『眠れなくなるほど面白い 図解 マンションの話』(沖有人著)では、誰かの意見の集約ではなく、物件の過去のデータを分析して導かれた答えのみを伝えています。今回は本書から一部抜粋し、損をしない自宅取得の方法を紹介します。
新築マンションの売り出しは「第一期」で買うべし
新築分譲マンションの場合、一度に全戸が売り出されるのではなく「第一期」「第二期」など、「期分け販売」されるのが一般的です。では、どの期で買うのがいいのでしょうか?結論から言うと、最もコストパフォーマンスが良いのは「第一期」! つまり、気になるエリアの新築分譲マンションが売り出された場合は、最初の販売で買うべきです。人気のある物件は第一期で埋まっていくという、とてもシンプルな理由から。つまり、二期以降は買い手が付かなそうな部屋が多くなっていくということになります。
また、人気が高い物件の場合は抽選になることも多いと思いますが、この抽選の倍率がのちの資産価値をはかる目安ともいえるでしょう。抽選の倍率が高い=人気のバロメーターといえるからです。
売れ行きはマンションの第一期に売り出された戸数の割合から判断できるので、ぜひその割合を確認し、もしも売れ残りが多そうならば値下げ交渉も検討しても良いでしょう。
ただ、お伝えしておきたいのは「第一期でないからダメ」ということではありません! これまでお話ししてきたように今は「買いたいときが買い時」。自分のタイミングで購入を検討すれば良いのです。
>マンション「第一期」の分譲割合で分かる売れ行き
住宅ローンは、実は利用したほうがオトク
持ち家を購入するには、大きく2つの方法があります。1つは「現金」、そしてもう1つは「住宅ローン」で支払うという方法です。住宅ローンを抱えるのはリスクのように思う人もいるかもしれません。しかし今の日本では、家を購入する場合は「住宅ローンを利用するほうが圧倒的に得」なのです。まずメリットとして一番大きいのは、日本では住宅ローンに関して税制優遇制度が取られているということ。トータルの支払いに加えてこの控除があるため、賃貸に比べると結果的にプラスが大きくなるのです。
また、契約者が死亡の場合にローン返済がなくなる「団信」や、インフレに強いなどのメリットもあります。ただし、住宅ローンの場合は「金利」の影響を受けてしまいます。
現在、頭金を準備せず、物件価格の全額を金融機関からローンで借り入れる「フルローン」で借りる人が全体の6割になっています。
金利が低いからこそ、現金は手元に残すほうがメリットが大きい。値下がりリスクが低い資産性の高いマンションを選べば、いつでも買い替えられるメリットも。それもふまえて考えましょう。 沖有人(おき・ゆうじん)プロフィール
スタイルアクト株式会社代表取締役。不動産コンサルタント。慶應義塾大学経済学部卒業後、コンサルティング会社を経て1998年に独立。日本最大級の不動産ビッグデータを活用し、資産価値に基づいたマンション購入の指針を提言。運営する「住まいサーフィン」は会員数32万人超。著書に『マンションは10年で買い替えなさい』『独身こそ自宅マンションを買いなさい』(いずれも朝日新聞出版)など。YouTube、講演などメディア出演も多数。







