『ふつうの会社員が投資の勉強をしてみたら資産が2億円になった話』(斗比主閲子著)では、株式投資の人気ブロガーがたどり着いた「富裕層になれるお金の方程式」について解説しています。今回は本書から一部抜粋し、生活水準を見直すための支出削減術について紹介します。
その支出、身の丈相応?
支出を大きく削減したければ、やはり全体的な生活水準を落とすことが必要になります。ただ、自分の生活がそこまで豪勢かどうかは自分だけでは判断できないはず。そこでお勧めするのは、あなたの生活費が時給換算の収入に対して、どの程度高いか、低いかを比較することです。
時給は、企業で働いている人であれば残業代計算のもとになる1時間当たりの数字、個人事業主であれば収入−経費の手取りを労働時間当たりに換算したものを使います。
細かい計算をすることが目的ではないので、月の収入を20日(土日を休日として平日のみ働くと想定)で割り、それを8時間(1日の想定労働時間)で割って計算しても大丈夫です。例えば、月20万円の収入であれば1250円、月40万円なら2500円が時給と推定できます。
この計算で得た「時給」を、それぞれの支出の1時間当たりの費用と比較してみましょう。
例えば、表参道の美容室で1.5時間かけてカットとトリートメントをしてもらい、1万5000円を支払ったとすれば、その支出は時間当たり1万円になります。もし、あなたの時給が1250円とすれば、この美容室代は8時間労働しなければ支払うことができません。果たして8時間の労働に見合うでしょうか?
そのカフェ代、時給換算で何時間分?
また、スターバックスでドリンクと軽食に1250円を支払い、30分間滞在したとします。この支出は時間当たり2500円となります。快適な時間を30分間過ごす価値は大いにあるかもしれませんが、時給2500円の人が1時間労働しなければ稼げない金額です。スタバでの飲食のために、労働時間を1時間延ばしたいでしょうか?すべてがこのように分かりやすく計算できるわけではありませんが、自分の時給をざっくり頭に入れて、日常の様々な時間当たりの支出を比較していると、自分の生活水準が身の丈に合ったものか徐々に分かってきます。
私は東京ディズニーリゾートに行く時にいつもこの計算をしています。社会人になって初めて、自分のお金でディズニーリゾートに行った2000年代初めには、1デーパスポート(大人)は5000円ちょっとでした。それが、2023年10月からは最大1万900円です。実に倍です。食事やお土産代も値上がりしていますから、今では1日の滞在費は2万円ぐらいになるでしょうか?
この間、私の時給が横ばいであればディズニーリゾートは身の丈に合わない支出になっていた可能性があります。幸い、転職や手当の取得等により収入は増加しているので、心おきなくディズニーリゾートに通えます。
話が脱線しますが、ディズニーリゾートの滞在費が仮に2万円としても、もし9時から21時まで12時間滞在すれば、1時間当たりの支出は1700円弱になります。カラオケには負けますが、ボウリングやスタバと同じぐらいの支出水準であり、意外とコスパが良いなと考えています。もちろん交通費もありますし、宿泊費が別にかかるのであれば、それも考慮する必要があります。
収入が増えても要注意!
話は戻りますが、収入が増えたら、それに合わせて支出もある程度増えるのはおかしなことではありません。ただ、収入がそれほど伸びていないのに支出を増やしてしまったら、貯まるものも貯まりません。手取りが10万円上がったとしても、成城石井や紀ノ国屋、クイーンズ伊勢丹等の高級スーパーで食材を購入していたら、支出は増えるばかりです。私はこれまで収入が上がり続けるよう努力してきましたが、それ以上に、支出を増やさないよう意識してきました。心の中で「収入が2倍になっても、支出を人並み以下に保てれば、お金が増えるスピードは人の2倍以上になる」と念仏のように唱え続けた結果、資産形成することができました。
ちなみに、様々な支出を削減してきた私ですが、夫婦二人きりの外食費は節約しません。夫婦二人だけで過ごせる時間は貴重なので、できるだけ快適な環境にしたいと考えているからです。
斗比主閲子(とぴしゅ えつこ)プロフィール
1976年生まれ、旧帝大卒、会社員、既婚、子どもあり。という設定のブロガー。