また、たとえ残暑が落ち着き、気温が22~23℃と比較的過ごしやすくなったとしても、秋の日差しを浴び続けた車内の温度は50℃前後、ダッシュボードは60℃を超えることもあります。
車内温度が高くなる理由は、太陽の熱が車内に閉じ込められてしまうから。ビニールハウスと同じ原理です。そのため秋になっても、太陽の光を遮れない場所に駐車する場合は、炎天下の夏と同様の注意が必要です。
サンシェードがもっとも手軽だけれど注意点も
日差しを遮るのに、もっとも手軽なのは「サンシェード」の利用です。しかし注意してほしいのは、備えたからといって、車内温度を劇的に下げられるわけではないことです。これは窓以外からも、例えばドアやルーフなど他の場所からも熱が車内に伝わるからです。そして、一度入った熱は外に逃げにくいため、熱が蓄積されて車内の温度はどんどん上がっていきます。
車を家に例えると、より分かりやすいかもしれません。家でいえば窓以外からも、壁や屋根などから熱が中へ伝わり、熱が蓄積していきます。家のような断熱材が入っていない車は、家以上に外からの熱が伝わりやすくなります。
厳密にいえば、家もカーテンを閉めただけでは、窓からの太陽の熱の浸入を防げません。窓とカーテン(サンシェード)にはどうしてもすき間ができるため、そこにある空気が温められ、家の中や車の中へと循環するからです。最近の家なら、高断熱ガラスの窓や内窓を備えることで、それを抑えることができるのですが……。
そのため、サンシェードを備えたからといって、車内温度(室温)を極端に下げることはあまり期待できません。車内温度の上昇を防ぐためには、サンシェードに加えて、窓を少し開けておくと熱がこもりにくくなりますが、防犯上極めて危険ですし、驚くほど温度が下がるわけでもないのでおすすめしません。
最終的にひび割れや亀裂が生じる可能性
ただし、サンシェードを備えることでダッシュボードやハンドル、シートなどの温度を下げることはできます。ダッシュボードなどの素材は、空気よりも熱をためやすく、そのため車内温度よりも温度が上昇します。サンシェードを備えれば、それらが太陽の光で直接熱せられることを防げます。
また、ダッシュボードなどの素材によっては太陽の日差しによる熱で劣化することがあります。太陽の熱を受けてダッシュボードが膨張し、その後車を運転する際にエアコンを稼働させると、その冷気で縮小します。このような伸縮を繰り返すうちに素材が徐々に硬くなり、最終的にひび割れや亀裂が生じる可能性があるのです。
さらに炎天下など気象条件によっては、極端な高温によってダッシュボードの形状が歪んだり、反ったりすることさえあります。
そのほかにもサンシェードを使うメリットがあります。紫外線をカットする機能(UVカット機能)が備わっているタイプなら、ダッシュボードなどの紫外線による劣化や色あせなどを防ぎやすくなります。UVカット機能付きのカーテンをしたほうが、フローリングの色あせを防げるのと同じ理屈です。
種類豊富なサンシェードの選び方
このように、サンシェードを備えても、車内が涼しくなるわけではありません。ただし、ダッシュボードなどの劣化を防ぐには効果的ですから、たとえ過ごしやすい気温になったとしても、秋晴れの太陽の下に車を駐車しておくなら備えることをおすすめします。ところでサンシェードといっても、最近は100円ショップで手に入るようなものから、1万円以上するものまで、実に種類が豊富です。
選び方としては、やはりカーテンと一緒です。まず、日差しが入り込まないように、窓をしっかりと覆うことができるタイプがいいでしょう。そのためには、車種専用設計されたような、車のウインドウ形状にマッチするものがおすすめです。
また、口コミサイトや商品レビューも参考にしてみてください。そこに書かれているユーザーの「車内温度が下がった」といった実体験だけでなく、口コミなどでは断熱性(遮熱性)やUVカット率などの数値にも言及していることがあるので、選ぶ際の参考になるはずです。
結論として、サンシェードで車内温度の上昇を防ぎ切ることはできませんが、ダッシュボードなどの劣化を防ぎやすくなります。選ぶ際には、サンシェードのサイズや、断熱性や紫外線カットの性能にこだわったほうがいいでしょう。
まだまだ暑さが続きそうですし、このところの異常気象が簡単に収まるとは思えませんから、この先もサンシェードはしばらく使い続けることになりそうです。後悔のない買い物をするようにしてください。