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「リスクは抑えたい!でも増やしたい!」安定運用のための投資術とは?

投資にリスクはつきものですが、経験的に見れば「割のいい勝負」といえる面もあります。本記事では、株式投資を主戦場とする筆者が、できる限りリスクを抑えながら安定運用するポイントをまとめます。※サムネイル画像出典:PIXTA

中原 良太

中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープラン ガイド

個人投資家・トレーダー。いちおう準富裕層。主に株式投資とマネー(お金)について発信します。IQ上位2%のMENSA会員。18歳に株を始め、25歳でYahoo!株価予想達人で「ベストパフォーマー賞」を受賞。モットーは「地道にコツコツ」。メルマガ『株式予報』を毎日発行。年間300万通以上を配信。ルービックキューブ大好き。

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できるだけリスクを抑えて資産運用したい(画像出典:PIXTA)

できるだけリスクを抑えて資産運用したい(画像出典:PIXTA)

先日、読者の方から以下のような質問をいただきました。

「現在、将来に向けお金を増やす資産形成について検討しており、少額から始められる株式投資や積立型の金融商品などに関心を持っております。もちろん、これらの投資には一定のリスクが伴うことは理解しておりますが、できる限りリスクを抑えながら、安定的な運用を目指す方法があれば、ぜひアドバイスをいただけますと幸いです」

「銀行にお金を預けてもスズメの涙」「物価はどんどん上がっていく」といった状況が当たり前になった今、貯金だけでは将来が不安になるのも当然です。せめて預金金利がインフレよりも高くなってくれればいいのですが、現状では金利は依然として低いままです。

投資にリスクはつきものですが、経験的に見れば「割のいい勝負」といえる面もあります。本記事では、株式投資を主戦場とする筆者が、できる限りリスクを抑えながら安定運用するポイントをまとめます。

「リスク」とは何か?まずは定義を明確に

ご質問者さまは、「資産を低リスクで運用したい、なるべく安定的に運用したい」とのことですので、まずは、そもそも僕ら投資家にとって「リスクとは何なのか?」を明確にするところから始めましょう。

投資家が「リスク」と呼ぶものはさまざまですが、ここでは以下の2つに分類して考えます。
  • 永久損失:価格が下がって二度と戻らないリスク
  • 一時損失:価格が一時的に下がるリスク
言うまでもなく、怖いのは永久損失リスクのほうです。

「永久損失リスク」の例

僕らが直面している「インフレ(希少価値の希薄化)」も永久損失に近いリスクの1つです。僕らがいつも使っている日本円も流通量が年々増えていますから、流通量が増えるほど希少価値は薄れ、1円が持つ価値は、時間とともに減っていくでしょう。

他にも、金融商品を買う時に支払う「割高な手数料」も永久損失するリスクです。一度支払った手数料は返金してもらえませんから、「永久的に失うもの」としてカウントできます。

あるいは、高い利回りに浮かれてボロ株を買ったり、経営者にだまされたりして「悪質な株を買ってしまう」と、株価が下がって戻らなくなってしまうのも永久損失リスクです。

「一時損失リスク」の例

一時損失リスクとしては、「景気変動」や「暴落」や「高値づかみ」などが挙げられます。

景気にはサイクルがあり、日本は約3~4年、アメリカは7~8年周期で巡るといわれています。リスク資産は景気に連動して価格が上下するため、一時的に損失を被る可能性があります。

また、景気はおおよそ50年に一度、深刻な冷え込みを迎えることがあり、これは世界恐慌やリーマンショックなどの大規模な経済危機に見られます。

さらに、たびたび「バブル」は発生し、その後に崩壊します。1990年の日本株バブルでは、日本株は約80%下落し、高値を取り戻すのに30年以上かかりました。2000年のITバブルも同様で、ナスダックが高値を回復するまで15年を要しました。

「高値づかみ」は深刻になれば深刻になるほど、損を取り戻すのにかかる時間も伸び、永久損失リスクに近づくため要注意です。

さまざまなリスク要因を抑える方法

さて、さまざまなリスク要因を列挙していきましたが、ご質問者さまは、「資産を低リスクで運用したい、なるべく安定的に運用したい」とのことですので、リスクを抑える方法を考えていきましょう。

ご質問者さまが「リスク」をどう定義しているかは想像するしかないのですが、前述したように「一時損失リスク」と「永久損失リスク」の原因は、だいたい以下に集約されると筆者は考えます。

【永久損失リスクの原因】
・インフレ(希少価値の希薄化)
・割高な手数料
・悪質な投資先

【一時損失リスクの原因】
・景気変動
・暴落
・高値づかみ

「インフレ(永久損失)」のリスクを避けたいなら、価値が薄れてしまう現金などの持分を減らして、純金(ゴールド)などの価値の薄れにくいモノを買ったり、モノを売っている会社の株を買ったりするといいでしょう。

「割高な手数料(永久損失)」のリスクを避けたいなら、手数料の安いネット証券を使ったり、委託手数料の安い投資信託(例・インデックス投資信託)などを使ったりするのがいいと思います。

「悪質な投資先(永久損失)」を避けるのはプロでも難しいですが、たくさん勉強して、実践して、少しずつ失敗しながら学んでいくか、無難にNISAのつみたて投資枠で対象の投資信託を選んだり、銘柄分散してダメージを抑えるのがいいかと思います。

「景気変動(一時損失)」のリスクを取りたくないなら、食料品や日用品など、景気に振り回されにくい会社に投資をして、リスクを抑える方法があります。

「暴落(一時損失)」のリスクを取りたくないなら、これを避けるのはかなり難しいので、経済や経営のことにかなり詳しくなるか、それが無理なら「リスク資産への投資額を抑える」ことで、リスクを抑える方法があります。

「高値づかみ(一時損失)」のリスクを避けたいなら、人気な株やPER(株価収益率)が高い(利回りが低い)投資商品を避けて、高値をつかまないように工夫する方法があります。

リスクをバランスよく「選ぶ」ことが大切

これらのリスクは、全てを同時に避けることはできませんので、「どうバランスを取るか」を考える必要があります。

「景気変動」や「暴落」などの一時損失リスクを怖がってリスク資産を買わないでいると、それはそれで「インフレ」という永久損失リスクに襲われてしまいます。

じゃあ、リスク資産を買えば安心か?というと、世の中には「手数料が高すぎる投資商品」に誘導する人がいたり、「悪質な投資先」もあったりするので、経験しながら上手に目利きできるようになる必要があります。

まとめると、全てのリスクをゼロにすることは「不可能」です。

とはいえ、ご質問者さまにも「受け入れられるリスク」と「受け入れられないリスク」があるはずです。自分の目指す理想(ゴール)から逆算して、上手にリスクを「選ぶ」のが大事だと思います。
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