貯蓄

トランプ関税でなぜ円高?

2025年4月2日にトランプ大統領が相互関税を発表してから、急激に円高が進んでいます。どうして、こんなことが起きたのでしょうか。本記事では、個人投資家である筆者が、足元で起きていることをどう見ているかまとめていきます。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

  • Comment Page Icon
今なぜ円高が進んでいるの?

今なぜ円高が進んでいるの?

先日、読者より以下の質問が届きました。

「トランプ米大統領が関税をかけるという報道がありましたね。なんで円高が進んでいるんでしょうか? いくらまでいくのでしょうか?」

2025年4月2日にトランプ米大統領が相互関税を発表してから、急激に円高が進んでいます。どうして、こんなことが起きたのでしょうか。本記事では、個人投資家である筆者が考えをまとめていきます。

トランプ関税でなぜ円高?

円高が進み始めたきっかけは2つありました。

1つ目のきっかけは、アメリカの景気後退懸念です。

2025年2月20日、アメリカの小売最大手のウォルマートが決算を発表しました。この決算では今後の見通し(ガイダンス)も発表したのですが、2026年1月期の業績見通しは市場予想よりも低く、売上高の増加率は前年比3~4%にとどまると予想しました。

ウォルマートといえば優良企業ですが、そんな同社でさえ、成長ペースが鈍化しそうなことから、いよいよアメリカの景気が崩れるのではないかと不安が広がっているようです。

アメリカの景気が悪くなると、FRB(連邦準備制度理事会)が金利を引き下げる時期が近づくでしょう。ドル金利の低下はドル売りにつながるため、このような判断でドルが売られ、円が買われ、円高が進んだのだと思います。

2つ目のきっかけは、アメリカへの不信です。

記事執筆時点で状況が二転三転しているため詳しくは割愛しますが、トランプ大統領が相互関税を発表すると「思ったよりも関税の税率が高く、景気後退につながるのではないか」と不安が広がりました。

それと同時に、「トランプ大統領が何をしたいのか全く分からない」「こんな関税、脅しと同じじゃないか」というショックも広がりました。これは景気うんぬんの話ではなく、アメリカへの信頼を揺らがしています。

通貨の価値は国が保証しているため、信頼できない国の通貨は信頼できません。結果としてアメリカの株は売られ、債券も売られ、ドルも売られたのだと思います。

景気後退懸念と、アメリカへの不信感。この2つが、足元で円高が進んでいる理由だと考えています。

アメリカの景気に改善傾向が見られて金利が上がればドル高が進む?

では、今後、どれだけ円高が進むのか?という話ですが、為替の動きを読むのはとんでもなく難しいため、筆者には「分からない」というのが正直なところです。

可能性の話として、アメリカの景気に改善傾向が見られて金利が上がればドル高が進みそうです。また、トランプ大統領が関税についてトーンダウンした場合も、不信感が和らいでドルが買われそうです。

一方で、今回の相互関税がきっかけで景気後退の谷が深まったり、金融ショックなどにつながったりすることがあれば、さらに円高が進みそうです。

つまりドル円の見通しは「状況次第」ですから、注意深く、ニュースを追っていきたいところです。
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2025/4/30まで)を実施中です!

※抽選で20名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます