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「日本人は保険に入りすぎ」「世帯年収の5~10 %も」その生命保険、本当に必要ですか?

「もしもの備え」のはずの生命保険料が、あなたの家計を圧迫している? 日本人が陥りがちな「保険の入りすぎ」問題。今回は、払いすぎて損をしないための賢い見直し術を紹介します。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

毎月当たり前のように支払っている保険料。もしかしたら、その保険、あなたの家計をじわじわと蝕む“お荷物”になっているかも。※画像出典:PIXTA

毎月当たり前のように支払っている保険料が、あなたの家計をじわじわと蝕んでいる? ※画像出典:PIXTA

毎月当たり前のように支払っている保険料。その金額、本当に妥当ですか? もしかしたら、あなたの家計をじわじわと蝕(むしば)む“お荷物”になっているかもしれません。

ふつうの会社員が投資の勉強をしてみたら資産が2億円になった話』(斗比主閲子著)では、株式投資の人気ブロガーが辿り着いた「富裕層になれるお金の方程式」についてお伝えしています。

今回は本書から一部抜粋し、家計を圧迫しているかもしれない保険料の見直し術について紹介します。
<目次>

知らないと損する保険の罠

住居費、教育費と来て、大きな支出の代表格には保険費の支払いがあります。人によって金額は違うにせよ、10年以上の期間、毎月必ず支払う固定費的な側面もあります。

「保険は何かあった時のために支払っているものだから、削減は難しいのでは?」と思うかもしれませんが、よく知られた話として、日本人は保険に入りすぎと言われています。

ここで言う入りすぎの保険というのは、生命保険、医療保険(ガン保険含む)のことです。生命保険は死亡時に、医療保険は病気になった時に一定金額を受け取れる保険です。どちらも、掛け金が貯金のように積み立てられる積立型と、積み立てられない掛け捨て型があり、基本的には掛け金が多ければ多いほど、死亡や病気の時に受け取れる保険料が増えます。

「いざという時にお金がたくさんないといけない!」と思えば、保険の払い込み金額はいくらでも増やせてしまいます。不安な思いがあればあるほど、保険の支払いが増えてしまうわけです。

実態として、日本人は世帯年収の5~10%を支払っており、月の平均では3万~4万円とかなり大きな金額です。果たして、これほど高額の支払いが必要なのでしょうか?

我が家の場合は、生命保険は随分前に解約し、医療保険は今まで一度も加入したことがありません。理由は、いざという時に保険に頼る必要がないと計算できたからです。

その生命保険、本当に必要?

まず、生命保険が必要なのは、小さい子どもがいる世帯だけです。何しろ、子どもが成人するまでの養育費は、教育費も考慮すれば1000万~2000万円かかります。家族の中で収入を多く稼いでいる人が死亡してしまった場合、子どもがまだ小さいと、残された家族で養育費を賄うのは大変です。まさに「いざという時」です。

では、小さい子どもがいない世帯に生命保険は必要でしょうか? 独身の場合は、まず不要です。自分が死亡したことによって「いざという時」になる家族がいないからです。遺族に死亡時の葬儀費用の負担があるにせよ、数十万円程度の貯金が残っていれば十分賄えます。

結婚していて子どもがいない世帯の場合は、配偶者が公的年金である国民年金・厚生年金に加入していたら、死亡時に遺族は遺族年金が貰えます。その上で、遺族は成人していますから自身で働いて生計を立てることも可能です。ちなみに、遺族年金は男性も受け取れますが、妻の死亡時に55歳以上である必要があり、受給開始年齢は60歳からです。女性が、夫の死亡時に30歳以上であれば子どもの有無に関係なく受給できるのに比べると残念ながら男女差があります。

子どもがいる世帯も高校生ぐらいになれば、その後の養育費の負担は見通しやすくなります。大学に進学することを想定していれば、教育費として一定の貯金を準備している人も多いでしょう。

生命保険は、死亡時に残された家族の生計が成り立たない可能性があり、足りない部分をカバーするというのが基本的な発想です。究極的には、十分な資産があるなら、最初から生命保険に加入する必要はありません。

積立型を選んではいけない

我が家では、子どもが生まれる前に掛け捨て型の生命保険(保険料は月額3000円、加入期間20年、保険金受取額3000万円)に加入し、子どもが十分大きくなり、資産が増えたタイミングで解約しました。私と配偶者どちらか、または両方が死亡したとしても、今の資産があれば、子どもたちの養育費は十分賄えると考えたからです。新たに同じ条件の生命保険に加入しようとすれば保険料は増えるため、今解約するのはもったいないかなとは考えたものの、不必要な保険料を支払い続けることは合理的でないと判断し、加入期間中に潔く解約を決断しました。

なお、生命保険では積立型と掛け捨て型のどちらが良いか、いつも議論になります。検索しても保険会社の宣伝文句が多く出てきて、どちらが良いか悩んでしまうでしょうが、(生命保険に限らず)保険は掛け捨て型を選ぶのがお勧めです。

積立型の生命保険は最終的に掛けたお金が返ってくることから、お得に感じられて人気があります。ただ、保険料は掛け捨て型より多くなりますし、途中解約したら積立金は満額は返ってきません。何より、満期でお金が戻ってくるといっても、保険会社に手数料を支払っているため、自分で投資をした場合に比べると金額は少なくなります。積立型の生命保険は、一見すると保険料を払っていないようで、実は色々なところで保険会社が儲かるように手数料を取っているのです。

私は、生命保険は途中解約することを想定していましたし、保険会社に多額のお金を払うぐらいなら自分で投資した方が増やせると考えて、最初から掛け捨て型の生命保険を選んで加入したのでした。

話を元に戻します。生命保険は基本的に小さい子どもがいる世帯向けであるにもかかわらず、非常に興味深いことに、日本人の多くは子育てが終わっているはずの高齢になっても加入し続けています。

50~60代で8割、70代で7割です。高齢出産の家庭もあるかもしれませんし、相続対策を考えているかもしれませんが、高齢ゆえ介護費用も気になる中、遺族の「いざという時」のために生命保険に入り続ける必要は本当にあるのでしょうか?

日本人の保険料が高くなるのは、何にどれだけの金額が必要かを見積もっていないことが原因です。人の死というのはつらく悲しいものではありますが、その時に常に数千万円の多額の現金が必要になるというわけではないのです。
  斗比主閲子(とぴしゅ えつこ)プロフィール
1976年生まれ、旧帝大卒、会社員、既婚、子どもあり。という設定のブロガー。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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