平均給与は478万円で、4年連続の増加
最新の調査によると、令和6年の給与所得者数(※1)は、5137万人(対前年比1.2%増、60万人の増加)、平均給与は478万円で4年連続の増加となりました。国税庁の調査では給与を100万円ごとに階級分けしていますが、編集部で独自に5つの階層に分けて分布を集計したところ、最も多いのは「300万円以下」で全体の32%、次いで「300万超500万円以下」が31.4%と同じく3割程度に達しました(※2)。
パートや非正規雇用、若年層や地方の正社員の多くがここに含まれ、給与分布の厚みを支えるボリュームゾーンといえます。 一方で「500万超800万円以下」は24.7%と全体の4分の1を占めます。この層が一定の厚みを持っていることから、平均値を押し上げる力にもなっていることが分かります。
さらに「800万超1000万円以下」は5.8%、「1000万円超」は6.2%と、上位の層は依然として少数派ですが、全体でおよそ1割強を占めています。特に1000万円を超える層には、2000万円以上の給与所得者もここに含まれることから、超富裕層の所得が平均給与を押し上げる要因となっているようです。
※1:1年を通じて勤務した給与所得者が対象
※2:調査本来の区分では「300万円超400万円以下」が最多(16.1%)
4年前と比べてどれくらい変化した?
この結果を同様の階層に分けて4年前(令和2年)と比較してみると、分布の傾向にやや変化あることが分かります。まず「300万円以下」の層は37.6%から32.0%へと縮小しており、低所得層の割合がやや減少したことが分かります。その一方で、「500万円超800万円以下」の層は21.4%から24.7%へと増加しています。
この背景には、近年の最低賃金引き上げや、物価高を受けた企業の賃上げが相次いだことが影響しているとみられます。特に2023年以降は「賃上げラッシュ」と呼ばれるほど、春闘や政府要請を受けて多くの企業が給与改善を進めました。
さらに、1000万円を超える層も4.7%から6.2%へとわずかに増加しており、高所得者層の比率も拡大しています。
全体としては、低所得層の比率が少しずつ下がる一方で、中間層や高所得層がじわりと増えるという動きが確認でき、賃上げトレンドを背景に分布がやや上方向にシフトしている様子が浮かび上がります。
生活実感にどう反映されるか
今回の調査はあくまで源泉徴収をした人の、額面ベースの給与水準を示したものです。物価高や社会保険料の負担が増えるなかで、家計に残る「手取り」がどのように変わっていくのか——そこに暮らしの実感がかかっています。平均給与の数字だけでは測れない生活の厳しさをどう改善していくかが、今後の大きな課題といえそうです。
参考:民間給与実態統計調査(令和6年分)国税庁