『FP1級取得! サバンナ八木流 お金のガチを教えます』(サバンナ八木真澄、ほんださん/本多遼太朗著)では、「ブラジルの人聞こえますか~!」のギャグでおなじみ、FP1級(ファイナンシャル・プランニング技能検定1級)にも合格したサバンナ八木真澄さんが、登録者数25万人超のYouTube「ほんださん/東大式FPチャンネル」のほんださんと、忖度なしのガチ金融知識を伝えています。
今回は本書から一部抜粋し、退職日がたった1日違うだけで50万円近く損する失業手当のカラクリについて紹介します。
退職日が1日違うだけで50万円の差
60歳以降も働いているときに覚えておきたいのが、「65歳の誕生日の前々日までに退職して65歳になった後で求職の申し込みをしたほうが良い」ということです。そうすると、「64歳で退職」し「65歳以降に失業保険を受給」することになり、失業保険と老齢厚生年金の両方が受け取れます。多くのサラリーマンの方は、60歳で一旦退職して関連会社に勤めるというパターンが結構あるので、この方法が有効です。
例えば、勤続20年以上で離職時の年齢が60歳、賃金日額が1万3000円の人が自己都合退職した場合、失業手当の基本手当日額は1万3000円×45%(60~64歳の基本手当の給付率)=5850円。基本手当の給付期間は最大150日となるので、総支給額は最大87万7500円となります。
一方、離職時の年齢が65歳でその他の条件が同じ場合、失業手当の基本手当日額は1万3000円×50%(65歳以上の高年齢求職者給付金の給付率)=6500円。給付額は50日分となるので総支給額は32万5000円となります。
失業手当と高年齢求職者給付では50万近く変わるので、絶対に覚えておいたほうがいいです。
ただ、失業手当は全員がもらえるわけではなくて、再就職しようという意思をハローワークの人に示しておくことが必要です。働かない人はもらえませんというのはおさえておきましょう。
ほんだ先生の補足メモ
ほんださん:八木さんの説明を補足すると、会社員が入っている雇用保険は、離職して転職先を探す間は基本手当(失業保険)を払ってくれます。実は、64歳までは「基本手当」で、65歳以降は「高年齢求職者給付金」と、手当のしくみが退職する年齢によって異なるのです。基本手当の場合、20年以上勤めた会社を辞めると離職後150日間は給与に応じた額を受け取れます。一方、65歳以降に退職した場合は、給付額が50日分に減ってしまいます。
20年以上被保険者として働き続けて、65歳の誕生日の前々日に退職した場合と65歳の誕生日前日に退職した場合では、100日分もの違いが出てしまいます。
ただし、65歳以降にやめた場合の高年齢求職者給付は一時金でもらえるのに対し、64歳時点でやめた場合の基本手当は、毎月ハローワークに行かないと受け取れません。手間がかかるという点も踏まえておきましょう。
サバンナ 八木真澄(やぎ ますみ)プロフィール
1974年生まれ。京都府出身。立命館大学産業社会学部卒業。94年に学生時代の後輩・高橋茂雄とお笑いコンビ・サバンナを結成。「ブラジルの人聞こえますか~!」など1000個以上のギャグを持ち、柔道2段・極真カラテ初段の筋肉芸人としても活躍中。2024年に1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を取得した。
ほんださん / 本多遼太朗(ほんだ りょうたろう)プロフィール
1994年生まれ。東京大学工学部都市工学科卒業。株式会社スクエアワークス代表取締役。「本質を理解する楽しい学習」をモットーに、YouTubeチャンネル『ほんださん/東大式FPチャンネル』を開設し、チャンネル登録者数は業界トップの25万人超。また、自身が運営するオンライン学習スクール「FPキャンプ」では、1万人以上のFP受験生を合格に導く。