年金・老後のお金クリニック

ボーナス月に給与とボーナスの合計が46万円、年金が7万円ある場合、年金は支給停止になる?

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金を繰り上げ受給しており、給与とボーナスをもらった場合の支給停止額についての質問です。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

12/22(月) 20:00~無料オンライン 「投資の不安を解消!お金の育て方講座」(PR)

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金を繰り上げ受給しており、給与とボーナスをもらった場合の支給停止額についての質問です。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

Q:年金を繰り上げ受給しています。ボーナス月に給与とボーナスの合計が46万円、年金が7万円ある場合、年金は支給停止になりますか?

「老齢年金を繰り上げて受給しており、働きながら年金も受け取っています。月によって給与が増え、ボーナスが出ると月の収入が46万円ほどになります。年金は月7万円ありますが、支給停止の対象になるでしょうか?」(あらちーさん)
年金は支給停止の対象になる?(画像:PIXTA)

年金は支給停止の対象になる?(画像:PIXTA)

A:相談者の総報酬月額相当額を46万円と仮定した場合、繰り上げした老齢厚生年金は一部支給停止になります(令和7年度)が、総報酬月額相当額が46万円より低ければ、支給停止にならない可能性もあります

60歳以降、厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金(特別支給を含む)を受け取る場合、在職老齢年金制度によって年金額が調整されます。老齢厚生年金の「基本月額」と「総報酬月額相当額」を足した金額が、令和7年度の支給停止基準額である51万円を超えると、年金の一部または全額が支給停止となります。令和8年度からは支給停止基準額は月62万円へ引き上げらます。

この仕組みは、老齢基礎年金ではなく、老齢厚生年金だけが対象である点にも注意が必要です。

ご相談文の「給与とボーナスを合わせて46万円」という表現には、在職老齢年金の計算上注意点があります。

ボーナス(賞与)はその月の実額を足すのではありません。

正式には、「交通費などの手当を含む毎月の月収」+「過去1年間の賞与(ボーナス)の合計÷12」で計算したものが総報酬月額相当額になります。

つまり、相談者が「ボーナス月は給与と賞与合わせて46万円」と認識していても、制度上の計算に使う数値とは一致しない可能性が高いのです。

正しい計算を行うため、本記事では次のように前提を置きます。

総報酬月額相当額:46万円
老齢厚生年金の基本月額:7万円(内訳が不明のため便宜的に全額を使用)

すると、合計は53万円となり、支給停止基準額51万円を超えるため、老齢厚生年金が一部支給停止となります。

調整後の支給金額は次の式で求められます。

・基本月額−{(基本月額+総報酬月額相当額-51万円)÷2}

今回のケースにあてはめると……
7万円-{(7万円+46万円)-51万円}÷2
=7万円-(2万円÷2)
=6万円

したがって、調整後の老齢厚生年金は月額6万円になります。

今回のように「月ごとの収入で判定される」と誤解されるケースは多いですが、実際には賞与は1年分を均して(÷12して)計算します。

そのため、「ボーナス月だけ急に支給停止になる」という仕組みではありません。今回の例でも、
あらちーさんの本当の総報酬月額相当額が46万円より低ければ、支給停止にならない可能性もあります。

今回のご相談の計算例では、総報酬月額相当額を46万円と仮定したため、調整後の支給額は月6万円となりました。

しかし実際には、手当などを含む毎月の給与額、過去1年間の賞与総額などにより金額は変わります。正確な支給停止額を知るには、最寄りの年金事務所でシミュレーションしてもらうと安心です。

※専門家に取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2025/12/31まで)を実施中です!

※抽選で20名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や投資行動を推奨するものではありません。
投資や資産運用に関する最終的なご判断はご自身の責任において行ってください。
掲載情報の正確性・完全性については十分に配慮しておりますが、その内容を保証するものではなく、これに基づく損失・損害などについて当社は一切の責任負いません。
最新の情報や詳細については、必ず各金融機関やサービス提供者の公式情報をご確認ください。

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます