Q:私は66歳になったばかりです。年金をもらいながら働きたいのですが、月の収入がどれくらいまでなら年金がカットされない?
「私は66歳になったばかりです。年金をもらいながら働きたいのですが、月の収入がどれくらいまでなら年金がカットされないのか知りたいです」(けいこさん)
年金をカットされない月収とは?(画像:PIXTA)
A:厚生年金に加入して働く場合は、老齢厚生年金の月額と月収などが51万円(2025年度)を超えると年金が一部減額されます。厚生年金に加入しない働き方であれば制限はありません
66歳で働く場合、年金がカットされるかどうかは厚生年金に加入しているかどうかで決まります。この仕組みは「在職老齢年金制度」と呼ばれています。在職老齢年金とは、働いて給与を得ながら厚生年金にも加入している人が対象の制度です。60歳以降も厚生年金に加入して働くと、次の条件を超えた場合に年金の一部または全額が支給停止となります。
基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額÷12)+総報酬月額相当額(給与+直近1年の賞与÷12)→この合計が51万円(2025年度)を超えると支給停止の対象
例えば、老齢厚生年金が月12万円、給与が月40万円の場合、合計は52万円となり、超えた分に応じて年金の一部が支給停止になるということです。法改正により、2026年度からはこの基準額が51万円から62万円に引き上げられる予定です。これにより、より多くの人が年金を減らされずに働けるようになります。
老齢厚生年金が減額されるのは、あくまで「厚生年金に加入して働く場合」です。したがって、厚生年金に加入しないパートやアルバイトであれば、収入がいくらあっても老齢厚生年金は減らされません。また、65歳から受け取る老齢基礎年金(国民年金)は在職老齢年金の対象外のため、働いても減額されることはありません。
パート・アルバイトでも、勤務先が厚生年金の適用事業所で、一定の条件を満たすと厚生年金に加入します。一般的には、常時雇用されている従業員の所定労働時間の4分の3以上働く場合に加入が必要です。
また、2024年10月以降は、従業員数が50人を超える事業所で、週20時間以上・月額賃金8万8000円以上などの条件を満たすパート・アルバイトも、社会保険(厚生年金・健康保険)に加入することになりました。50人以下の事業所でも、労使が合意すれば同じ条件で加入できます。
さらに、2025年6月に成立した「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」により、賃金月額8万8000円以上という加入要件が撤廃される予定です。
公布日から3年以内に施行されるため、遅くとも2028年までには実施される見込みです。これにより、今後は短時間勤務者でも社会保険に加入しやすくなります。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






