酸いも甘いもかみわけた大人世代の熟年離婚でも、決断には迷いがつきものです。熟年離婚という選択をすることが、その後の人生を好転させることになるのか、あるいは後悔することになるのか。人生の大きなターニングポイントになるライフイベントだからこそ、迷うのも当然です。
そこで今回は、妻が熟年離婚をすべきかどうか迷った時に考えるべきポイントについてお話ししたいと思います。筆者自身が相談者の女性に熟年離婚をすすめるケースと、とどまるように説得するケースについてもご紹介します。
離婚後にもらえるお金で「損か得か」を試算する
妻が後悔しない熟年離婚をするためにまず考えるべきは、「お金」のことです。経済的な不安がないことが、熟年離婚で後悔しないための最大のポイントといってもいいでしょう。そのくらい、熟年離婚とお金は切っても切り離せないものだと心得ましょう。具体的には、夫婦の貯金、年金、夫の退職金、住まいの価値などといった、熟年離婚後に妻が手にするお金がどのくらいになるのかをシミュレーションします。その結果、自分自身が「半分の取り分をもらっても別れた方が得」あるいは「別れず、夫に働き続けてもらった方が得」のどちらになるのかを見極めましょう。
シミュレーションをする際、注意すべきは「夫の性格や性質も加味する」という点です。
実際にあったケースとして、モラハラ夫を相手に「妻の私には、これだけのお金をいただく権利があります」と主張しても、「オレが汗水流して働いて稼いだお金なのだから、お前なんかに渡すものか」と独り占めしようとすることもあります。妻に財産を渡したくないからと、熟年離婚が決まる前にお金を隠したり使ってしまったりする身勝手な夫もいるのです。
こうした夫の場合、妻がこれまで夫を支えてきたことへの感謝の気持ちはないことも事実。であれば、たとえ「別れず、夫に働き続けてもらった方が得」というシミュレーションの結果が出たとしても、今後の人生の幸せを考えれば離婚した方がいいかもしれません。
その際は、夫に財産を隠されたり使われたりする前にひそかに立ち回り、もらえるお金をしっかり確保します。その上で熟年離婚に踏み切って、新しい幸せな道を歩むという選択肢もあります。
妻が夫よりお金を持っている場合は要注意!
一方、お金のことを考えた時に、筆者が熟年離婚をおすすめしないケースもあります。例えば、妻の財産が夫より多い場合です。長年の結婚生活でコツコツ貯めた貯金や、もともと持っている妻自身の資産があるなど、妻が多額のお金を持っている時は、離婚時にその半分を夫に渡すことになります。
これを損ととらえるか、そこまでしても別れたほうが幸せだと思うかは人によって異なります。ですが実際に、熟年離婚の危機を招いた原因になった夫に、自分のお金を渡さなければならないことが分かったことで離婚を思いとどまる妻も少なくありません。
そんな妻たちに対して筆者が確認するのは2点。
「今、熟年離婚することで『これで自由になれる!』とワクワクするのか、『やっぱり1人はさびしいかも』と及び腰になるのか」という点と、「熟年離婚やお金のことを話し合った時、改心して変わろうと努力する夫かどうか」という点です。
自由になれることに前向きな気持ちになり、改心する夫を信じる気持ちがあるなら、今はまだ熟年離婚を決断するタイミングではないはず。もう少し時間をかけてじっくり考えてからでも、別れを決めるのは遅くはありません。
20年以上も結婚生活を頑張ってきたからこそ、熟年離婚を決断した人にも、思いとどまった人にも、その先に続く人生で今よりもっと幸せになる権利はあります。大切なのは自分自身が納得できる結論を出すこと。後悔しない判断をするためにも、ぜひこの記事を役立ててくださいね。