資産運用

資産が目減りしています。オルカンなど、保有している資産をリバランスするべき?

皆さんから寄せられた投資にまつわるさまざまな疑問や悩みに、なかのアセットマネジメントの中野晴啓さんと、日本経済新聞社の田村正之さんが答えてくださいました。今回は「資産が目減りしているため、リバランスするべきか」についてです。

All About 編集部

皆さんから寄せられた投資にまつわるさまざまな疑問や悩みに、なかのアセットマネジメントの中野晴啓さんと、日本経済新聞社の田村正之さんが答えてくださいました。今回は、トランプショックで資産が目減りしてしまったという方からの相談です。

Q. 資産が目減りしています。リバランスするべきですか?

「トランプショックで資産が目減りしています。ポートフォリオはオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)やインデックス型の先進国株式などです。今からリバランスしたほうがいいのでしょうか?」(アイさん/45歳/会社員)

<金融資産>現金預金:1400万円、リスク資産:1700万円(インデックス型先進国株式700万円、オルカン300万円、国内株700万円)

A. 現預金がしっかりあるので、焦ってリバランスするのは避けるべき

田村:オルカンは、アメリカ株の比率が約6割を占めていて、その中でもテック株の割合が高くなっています。また、為替の影響も受けるため、「ちょっとリスクが高いのでは?」という声が上がっています。そうした背景から、「オルカンを見直したほうがいいのではないか」という議論が出てきているわけです。

その前からも「オルカンばかりに投資せず、日本株の比率をもっと増やしたほうがいいのでは」という意見がありました。

そこで、以下の表を見ていただきたいのですが、昨年末以降の市場の動きを円ベースで見てみると、為替の影響を加味しても、オルカンもS&P500も、日本株と同じくらい下落しています。時期によって多少の差はあるものの、全体的な傾向としては似たような動きです。
日経平均とS&P、オールカントリーの株価変動比較

日経平均とS&P、オールカントリーの株価変動比較


そもそも日本株は、大きな相場の変動があると、特に輸出関連株が打撃を受けて下がる傾向があります。ですから、「オルカンから日本株に乗り換えればリスクが減る」と単純には言えません。

もし「保有資産の中で株式の比率が高すぎるな」と感じるなら、少し株式の割合を減らすのも選択肢の1つでしょう。

とはいえ、リーマン・ショックのような大きな下落があっても、相場はおおむね5年程度で回復しました。ですので、5年程度耐えられるだけの現金を持っているのであれば、慌てて株を売る必要はありません。今回のご相談者は、現金をしっかりお持ちなので、少なくとも今すぐ売る必要はないと思います。

中野:ご相談者は、現金を1400万円もお持ちで、しかもまだ40代ということは、すでに十分な資産を築かれています。そうした状況で、これまでとは少し違う方向――例えば本格的なアクティブ運用にシフトしたいと考えておられるのであれば、それはマーケットから完全に降りるわけではありませんし、1つの合理的な選択肢だと思います。

ただし、今のような不安定な相場の中で最も避けたいのは、「リバランス」という言葉を覚えたばかりで、それを試してみたくなるケースです。

こうした局面では、人はどうしても「リスクを減らしたい」という心理が働きやすくなります。その結果、リバランスによってリスクを抑えようとすると、一般的には「最も下がっている=最も変動の大きい資産」の比率を減らしてしまいがちです。

ですが、そうすると、その後の相場が回復局面になったとき、上昇の波にうまく乗れずにリターンを大きく損なう可能性もあります。ですから、今のように相場の変動が大きい局面では、焦ってリバランスしないほうがよいでしょう。

※本記事の内容は、2025年4月23日に公式YouTubeチャンネル「All About マネー」で配信された内容に基に作成しています。

回答してくれたのは……

中野晴啓(なかの・はるひろ)なかのアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長。
元セゾン投信創業者。長年にわたり「長期・分散・積立」投資を提唱し、日本の個人投資家に向けた資産形成の啓発に尽力。2023年、なかのアセットマネジメントを設立し、個人投資家本位の資産運用をさらに追求している。温かく率直な語り口と、実直な投資哲学に定評がある。著書に『ほったらかし投資はやめなさい』(宝島社)など、資産運用に関する書籍を多数執筆。

田村正之(たむら・まさゆき)日本経済新聞 編集委員。
金融・経済分野を中心に、個人の資産形成やマネーリテラシーに関する記事を多数執筆。分かりやすく実践的なアドバイスに定評があり、多くの読者から信頼を集めている。各種メディアや講演活動などでも活躍し、生活者目線の情報発信を続けている。著書に『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(日経BP日本経済新聞出版)など、他多数。

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