前回、40代男性の「妻とは無理」な理由を本音で語っていただいた内容をご紹介したところ、大きな反響がありました。
普段なかなか聞こえてこない男性の本音を聞いてみたいという女性が多かったのかもしれません。そこで今回は、私の主宰する恋人・夫婦仲相談所に寄せられた相談の中から、50代男性の声に絞って「妻とは無理な理由」を紹介してみましょう。
「あの頃の妻ではない」ヨシヒコさん(仮名・56歳)の場合<レス歴20年>
「我が家は息子が3人。一番上と2番目は年子で生まれたので、結婚当初から妻は子育てに悪戦苦闘していました。『どうしても女の子がほしい』という妻の意思で頑張った3人目も男の子。イマドキの若い世代と違い、僕は育休なんか取らなかったし『3兄弟をワンオペで子育て』してくれた妻には感謝しています。いや、当時はワンオペって言葉なんかなかったなあ」とヨシヒコさんは言います。「しかしながら、男子3人の子育ては体力勝負で、結婚当時と比べると妻もかなり変わりました。ジーンズとTシャツが定番で、化粧もほとんどしない。昔はフリルの付いたワンピースとかが似合って、めちゃくちゃかわいらしかったんですよ。僕の方から声をかけたぐらいだから。それが今では、毎朝バタバタ走りながら『お前ら、早くしろ!』と子どもたちに命令口調で怒鳴ったりするんです。あの頃の妻はいない……。って感じです」
3人目を妊娠した後から現在まで、夜の営みは一切なし。3人目の授乳期が終わった頃に何度かヨシヒコさんから誘ったが、そのたびに無視され、一度無理やり妻に触れようとしたところ「キモイ! やめて」と本気で平手打ちを食らったそうです。その時にヨシヒコさんの妻への思いはぷっつりと切れて、そこから20年のセックスレス歴。
ヨシヒコさんにとっては、妻のガサツな男っぽい言動だけでなく、息子への溺愛ぶりも不満。妻はヨシヒコさんの年収に「食べ盛りが3人いたら、これじゃ食べていけない」と給与に文句を言いつつも、息子たちには財布のひもが緩みっぱなし。ヨシヒコさんと約束していたお出かけも、息子に誘われたからと平気でドタキャンするなど、ヨシヒコさんの立場は、本人いわく「人権のないATM」なのだと。
「現在は性欲はないのか? って聞きたそうですね。もちろんありますよ。でも妻に対しては全くありませんね。息子のお母ちゃんていうイメージしかない。風俗も好きじゃないので、もっぱら自己処理です。ただ、僕はこれでも会社ではイケオジ枠で、『飲みに行きましょう』っていう女子社員も多いんですよ。もちろん、コンプラが厳しいご時世ですから複数で一緒に飲むだけですが、家で妻と向き合っているよりもよっぽど楽しい。
ここだけの話、一度だけ30代から続けているテニスサークルで10年ぐらい前に浮気をしたことがあり、その女性とは冗談半分で『互いに子どもが巣立ったら』なんて言いながら別れました。そろそろ彼女に一度連絡してみようかな、なんてね」
家に自分の居場所がなく、ATM扱い。もはや夫婦関係を修復をする余地もない所まで来てしまっているヨシヒコさんの目は、すでに家庭の外に向いているようです。
「妻の発言に深く傷ついた」アツシさん(仮名・52歳)<レス歴1年>
「レスになったのは昨年からです。それまでは、2、3週間に1回程度は、なんとなく僕の方から誘って妻もそれに応じて……みたいな感じで夜の営みがありました。でも、昨年、疲れていたのか途中で元気がなくなっちゃって中折れしたことが2回ぐらいあって、それ以来していません」というアツシさん。元々肥満ぎみ、高血圧ぎみなため、ED予備軍という自覚はあり。最初に中折れした時には、挿入中に急に萎えてしまい、自分でもびっくりしたのだとか。
妻には正直に「ごめん、なんか急にダメになった」と伝え、妻も「あら、珍しい」とその場は穏やかに終わったと言います。
しかし、次の時にはいざ挿入という時にうまくいかず、あわてて立て直しを試みたものの焦れば焦るほどしおれたまま。挿入のタイミングを待っていた妻が我に返り、「何やってるの? まだかな。え? またダメなの。年だからねえ」と笑ったことが、アツシさんにとって深く心に傷を負う結果となりました。
「こっちの様子を見て『疲れているんじゃない?』とか『無理しないで』とかいう発言ならまだしも、『またダメ』とか『年だから』とか言われて、本当に腹が立ちました。妻は、『自分は更年期で濡れにくいから、あなたが頑張って工夫をしてほしい』と自分の都合ばかりを主張し、僕の体の変化に全く配慮がありません。
思わず『こっちだって頼んでやらせてもらってるわけじゃない。転がってるだけの君と違って、体力を使うんだからな』と妻にぶちまけちゃいました」
その後、自分の発言が不適切だったと反省したのか、妻はアツシさんに泌尿器科の受診をしきりに勧めてきたそうです。しかし、一度プライドを傷つけられたアツシさんは、素直に従う気にはなれず、その話を妻がするたびに、話題を変えたり、無視したりしているそうです。
「別にEDは病気じゃないし、妻が言うように加齢で起きるんだから仕方ない。ならば、もうそのままでいいのかなと思っています。薬を飲んでまで妻に奉仕したいとも思いません。妻がどう思っているのか知らないですが、今はいろんなプレジャーグッズがあるんだから『やりたければ自分でやれよ』って思ってます」
加齢による様々な不具合を抱えながら
50代になると決して少なくないEDですが、妻側の対応によって、問題を解決しようとする夫と、問題から目を背けようとする夫に分かれます。ガラス細工のようにもろい男心は、言い方次第で修復不可能になることも。女性としては、EDについての正しい知識と、相手の性格にマッチしたリアクションが大切と心してください。くれぐれも「自分の更年期症状」を性交渉拒否の言い訳にしないことです。
アラフィフは、ホルモン減少による更年期症状と性器官の不具合が起こる時期です。加齢による疲労や性器官の不具合を抱えながらの夜の営みには、「そこまでして頑張らなくとも卒業すれば」という声もあります。
ですが、2人の不具合を分かち合い、フェムケア・オムケアを怠らず、営みで放出されるオキシトシンなど神経伝達物質を操ることが最強の健康長寿につながると思えば、パートナーをより愛しい目で見つめることができる(かもしれません)。
愛情プラス健康。夜の営みを違う視点でとらえると、気付きが生まれます。まさに夫婦の営み2.0の時代です。ライフシフトと並行して、営みにも更新が必要な時代なのです。