元テレビ局員でSNS炎上研究家の加賀敬章さんの著書『元テレビ局員がやさしく解説 SNS炎上防止大全』には、企業や個人がSNS炎上にどう備え、どう対応すべきか、具体的なノウハウが詰まっています。
今回は本書から一部抜粋し、SNS炎上時の初動対応と重要なポイントについて、社会人2年目の美桜さんと炎上対策専門家の先輩による対話形式で紹介します。
まずは冷静に事実確認!
美桜:先輩、企業が炎上したとき、どうすればいいのか、初心者にもわかるように教えていただけませんか?先輩:はい。炎上は、いまのようなネット社会では企業にとって大変な問題だよね。具体的な対応策を詳しく説明しましょうか。
美桜:まずはどんなことに気をつければいいですか?
先輩:炎上したら、まずは慌てず冷静になること。あせってしまうとパニックになってしまうからね。感情的になったり、批判や非難にすぐ反論したりすると状況が悪化することもある。よく「燃料投下」なんていわれる状態になってしまう。
だから、まずは炎上の原因や背景を客観的に見て、事実に基づいた判断をすることが大切なんだ。情報を集めて分析しよう。
社内で事実確認をする場合、全員で解決していこう、という心構えで、聞き取り調査をしていくべきだ。なかには隠したがる人もいるからね。一緒に解決しましょう、という声掛けが必要だよ。
絶対にやってはいけないこと
美桜:まずは冷静な行動と全社一緒になって解決していく姿勢ですね。ところで、公式アカウントが炎上したら、すぐ閉鎖した方が燃えていかないですよね?先輩:いえいえ、炎上したからといって公式アカウントを閉鎖してはいけないよ。それはNGだ。何があっても公式アカウントは閉めず、発表できる窓口を残しておいてください。
美桜:え? 公式アカウントが炎上して批判が続いても、閉鎖しちゃいけないんですか?個人だと炎上したらアカウントをすぐ削除しちゃうと思いますけどね。
先輩:そう、炎上して以降、謝罪する窓口、発表する窓口がなくなるのはまずいからね。謝罪と発表の窓口はホームページだけではいけないよ。
また、炎上した個人アカウントも同じで、謝る窓口を残していくべきだと私は思うけどな。
美桜:なるほど、そうか。そのとおりですね。では、冷静になって事実確認したあと、どうすればいいですか?
迅速かつ誠実な対応がカギ!
先輩:次に、炎上の原因や問題点を把握し、早めに対応策を考えることが必要だ。問題はどこにあるのかを理解し、同じことが起きないようにする対策も考えよう。関係者や専門家の意見を聞くのも有効だろうね。また、とにかく早く、適切に対応すること。できれば対応チームを組織し、情報を集めて適切な対策を実行しよう。公式な声明や謝罪文を発表するのも効果的だけど、ただ謝るだけでなく、具体的な改善策や再発防止策も示すことが大切なんだ。
美桜:そうですよね。早く対応策を考えて、具体的に実行しなきゃいけないですね。ほかにありますか?
先輩:透明性と誠実さも求められるね。情報を隠したり、ごまかしたりすると炎上は悪化し、企業の信頼性も下がってしまう。
率直なコミュニケーションを心がけ、問題の真相や対策を公開したほうがいいね。炎上がおさまったあとも、問題の解決状況を報告するなど、積極的に情報を発信していくことが大事なんだよ。
美桜:そうですよねぇ。悪いことはどうも隠しがちですものね。それはダメなんですね。
予防策や再発防止策はどうすればいいですか?
先輩:予防策も当然重要だよ。炎上のリスクを予測し、事前に対策を講じることが必要だな。
まずは、社内のルールやガイドラインの整備からはじめて、社員に研修や教育を行ったりすることが大切だし、SNSやオンラインコミュニティを監視したりするなど、早めに問題に対応できる体制を整えることも重要になる。
美桜:先輩、わかりやすく教えていただきありがとうございました。冷静な判断、早めの対応、透明性と誠実さ、そして予防策を心がけることが大切なんですね。
先輩:そうだね。これらのポイントを意識して、とにかく炎上に適切に早く対応することが大切なんだよ。 加賀敬章(かが のりあき)プロフィール
office KG代表、SNS炎上研究家、研修講師、企業危機管理士、Webリスク管理士。1958年名古屋市生まれ。大学卒業後、テレビ局に入社。報道記者・営業・企画・総務部長・デジタル推進室長を歴任後、コンプライアンス推進局長に就任。関係会社役員を経て2022年に独立。テレビ局でコンプライアンスの総責任者・責任者を14年間務めた経験を活かして、現在は、研修により全国の組織人の育成に尽力。また、テレビ局時代に目の当たりにした炎上事件をきっかけに、SNS炎上事案や炎上防止策を研究し、企業や個人に向けて炎上対策などを伝えている。