Q:50代独身。将来の年金は月12万円程度と少ないです
「50代で1人暮らしの会社員です。『ねんきんネット』で将来の年金を調べたら、月12万円ほどしかもらえないようです。老後は、どうやって生活したらいいんでしょうか。今、生活費は月19万円ほどかかっているのですが」(匿名希望)
将来の年金は月12万円程度と少ないです(画像:PIXTA)
A:今のうちから、65歳以降も働くことと生活費の見直しを検討しましょう
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の実収入はおよそ13万4000円で、そのうち税金や社会保険料を差し引いた可処分所得は12万1000円ほどです。一方で、生活のために使っている消費支出は月14万9000円前後にのぼり、非消費支出もあわせると、毎月の出費は16万円を超えます。結果として、平均的な高齢単身世帯であっても、月に約2万8000円の赤字になるのが実情です。相談者の将来の年金見込み額である12万円は、現在の生活費が19万円であることを考えると、年金収入だけでは月7万円近い不足が生じることになります。この赤字を全て貯蓄で補おうとすれば、65歳から90歳までの25年間でおよそ2100万円が必要となり、いわゆる「老後2000万円問題」と同じ構図になります。
不足分を解消する方法としては、65歳以降も働き続けることが現実的です。
2021年に改正された高年齢者雇用安定法により、企業には70歳まで働ける環境を整備することが努力義務とされており、シニア世代が収入を確保しやすい状況は広がりつつあります。就労を続ければ収入を補えるだけでなく、厚生年金の加入期間が延び、将来受け取れる年金額を増やすことにもつながります。
あわせて、生活費の見直しも避けて通れません。固定費を中心にスマホ代や保険料、家賃などを点検することで、月に数万円規模の節約ができる可能性があります。今のうちから生活のダウンサイジングを意識しておけば、年金生活に入った際のギャップを和らげられるでしょう。
※『ねんきんネット』で表示される年金見込み額(ここでは月12万円)は、実際の生活に使えるお金をそのまま示しているわけではありません。税金や社会保険料が差し引かれるため、実際の手取りはさらに少なくなる場合があります。ここでは便宜的に「12万円=生活に使えるお金」として計算しています。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)