『眠れなくなるほど面白い 図解 マンションの話』(沖有人著)では、不動産のプロが、物件の過去のデータを分析して導かれた答えのみを伝えています。
今回は本書から一部抜粋し、過去に起きた法則性を知って、資産価値のあるマンションの買い替えを解説します。
マンションは10年で買い替えるのが最も合理的!
マンションを売却するタイミングは基本的には結婚や子どもの進学、転勤などライフステージの変化に伴うと思いますが、実は一番効率がいい年数は「10年」なのです。大きな理由としては「住宅取得控除の期間切れ」や「10年固定金利のお得さ」、「固定資産税の新築住宅の減額期限」など、基本的には住宅関係のお得な税制は「取得から10年前後で消えてしまうことが多い」からです。「売却時に高く売れる可能性があるのが築10年以内」というのも大きいところ。
また、10年経つと住み主のライフステージもだいぶ変わります。例えば保育園児だった子どもは小・中学生に。その先の進学を見据えたり、パーティールームなどの共用施設が不要になったり……。新築物件に買い替えた場合には、水回りなどが最新設備になるのも嬉しい点。
資産価値が高いマンションを手に入れたら、「10年での買い替え」を考えておきましょう。そのためにも資産価値のあるマンションを最初に選ぶべきなのです。
>10年で買い替えるべき「12の理由」は……
資産を増やすための「買い替え」タイミングは?
2025年現在、都心に住んで既にマンションを購入している人の多くは、マンション価格の高騰により「含み益」が出ている状態だと思います。例えば6000万円のマンションを購入し、現在の時価が1億1000万円。残債が4000万円の場合、売却益は7000万円となります。しかし、売却せずに生涯住み続けると、このままマンションの時価が高騰する場合は含み益がただ膨れていくだけで、手元キャッシュは増えることはありません。
この状況を先延ばしにした場合、何が問題になるか。それは「将来売却するときの納税額が膨らむ」ということです。譲渡所得控除は3000万円、ペアローンでも6000万円。この例では既に税金を払わなくてはいけない状態です。定期的な買い替えは、節税のためにも効果が高いのです。
売却のときには、ある程度「時期」を読みましょう。中古マンションの時価は売却のタイミングにより多少変動します。周辺に新築マンションがあるかどうか、1~3月は避けるなどいくつかのポイントがありますが、あくまでも待つ目安は「3カ月」。長引かせず、うまく売却タイミングを狙いましょう。
沖有人(おき・ゆうじん)プロフィール
スタイルアクト株式会社代表取締役。不動産コンサルタント。慶應義塾大学経済学部卒業後、コンサルティング会社を経て1998年に独立。日本最大級の不動産ビッグデータを活用し、資産価値に基づいたマンション購入の指針を提言。運営する「住まいサーフィン」は会員数32万人超。著書に『マンションは10年で買い替えなさい』『独身こそ自宅マンションを買いなさい』(いずれも朝日新聞出版)など。YouTube、講演などメディア出演も多数。







