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【西武池袋線のトリビア10選】池袋駅のハリポタ仕様ホーム、『銀河鉄道999』仕様の大泉学園駅など

池袋~吾野を結び、特急が西武秩父へ直通する西武池袋線。2025年に武蔵野鉄道開業110周年を迎えるこの主要幹線にまつわる、知られざる事実や興味深いトリビアを紹介しよう。※画像:筆者撮影

野田 隆

野田 隆

鉄道 ガイド

名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL・D51を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、「ヨーロッパ鉄道と音楽の旅」を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。

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池袋を起点に所沢、飯能を経て吾野(あがの)に至る西武池袋線。吾野から先、西武秩父までは座席指定の特急列車が運行されている。西武鉄道においては、新宿線と並んで池袋線が2大幹線の1つとされている。このうち池袋と飯能の間は1915年に武蔵野鉄道の路線として開業したため、2025年に開業110周年を迎えたことになる。

この記事では、そんな西武池袋線にまつわる知られざる事実や興味深い話題を紹介しよう。
<目次>

1. 武蔵野鉄道開業110周年トレイン

武蔵野鉄道開業110周年トレイン

池袋駅を発車する武蔵野鉄道開業110周年トレイン

2025年10月22日、西武池袋線の前身である武蔵野鉄道の開業110周年を記念した特別ヘッドマーク付き列車が池袋駅を発車した。出発前には、沿線の10自治体首長が列席する記念式典が開かれ、西武鉄道の後藤高志会長による挨拶、くす玉割りセレモニー、記念撮影などが行われた後、列車は池袋駅を出発した。
くす玉セレモニー

西武の池袋駅ホームで行われたくす玉セレモニー

2. 池袋駅のハリポタ仕様ホーム

池袋駅1番線ホーム

ロンドン・キングスクロス駅を彷彿(ほうふつ)とさせる池袋駅1番線ホーム

西武池袋線の池袋駅1番線は各駅停車の降車専用ホームで、もっぱら練馬駅から分岐して豊島園駅への直通電車が発着する。

豊島園駅は、かつてのとしまえん跡地に開設された映画『ハリー・ポッター』関連のエンターテインメント施設の最寄り駅だ。そのため、映画に登場するロンドン・キングスクロス駅をイメージしてデザインが改装され、レンガ風の壁や逆回転する時計など、魔法の世界への玄関駅にふさわしい雰囲気になっている。

3. 地下鉄からの相互直通運転電車と合流する練馬駅

西武池袋線の電車

池袋駅始発の西武池袋線電車が練馬駅に到着

練馬駅は地下鉄線から乗り入れてくる電車が合流するジャンクションだ。もっとも、地下から地上に姿を現す路線は西武有楽町線のみで、2駅先の小竹向原駅が東京メトロとの合流地点となる。

東京メトロ副都心線は東急東横線と直通運転しているため、練馬駅には東京メトロだけでなく東急の車両も乗り入れてくる。かつてはライバルとして激しい争いをおこなってきた西武と東急も時代がかわり、互いの車両が同じ路線を行き交うようになった。
東京メトロの車両

東京メトロの車両が地下から顔を出して練馬駅に到着

4. あっけなく終わる複々線区間

複々線区間

複々線区間を走る東京メトロの電車

練馬駅から石神井公園駅までの4.6kmは高架複々線区間だ。途中にある3駅は各駅停車のみが停まり、外側を走る優等列車用の線路にホームはない。延々10km以上も続く東武伊勢崎線や小田急線の複々線区間に比べると規模は小さいけれど、延伸の予定はない。

5. 『銀河鉄道999』仕様の大泉学園駅 

999の壁画

大泉学園駅に設置されている『銀河鉄道999』の壁画

大泉学園駅の周辺には、東映アニメーションのスタジオや漫画家・松本零士氏が生前暮らしていたため、アニメの聖地として有名だ。そのため、改札内には『銀河鉄道999』に登場する車掌の像や関連画像、改札外の壁画などが設置されており、駅の発着メロディーも『銀河鉄道999』のテーマ曲が使われている。
車掌

大泉学園駅改札内に設置されている「車掌」の像

6. 所沢駅近くのエミテラスにある鉄道モニュメント

運転用シミュレータ

エミテラス内に設置されている2000系運転用シミュレータ

2024年9月、所沢駅西口にオープンした商業施設「エミテラス所沢」は、西武所沢車両工場跡地を再開発したものだ。

そのため、かつての車両工場をしのぶ意図から、施設内には鉄道に関するさまざまな展示が設けられている。2000系電車の運転用シミュレータや、所沢駅と工場をつないでいた引込線の線路跡、さらに旧西武山口線を走っていた「おとぎ電車」のバッテリーロコ(蓄電池機関車)がそれに当たる。
バッテリーロコ

エミテラス内に設置されている旧西武山口線用だったバッテリーロコ

7. 飯能駅近くの短絡線予定地

飯能駅の線路配置

高層ビルから眺めた飯能駅の線路配置。右が池袋方面、左の単線が西武秩父方面

飯能駅は行き止まりの終着駅のため、西武秩父方面へ直通するには、この駅でスイッチバックをして進行方向を逆にしなければならない。

この不便を解消するため、飯能駅手前にある笠縫信号場跡付近から東飯能駅までの短絡線が計画され、用地の取得もほぼ完了していた。しかし、機関車の付け替えが必要な貨物列車の廃止や利用客の減少などがあり、短絡線の建設を積極的に進める状況ではなくなったため、現在も建設は凍結されたままである。
飯能短絡線

放置された状態の飯能短絡線予定地。東飯能駅付近

8. 池袋線の終点はどこ?

吾野駅

西武池袋線の終点・吾野駅。ただし、線路は西武秩父線として西武秩父方面に延びているので終着駅という感じは全くない

池袋からの列車は、特急や臨時列車以外は飯能止まりがほとんどで、西武秩父方面へ向かう各駅停車は飯能~西武秩父の運転である。そのため、池袋~飯能が池袋線、飯能~西武秩父が西武秩父線のように思われている。

しかし実は、池袋線は池袋~飯能~吾野までで、吾野から西武秩父までが西武秩父線である。もっとも、ほとんどの列車は吾野駅が終着となることはなく、1日1往復のみが飯能から吾野までの運転(終列車)で、翌日の始発列車として折り返す。

9. 秩父を目指す特急列車の変遷

ラビューとレッドアロー

西武特急の変遷、ラビュー(左)と5000系塗装を施した10000系ニューレッドアロー(右)

池袋から西武秩父まで座席指定の特急列車が1969年の西武秩父線開業以来、運転されている。初代レッドアロー5000系、1代目ニューレッドアロー10000系と続き、現在は001系「ラビュー」が活躍中である。
特急ラビュー

練馬駅を通過する特急ラビュー

10. レストラン列車「52席の至福」

52席の至福

武甲山をバックに走る「旅するレストラン 52席の至福」

首都圏では珍しいレストラン列車が池袋~西武秩父を中心に運転されている。西武新宿線を走るコースもある。

飯能~西武秩父のローカル列車として運転される4000系1編成を改造した特別編成が使われ「旅するレストラン 52席の至福」という愛称で親しまれている。このほど、2028年3月より新型車両を新造し運行することが発表された。

多様な顔を持つ西武池袋線に、次にどんな新しい魅力が生まれるのか、これからも注目していきたい。
 
取材協力=西武鉄道
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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