメリットがある一方で、多くのデメリットがあります。特に重要なのは、繰り上げ受給をすると、繰り上げた月数に応じて年金が減額され、その減額が原則として生涯続く点です。
また、繰り上げ受給は老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り上げる扱いになり、いったん請求すると取り消しができません。
さらに、繰り上げ請求後は国民年金の任意加入や保険料の追納ができなくなるほか、請求日以後に障害の状態が重くなった場合の障害年金請求(いわゆる事後重症)などにも制約が出ることがあるため、事前に注意点を把握しておくことが大切です。
秋さんの場合、61歳6カ月から受給すると、65歳までの差は42カ月です。繰り上げの減額率は1カ月当たり0.4%ですので、0.4%×42カ月=16.8%の減額となります。したがって、年額176万6958円は、概算で年額約147万円(約176万7000円×83.2%)程度になります。月額に直すと約12万2500円です。この減額率が、原則として生涯にわたって適用されることになります。
次に「65歳以降も働く予定だが、年金は増えるのか?」という点ですが、65歳以降も会社員などとして働き、厚生年金保険料を納めれば、その分は将来の年金額(主に老齢厚生年金部分)が増える可能性があります(在職定時改定や退職後の改定など)。
ただし、繰り上げによって減額された基礎年金部分が元に戻るわけではありません。増える可能性があるのは主に厚生年金部分であり、「繰り上げで減った分が取り返せる」という性質ではない点は押さえておくとよいでしょう。
また、奥さまが障害等級1級の障害年金を受給されている点は、世帯全体の収入を考える材料にはなりますが、秋さんご自身の老齢年金を繰り上げるかどうかの制度上の判断(減額率や仕組み)とは直接は関係しません。
今回の試算は「65歳の見込み額」をもとにした概算です。実際の年金の内訳(基礎年金と厚生年金の割合)や、今後の働き方によっても金額は変わりますので、ねんきんネットで繰り上げ試算をしてみる、あるいは年金事務所で試算してもらうと、より納得感を持って判断できるでしょう。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






