でもその一方で、「最近あまり乗らなくなった」「維持費が思ったよりもかかる……」と悩む方も少なくありません。シニア期は、体力や生活スタイルが変化する中で、「今の自分にとって車は本当に必要?」と見直すタイミングなのではないでしょうか。
今回は、車を持たない暮らしのメリット・デメリットを整理し、自分らしく快適に過ごすためのヒントをお届けします。
車を持つと年間どれくらいかかる?
車を所有するには、本体価格だけでなく、維持費も含めて多くの費用がかかります。例えば、新車の場合は軽自動車でも150万~200万円以上かかることが珍しくなく、中古車でも数十万円は必要です。
さらに、購入後もさまざまな維持費が発生します。
【車の維持にかかる主な費用】
・保険料:年間約5万~15万円
・自動車税:軽自動車で約1万円、普通車で約3万~4万円
・車検費用:2年ごとに約15万円前後
・メンテナンス費:点検や消耗品の交換など、使用頻度や車種によって異なる
・駐車場代:地域差がありますが、都市部では月額1万円以上になることも
・ガソリン代:走行距離や燃費によって変動
これらを合計すると、年間で数十万~100万円近くかかるケースも。そのため、特に都市部に住んでいて車の利用頻度が少ない方にとっては、車を持たないことで大きな節約につながる可能性があります。
車を持たない暮らしのメリット
年齢を重ねるにつれて、「本当に車が必要なのか?」と考え直す方も増えています。ここでは、車を持たないことで得られる代表的なメリットを4つご紹介します。●車を持たないメリット1:お金の節約になる
前述したように車を所有していると、駐車場代・ガソリン代・保険料・税金・車検費用など、維持費が想像以上にかかります。特に都市部では、年間で数十万円にのぼることもあり、家計への負担は小さくありません。
一方、地方では「週に数回しか乗らない」「買い物程度にしか使わない」といったケースでも、車がないと不便さを感じることが多く、手放すのは難しいかもしれません。とはいえ、家族などと車を共有するなど工夫をすれば、所有せずにすむ可能性も。
維持費を抑えられれば、その分のお金を趣味や旅行、健康のための活動など、自分の楽しみに充てられます。
●車を持たないメリット2:身軽に暮らせる
車を持っていると、駐車場の確保や管理、運転時の渋滞や交通ルールへの気配りなど、何かと「車中心の生活」になりがちです。
車を手放すことで、「駐車場がない」「運転がおっくう」といった日常のストレスからも解放されます。行動範囲を見直すことで、地域のバスや電車、徒歩圏内で完結するシンプルな生活スタイルも実現できます。
●車を持たないメリット3:健康的な生活になる
車に頼らず、徒歩や自転車、バスや電車を使う生活に切り替えると、自然と体を動かす機会が増えます。
特にシニア世代にとって、日常的な運動習慣を持つことは、健康寿命を延ばすうえでも大きなメリットです。「歩くことが増えたら体調が良くなった」「運動の習慣がついた」と感じることも多いのではないでしょうか。
●車を持たないメリット4:事故やトラブルのリスクを減らせる
高齢ドライバーによる事故のニュースを目にするたび、「自分も心配……」と感じる方も多いはず。車を手放すことで、運転による事故の不安や、故障・違反などのストレスがなくなり、心に余裕が生まれます。
また、万が一のときに周囲へ迷惑をかけるリスクを減らせるという点でも、車を持たない選択は安心につながります。
車を持たない暮らしのデメリット
車を持たない暮らしには節約や身軽さといったメリットがある一方で、日常生活に不便を感じることも少なくありません。特にシニア世代にとっては、体力や行動範囲の変化とともに、車の有無が生活の快適さに直結することもあります。ここでは、デメリットを4つ挙げます。●車を持たないデメリット1:移動の自由度が下がる
好きな時間に好きな場所へ行ける「自由さ」は、車の大きな魅力です。特に公共交通の便が悪い地域に住んでいる場合、バスや電車の本数が少なく、通院や買い物、趣味の外出にも制限が出やすくなります。
●車を持たないデメリット2:天候や荷物の影響を受けやすい
雨の日や猛暑の日に出歩くのは大変ですし、重い荷物を持って歩くのも負担になります。スーパーのまとめ買いや、友人・家族の手土産など、車があればもっと楽にこなせる場面で不便を感じることも。
●車を持たないデメリット3:旅行やレジャーの自由度が減る
マイカーがないと、気軽に遠出や日帰りドライブを楽しむのが難しくなります。特に、時間に縛られず移動したいシニア世代にとっては、旅行の計画が公共交通のスケジュールに左右されてしまうのがストレスになることも。レンタカーやカーシェアなどを上手に活用しながら楽しむ工夫が必要と言えるでしょう。
●車を持たないデメリット4:家族の送迎や急な移動に困ることも
家族の通院付き添い、送迎など、急な用事に対応できないことがあります。自分だけでなく、身近な人のサポートにも車が必要になる場面は意外と多いもの。こうしたとき、移動手段をすぐに確保できないと、不安や負担を感じやすくなるかもしれません。
まとめ
「車を持たない暮らし」には、維持費の節約や身軽さといったメリットがある一方で、不便さを感じる場面もあります。これまで車が当たり前だった生活から離れるのは不安かもしれませんが、シニア世代は自由に使える時間が増える分、暮らし方を柔軟に見直せる時期でもあります。天候や体調に合わせて予定を調整したり、生活圏を少し縮めて地域に目を向けてみたりすることで新たな楽しみが見つかることも。車が本当に必要かどうか、自分の今の生活に照らしてじっくり見直してみましょう。