今回は古くなったお札の行方について、All About 株式・ファイナンシャルプランナー ガイドの伊藤亮太が解説します。
Q. 旧札はどこに行くのでしょうか?
【今回の質問】新札への切り替えが進められていますが、これまで使っていた旧札はどうなってしまうのでしょうか? どこかで一元管理されていたりするのですか?
A. 定期的に日本銀行に持ち込まれます
新しい紙幣を見ると、一番下の右寄り部分に「国立印刷局製造」と記載があります。そもそも紙幣は国立印刷局で印刷され、日本銀行に納入されます。その後、民間の金融機関は日本銀行に預けている当座預金を引き出す際に紙幣を受け取り、その紙幣が銀行の窓口やATMなどを通じて、私たち消費者の手元に届く仕組みになっています。民間の金融機関は日本銀行から紙幣を受け取るほか、定期的に日本銀行に紙幣を“持ち込む”ことも行っています。その結果、まだ利用できる紙幣は再び民間の金融機関に払い出されますが、一方、汚れなどにより利用しにくくなった紙幣や旧札は回収され、新札に交換されます。
回収された紙幣は、基本的に細かく裁断された後、トイレットペーパーなどにリサイクルされるか、焼却施設にて燃やされることになります。日本銀行の資料館などに行くと、裁断された紙幣をもとに作られたボールペンなども販売されています。そのため、徐々に旧札を見る機会は減っていくこととなります。
なお、福沢諭吉の一万円札など最近の紙幣だけでなく、聖徳太子の一万円札や板垣退助の百円札などの旧札も、正式な通貨として現在も使うことができます。日本銀行による旧札の強制回収は行われないため、手元に保管することも問題ありません。
ただし、時間が経過すればするほど旧札を見る機会は減り、店舗によっては旧札での支払いを拒否されることもあるかもしれません(珍しがってむしろ支払いOKとなる場合もあるかもしれませんが)。
旧札のうち、記番号(紙幣に記載されたアルファベットと数字)の数字部分が、すべて同じ数字となっているゾロ目などの“珍紙幣”は、今後プレミアムがつき値段が上がっていく可能性もあります。このような珍紙幣は手元に保管しておくとよいでしょう。