男性の2人に1人が「ED治療薬は心臓に悪い」と誤解している


結論から言えば、それは全くの誤解です。ED治療薬が直接心臓に負担をかけることはありません。その理由について解説しましょう。
ED治療薬は元々、狭心症の治療薬だった

ではなぜ、90年代に「ED治療薬を使用した死亡事故」が発生してしまったのでしょうか。詳細を調べてみると、亡くなった方は不整脈などの心疾患の治療中であったり、ED治療薬とは併用禁忌となっている薬を使用していたことがわかりました。死亡の直接的な原因はED治療薬ではなく、その人が元来持っている疾患、あるいは併用禁忌の薬を服用していたことに起因していたというわけです。こうした周辺情報が十分に報じられることなく、「亡くなったのはED治療薬が原因だ」という誤報が広まってしまったのでしょう。
発売から20年以上が経ち、ED治療薬に対する誤解も少しずつ減ってきています。本当に「心臓に悪い」薬であれば、世界でこれほど人気となり、20年以上も処方され続けるでしょうか? 使い方を守って服用すれば、ED治療薬は極めて安全な薬なのです。
心臓に負担をかけるのは「薬」ではなく「行為」

まず一つ目は、ED治療薬を使用する以前に、ご自身の身体がそもそも「性行為をしても問題ないか?」を確認すること。性行為は運動と同様、血圧と脈拍が上昇し、心臓に負担がかかる行為です。一般的に、夫婦やパートナー間で行われる性行為の絶頂期は、1階から3階まで階段を登るのと同程度の身体活動量といわれています。相手が夫婦やパートナー以外なら、精神的興奮や緊張が関与して、さらに大きな心拍数と血圧の上昇が見られたという報告もあります。健康な人であれば問題ありませんが、狭心症をはじめとする心血管系疾患をお持ちの場合は、「性行為をしても問題ないか?」を主治医に必ず確認するようにしてください。
問題ないようであれば、「ED治療薬を使用しても問題ないか?」についても主治医に確認する必要があります。それは、ED治療薬を使用して勃起力が上がることで、性行為が普段より激しくなり、心臓に負担をかけてしまうリスクがあるから。ED治療薬の使用を主治医に許可されても、このリスクを常に頭に置いて、テンションが上がり過ぎないよう心がけることが大切です。
併用する薬によっては死に至る場合もある

狭心症や心筋梗塞などの心疾患に、硝酸イソソルビドやニトログリセリンを主成分とする硝酸剤を治療薬として使用することがあります。これらには、血管を拡張させて血圧を下げる働きがあり、同じ効果のあるED治療薬を併用することで、過度な血圧低下を招き、生死に関わる深刻な状態を引き起こすことがあるのです。よって、心血管系疾患の持病がある場合は、ED治療薬を使用する前に、必ず主治医に確認をとるようにしましょう。 ルールの三つ目は、パートナーにED治療薬を使用していることを伝えておくことです。
仮に、パートナーとの性行為中に、あなたが心臓発作を起こしたとしましょう。救急車を呼んだ場合、応急処置として併用禁忌である硝酸剤が投与されます。それを避けるために、あなたがED治療薬を使用していることを、パートナーから救急隊に伝えてもらう必要があるのです。
人によっては、パートナーにED治療薬を使用していることを伝えるのに抵抗がある方もいるかもしれません。でも、万が一を想定し、命を守るためには極めて重要なことです。「硝酸剤との併用を避けるため」という理由も含めて、きちんとパートナーと情報共有しておきましょう。
医師の指示に従って使用すれば、ED治療薬は安全な薬
まとめると、ED治療薬を使用する際には、「自身の身体が性行為の負荷に耐えられるかどうかを主治医に確認する」「硝酸剤などの併用を避けるため、使用の可否を主治医に相談する」「パートナーと情報共有をする」という3点が重要となります。特に心血管系疾患をお持ちの方や、心臓や血管の状態に不安を感じている方は、これらを守り、自己判断での使用は絶対にやめましょう。
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※参考
https://www.hama1-cl.jp/column/ed-topic08.html
https://www.cvi.or.jp/chiryou/heartfailure/20200106_19.html
https://gents-clinic.com/topics/ed-sudden-death/