着るバッグ的な存在として絶妙なサイズと素材
この「お財布ショルダー」を、筆者がバッグというより服に近いと思う大きな要因は、洗濯機で丸洗いできることと、装着したときの体へのなじみのよさです。「バッグではなく、Tシャツのようにというのが当初からのコンセプトでしたので、洗濯は始めからの必須機能でした。なので、金属部品は最小限にとどめて、ショルダーストラップも長さ調整パーツを付けませんでした。ただショルダーストラップの長さをどうするかはとても難しくて、いろいろ試しながら、どちらかというと大柄な私でも、オフィスの小柄な女性でも違和感のない長さを探りました」と南さん。やはり、開発の段階でも「着るもの」という要素が重要なポイントになっていたようです。
「ショルダーストラップを太めにしたのも、肩への負担を分散させて『着ている』感覚に近づけたいということと、ショルダーバッグっぽさが強くならないようにと考えたからです。私自身が黒いTシャツをよく着るのですが、黒いTシャツと合わせると、より見た目の違和感が少なくなると思います。外側がツルリとしたポリエステル素材なのは、上からジャケットなどを羽織ったときに着やすいようにと考えたからです。中は綿にしてガジェット類などを入れた際に傷が付きにくいように配慮しました」と南さん。
この、マチが薄くてショルダーストラップが太いデザインのおかげで、Tシャツとジャケットの間にこの「お財布ショルダー」を装着できるのが、また便利なのです。特に、胸ポケットのないTシャツなどを着ていてもスマホの出し入れが楽になるのが生活の中でとても助かっています。金具がほとんどないので、壊れにくいのもいいですね。
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