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名作『やまとなでしこ』はなぜ地上波で再放送できないのか? 堀江貴文が語るフジ再建への道

『孤独のグルメ』ではチャンスを逃し、ドラマ史に残る名作『やまとなでしこ』を封印するフジテレビ。堀江貴文氏は、過剰な「忖度」が自らの「宝の山」を腐らせていると指摘する。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

『孤独のグルメ』のチャンスを逃し、『やまとなでしこ』など名作ドラマはたくさんあるのに…なぜ地上波で再放送しない?

『やまとなでしこ』は、なぜ地上波で再放送しない? ホリエモンが指摘するフジテレビの問題点とは。※画像出典:PIXTA

ホリエモンこと堀江貴文氏が、元SMAP・中居正広氏のスキャンダルから露呈したフジテレビの内部実態を赤裸々に書く『フジテレビの正体』。

本書から一部抜粋し、同社の再建のために変えていくべき方針についての堀江氏の自論を紹介する。
<目次>

『やまとなでしこ』をなぜ地上波で放送しないのか

フジテレビにまず求められることは「自分の価値に気づく」ことだ。

フジの機会損失の一例を挙げよう。いまは非常に人気のある『孤独のグルメ』というテレビ東京の番組がある。原作はコミックだが、これは『SPA!』というフジサンケイグループの出版社である扶桑社の雑誌に連載されていた。

当然、映像化の話はまずフジに持ち込まれたわけだが、フジ側は「地味だね」と見向きもしなかったという。そして企画はテレビ東京に流れて、結果は見ての通りである。自分たちの持っている「宝の山」の価値に気づいていない象徴的な例だ。

僕が最近、ネットフリックスで観たドラマのなかに『やまとなでしこ』がある。フジテレビが2000年に制作した松嶋菜々子主演のドラマだが、平均視聴率が26.4%とドラマ史上に残るヒットを記録した作品だ。

いまでも観たいと思うユーザーは多いはずだが、地上波では再放送されない。なぜかというと、このドラマが終わった後に、刑事事件を起こし有罪判決を受けた押尾学氏が出演しているからだ。

番組は作品であり、作品に罪はない

「コンプライアンス」上の理由で地上波放送には出演できない俳優も、ネトフリならできるという構図だが、実はそのコンプライアンスというのも実体がないルールなのだ。

中居氏の問題で軒並みスポンサーが撤退した後の2月24日、フジテレビは『国民が選ぶ! 志村けんの爆笑ベストコント30』という番組を放送した。ここで話題になったのが、何度も薬物事件で逮捕されている田代まさし氏がボカシもなく登場していたことである。

田代氏は長らく、フジテレビから存在を消されていた。志村けんのバラエティ番組では重要な役回りを演じていたにもかかわらず、事件を起こしてからは一切、画面に映してもらえなくなった。

しかし、ここにきて突然の復活である。
『フジテレビの正体』(堀江 貴文著 / 宝島社)

フジテレビの正体』(堀江貴文著 / 宝島社)

結局、犯罪タレントを出演させないというのはスポンサーへの忖度に過ぎないわけで、逆に言えばスポンサーのいない番組であれば、何の障害もないというテレビ局の基準が、図らずも露呈されたわけだ。

前科があるからといってテレビやラジオに出演できないという法律はない。フジとは規模が違うが、僕が経営しているラジオ局のCROSS FMでは現在、元参議院議員で有罪判決を受けたガーシー氏が番組を持っている。要は経営陣の判断次第なのだ。

よく言われる話だが、番組は作品であって、作品に罪はない。視聴者としても、田代まさし氏やピエール瀧氏をどうしても見たくないという人は少ないだろう。地上波では再放送NGの番組でも、FODでは十分可能なのだから、今後は後者の考えを地上波にも当てはめればいいのである。

僕は最近、日清食品のCMに起用された。僕も服役経験があるわけだが、起用にあたって、それを問題視しないという考えの大手企業もあるわけだ。何があってもナショナルクライアントが最優先、その方針が果たして時代に合っているのか。フジテレビはよく考えるべきだと思う。
  堀江貴文(ほりえ たかふみ)プロフィール
1972年福岡県生まれ。91年東京大学入学、のち中退。96年、有限会社オン・ザ・エッヂ設立。02年、旧ライブドアから営業権を取得。04年、社名を株式会社ライブドアに変更し、代表取締役CEOとなる。06年1月、証券取引法違反で逮捕。11年4月懲役2年6ヶ月の実刑判決が確定。13年3月に仮出所。著書に『拝金』ほか多数。
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