Q:53歳の個人経営者。65歳からの年金見込み額と、上乗せできる制度は?
「現在53歳の個人経営者です。20~24歳まで国民年金を払っておらず、24~29歳は厚生年金、29~53歳までは国民年金、そして53歳から再び厚生年金に加入しています。このまま64歳まで厚生年金を支払い続けると、国民年金と厚生年金を合わせて40年分納めることになりますが、65歳からの年金はどのくらいもらえるのでしょうか? また、年金を上乗せできる国の制度があれば教えてください」(個人経営者さん)
年金に上乗せをすることはできますか?(画像:PIXTA)
A:65歳からは「老齢基礎年金+老齢厚生年金」がもらえます。国民年金の未納分を上乗せするためには、国民年金の任意加入制度というものがありますが、厚生年金に加入して働く場合は、任意加入制度は利用できません。未納期間があっても、60歳以降の厚生年金加入で補えます
結論から言うと、個人経営者さんが65歳から受け取る年金は、老齢基礎年金(国民年金)+加入実績に応じた老齢厚生年金の合計になります。老齢基礎年金は、20歳から60歳までの480カ月全て保険料を納めると満額になります。個人経営者さんの場合、20~24歳までの4年間(48カ月)が未納のため、老齢基礎年金は満額より少なくなります。本来であれば、60歳から65歳までの「国民年金の任意加入制度」を利用して、この未納分を補えますが、60歳以降も厚生年金に加入して働く場合は、任意加入制度は利用できません。その代わり、60歳以降に厚生年金へ加入すると、老齢厚生年金の中に「経過的加算」という形で、基礎年金相当分が上乗せされます。
つまり、未納期間があっても、働き続けることで年金額は一定程度補われる仕組みになっています。
老齢厚生年金は、これまでの給与(賞与を含めた総報酬)と厚生年金の加入期間によって計算されます。53歳から64歳まで厚生年金に加入し続ければ、その期間分は確実に老齢厚生年金に反映されます。
あくまで一般的な目安ですが、国民年金に48カ月の未納期間がある場合、老齢基礎年金は満額(年約80万円)より年7万~8万円ほど少ない水準になります。
一方、24~29歳は厚生年金に加入していますし、今後、53歳から64歳までの約11年間、厚生年金に加入して働いた場合、老齢厚生年金が上乗せされます。
つまり、65歳から受け取る年金は……
「やや減額された老齢基礎年金」+「老齢厚生年金加入分の上乗せ」
という形になり、未納期間があっても「そのまま何もできない」というわけではありません。正確な金額については、毎年届く「ねんきん定期便」や、年金事務所での試算で確認しておくと安心です。
年金を上乗せできる制度としては、iDeCo(個人型確定拠出年金)があります。厚生年金に加入していても利用でき、掛金が全額所得控除になるため、老後資金づくりとして使いやすい制度です。
また、年金の受け取りを66歳以降に遅らせる「繰り下げ受給」を選ぶと、繰り下げた月数に応じて1カ月当たり0.7%ずつ年金額が増え、75歳まで繰り下げれば最大84%増額されます。老齢基礎年金だけ、老齢厚生年金だけ、と分けて繰り下げることも可能です。
年金額を増やす1番確実な方法は、体力の許す範囲で、できるだけ長く厚生年金に加入して働くことです。収入を確保しながら年金額も増やせるため、老後の選択肢を広げることにつながります。iDeCoや繰り下げ受給も組み合わせながら、無理のない形で準備を進めていくとよいでしょう。
※専門家に取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






