貯蓄

年3%の配当金を狙って運用したい、どうする?

預金しているだけだとインフレで貯金の価値が目減りしてしまうので、せめてインフレに負けない3~4%の利回りで運用したいですよね。本記事では、個人投資家である筆者が、3~4%の利回りを得たい場合、どんな投資プランを考えるかまとめていきます。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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年3~4%の利回りを狙うなら、どうする?

年3~4%の利回りを狙うなら、どうする?

先日、読者より以下の質問が寄せられました。

「年3~4%の配当を狙うなら国内の社債とJ-REITどちらを考えるのがいいか?

日本銀行が金利を引き上げているとは言っても、物価が上がるペースと比べるとまだ遅いです。

だから預金しているだけだとインフレで貯金の価値が目減りしてしまうので、せめてインフレに負けない年3~4%くらいの利回りで運用したいですよね。

本記事では、個人投資家である筆者が、3~4%の利回りを得たい場合、どんな投資プランを考えるかまとめていきます。

金融所得の基本

まずは基本をおさらいしましょう。

僕らが金融所得(配当収入や金利収入)を手に入れようと考えた時、有力な投資対象は3つあります。

1つ目が債券投資です。これは「銀行のように誰かにお金を貸し出して、利息収入を受け取る」やり方です。

お金を貸す対象はさまざまですが、国にお金を貸す「国債」や、会社にお金を貸す「社債」などがあります。

貸し倒れのリスクの低い国債などは金利が低いですが、リスクの高い社債となると金利が高くなる傾向があります。

2つ目が不動産投資です。これは「不動産を誰かに貸し出して、家賃収入を受け取る」やり方です。

不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」と呼ばれます。昔は不動産オーナーになる必要があり巨額の資金が必要でしたが、最近は不動産投資信託(J-REIT)が出てきたので、少額でも幅広い物件に分散投資できるようになりました。

3つ目が株式投資です。これは「企業にお金を投資して、成功した分だけ配当金などの見返りをもらう」やり方です。

お金を「貸す」のと違い、株式投資は返済義務がありません。だから、投資先が倒れてしまうと、元本を回収できなくなるリスクがあるので注意が必要です。

あくまで一般論ですが、株式投資は「ハイリスク・ハイリターン」の投資先と呼ばれています。

年3~4%の配当を狙う方法

ここで本題に戻りましょう。

「年3~4%の配当を狙うなら国内の社債とJ-REITどちらを考えるのがいいか?」

とのことですが、ご質問者様は株式投資は検討していないようにも思います。ですが、選択肢にはなりうるので、ここでは株式も含めたプランを考えてみます。

1つ目が「債券で年率3~4%を狙う」方法です。

実のところ、現在、筆者は社債には投資していません。経験が浅いというのもありますが、アベノミクス以降は低金利の影響があって、「安全な社債は金利が極端に低い」状況が続いてきたからです。

国内債券で年率3~4%を狙うとなると、高金利を受け取れる債券はそれなりに高いリスクのものしかありません。

例えば、「満期が30年後」のような、超長期の貸し出しを求められる債券などです。

超長期債券は、貸し倒れがなく、満期まで持っていれば損はしません。しかし、30年もあれば物価が急激にあがるような事件もありそうですし、そうなると結局インフレ負けしそうです。

足元では短期金利がインフレ率を下回っているので、これからまだ金利上昇は続くように思います。

2つ目が「不動産投資で年率3~4%を狙う」方法です。

不動産投資の場合、足元では利回り5%くらいのJ-REITもあります。これなら、総資産の6割くらいJ-REITを買えば、現金の余力を残しつつ、3%くらいの利回りは出せそうです。

REITの場合は、インフレ局面では賃料を引き上げて分配金が増えていくことも期待できます。

金利が上がった場合はREIT価格が下がるリスクはありますが、長期社債と比べると実質利回りは高いと思うので、筆者であれば「債券か?不動産か?」だったら、不動産の方が好きです。

3つ目が「株式投資で年率3~4%を狙う」方法です。

これは筆者が実践している方法です。株式投資の場合はハイリスク・ハイリターンですが、「投資先が内部留保を使って成長再投資してくれる」という特有の旨みがあります。

日本の上場企業は「利益の全てを配当に出す」ところは少なく、6~7割くらいは成長再投資に回して、3~4割くらいは配当に出す、というのが一般的です。

成長再投資と配当を合わせた利回りを「益回り」と言い、PER(株価収益率)15倍くらいの株価水準だと、益回りが6~7%くらいになります。不動産投資や、債券投資と比べると高めの利回りですね。

もちろん、業績が悪くなると成長投資が無駄になってしまったり、配当が減額されてしまうなどのリスクもあります。

結果論としては、長い目で見れば株式投資は債券や不動産投資よりも高いリターンを得られるが、「よい時期も悪い時期もあり、振り回されやすい投資商品でもある」ということです。

最小限のリスクで、十分なリターンを得る

ご質問者様がまだ若く、何十年も先を見据えた運用を考えている場合などは、インフレ負けしそうな債券や、インフレに連動するだけの不動産を持つより、もっとアグレッシブに成長再投資している株式を買う方がよさそうにも思います。

かくいう筆者は34歳なのですが、「まだまだこれからの人生は長いのだから、守りに入るには早いだろう」と考えています。だから、金融資産の大部分は株式投資に充てていますね。

一方、ご質問者様がもう定年していて、「老後資金はしっかり貯めたけれど、インフレで目減りしてしまうのは避けたい」という考えであれば、大きなリスクテイクは避けたいところです。

「不動産6割:短期債券4割」みたいな対処の仕方もありますし、「不動産4割:株式1割:短期債券5割」みたいに、バランスをとるやり方もある気がします。

筆者としては「ジャンキーな債券をたくさん買う」よりも、「ミドルリスクな不動産やハイリスクな株式をちょっとずつ買って、満足な利回りを確保した上で残りを安全性の高い債券(格付けの高い短期債)にする」のが好みです。

ハイリスクな投資商品はたくさん買えばそれだけハイリスクになりますが、6%の利回りなら資産の半分買えば満足なリターンを得られますから、残りの半分の安全は確保できます。

言い換えると、ローリスクな投資商品についても、たくさん買えば買っただけリスクは高まります。

「リスク2の投資商品を1買う」のと、「リスク1の投資商品を2買う」のでは、結局同じリスクですから、どうやって配分すれば最小限のリスクで、十分なリターンになるかを考えたいですね。
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