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最近よく聞く「ブレンド米」はどんなお米? 味や質は普通のお米と比べて違いますか?【専門家が解説】

お米の価格高騰が止まりません。政府は備蓄米を放出したり、できる限り安価にお米を提供できるよう「ブレンド米」に力を入れている企業も出始めています。今回は、「ブレンド米の素朴なギモン」について、宇都宮大学農学部助教の松平尚也が解説します。

執筆者:All About 編集部

最近よく聞く「ブレンド米」はどのようなお米?

最近よく聞く「ブレンド米」はどのようなお米?

お米の価格高騰が続いています。政府は対策として備蓄米を放出したり、なるべく安価なお米を提供するために「ブレンド米」に力を入れる企業も出始めたりしています。今回は宇都宮大学農学部助教の松平尚也がブレンド米について解説します。
<目次>

ブレンド米はどんなお米?

【今回の素朴なギモン】
お米が値上がりしてから頻繁に「ブレンド米」という言葉を聞くようになりました。ブレンド米はどのようなお米なのでしょうか。味や質は普通のお米と比べて違いますか?

お米売り場に並ぶブレンド米は主に2種類

【回答】
備蓄米が出回り始める中で、お米売り場の前でどのお米を買うか悩んでいる人を見かけるようになりました。その原因の1つに今までは単一の種類のお米が売り場に並んでいたのに、最近ブレンド米が並び始めたことがあるでしょう。

今のお米売り場に並ぶブレンド米は、大きく2種類に分けられます。1つは政府が放出した備蓄米でこれは国産米となっています。もう1つが輸入米と国産米のブレンド米です。大手小売店では、米販売量を確保するために国産米と国産米+輸入米のブレンド米の販売を始めています。

国産米が使用されたブレンド米は、備蓄米を主体としたもので、米袋の裏には「複数原料米、国内産10割」と表示されています。輸入米とのブレンド米で大手米卸・神明がイオンなどの大手小売で販売するブレンド米「二穂の匠」の米袋の裏には、「複数原料米、米国産8割・国内産2割」と国名も表示されて販売されています。

ブレンド米の味の特徴

現在販売されている国産米のブレンド米は、2024年産米と2023年産米の新しい備蓄米が出回っています。そのためこれまでと同じように炊いておいしく食べられます。

一方、輸入米と国産米のブレンド米で使用される輸入米の多くが米国・カリフォルニア州で生産された「カルローズ」という品種です。この品種は日本のお米の系統であるジャポニカ種の1種なのですが中粒種であり、短粒種である日本のお米とは異なります。

輸入米の単一米でよく販売されているのがカルローズで、軽い食感でパサつきがあるためチャーハンなどに向いているとされます。輸入米と国産米のブレンド米は、日本のお米の食味に合うように配合を考えて販売しているということです。

知らない間にブレンド米を食べているかも

ブレンド米は、業務・加工用米とも言われ、外食チェーンやコンビニ弁当でも使用が始まっています。具体的な事例としては、牛丼チェーンやコンビニおにぎりで輸入米への切り替えが始まっています。気になる人は米加工品の表示を見て購入することをおすすめします。特に輸入米は、輸送において品質を保持するため収穫後に農薬が使用されることもあります。米不足が続く中で消費者がお米についてさまざまな視点から情報を得ることが大切になってきていると言えるでしょう。

【この記事の筆者:松平 尚也】
宇都宮大学農学部助教。持続可能な食料や農業について研究。実際に農業に従事してきた視点を生かし農業政策全般についても研究・情報発信している。専門分野のキーワードは、アグロエコロジー・有機農業・食と農の社会学。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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