鉄道

今さら聞けない「きっぷの買い方」超入門【券売機の使い方ガイド】

都会では電車通勤が日常風景だが、クルマ社会の地域では鉄道を使う機会が少なく、きっぷの購入方法に戸惑う人も少なくない。そんな人のために、「きっぷの買い方」や「券売機の使い方」の基本を分かりやすく解説しよう。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

大都会の人たちは、当たり前のように通勤通学などで電車に乗っているが、クルマ移動が主で鉄道利用が日常的ではないエリアは多い。その結果、きっぷの買い方が分からない人もいる。そのような人たちのために「きっぷの買い方」の基本をレクチャーしよう。
<目次>

初心者向け「きっぷの買い方」 

紙のきっぷ

大都市で紙のきっぷ(特に軟券)を買う機会は減っている

鉄道のきっぷの買い方が分からない人が結構いるという。鉄道網の発達した大都会では、当たり前のように通勤通学や所用、買い物で電車に乗っている。もっとも、多くの人はSuica、PASMO、ICOCAなどのICカードを使っていて、きっぷを買うことは少ない。
 
また、地方ではクルマ移動が当たり前になり、ローカル線の廃止が進んだこともあって、生活圏に鉄道が存在しない地域が増えている。首都圏でも、都心に出ることが少なく、周辺のエリアで生活が完結してしまえば、鉄道を利用する機会はたまのこととなるだろう。
 
その結果、鉄道利用が日常的ではない地域では、きっぷの買い方が分からない人も珍しくないようだ。これは高齢者に限ったことではなく、むしろ若者でも、鉄道をめったに利用しないと、ICカードを使用することなど考えもせず、きっぷ売り場の前で途方に暮れてしまうようだ。そんな人々のために、超入門・今さら聞けない「きっぷの買い方」をレクチャーしよう。

運賃は乗車区間によって異なる 

路線図

きっぷ売り場ではおなじみの運賃が書かれた路線図

東急世田谷線や都電荒川線のように、どこまで乗っても運賃が同じ路線(世田谷線=160円、荒川線=170円)は別として、大抵の路線は乗車する区間によって運賃は異なる。したがって、まずどの駅で降りるのかをはっきりさせ、運賃を確認することが第一歩だ。
 
東京メトロの場合、最低運賃が180円で、続いて210円、260円、300円、330円と距離に従って上がっていく。長距離を走るJRは別格として、例えば比較的走行距離の長い東武鉄道の場合は、160円から1590円まで細かく区分されている。
 
そこで、下車する駅まではいくらかかるのか調べるのであるが、これには
 
1)路線図を見る
2)駅名50音順のリストをチェックする、など

複数の方法がある。

路線図や駅名リストを見ながら運賃を確認して券売機できっぷを購入 

運賃表

券売機の横に50音順の運賃表が置いてある

東京メトロの場合は、きっぷ売り場の上方に路線図が掲示されていて、各駅には運賃が記載されている。路線が入り乱れているけれど、これをたどることによって、どの路線に乗って、いくつ目の駅で何という路線に乗り換えるのかが分かるので、乗車ルートの「予習」を兼ねることにもなろう。
 
それが面倒ならば、50音順の駅名リストをチェックすればよい。自動券売機の脇に点字運賃表が置いてあるから、目の不自由な人が使っていなければ、これを参照すれば、その場で検索できるであろう。もっとも、正確な駅名を知っていないと検索できないし、似たような駅名であれば別の路線に誘導されたり、乗換駅や乗り換えてからいくつ目の駅であるのかも判然としないデメリットがある。
 
例えば、東京駅から霞ケ関駅まで運賃が180円と判明したのならば、コインを挿入する場所に小銭(お釣りが必要な200円でもOK)、あるいは1000円札を入れてボタンを押すと、きっぷと釣銭(投入金額が200円の場合20円、1000円の場合820円)が出てくる。
改札機

ICカード専用の改札機には紙のきっぷを投入する場所はない

次に、改札口へ向かい、きっぷを自動改札機に入れれば構内に入れる。改札機にはICカード専用のものもあるので、紙のきっぷの場合は、通過できる改札機が限られることも知っておこう。
 
急いでいて、運賃を確認するのが面倒であるならば、とりあえず最低運賃のきっぷを購入し、下車駅の精算機に購入したきっぷを投入すると不足分を自動計算してくれる。その表示金額分の現金を投入する(お釣りもOK)と精算券が出てくる。それを改札機に通して改札外に出る方法もある。

他社線へ直通する場合の運賃を調べるには 

Suicaカード

Suicaにもさまざまな記念カードがあった

ところで、東京メトロの場合は、銀座線と丸ノ内線以外は東急、東武など他社へ直通する電車が頻繁に走っている。また、同じ地下鉄でも都営地下鉄とは乗り継ぎ割引はあるものの運賃体系が異なる。きっぷを買うときに下車駅を探しても東京メトロの路線図には載っておらず、脇にある別の路線図や運賃表にしか出ていないこともある。鉄道路線についての最低限の知識がないときっぷを買うのに一苦労するかもしれない。
 
やはり、ICカードを1枚持っていれば、複数の鉄道会社をまたいで乗車する場合などさまざまな手間が省けるし、運賃も原則は紙のきっぷよりも安い(東京メトロの場合、紙のきっぷで180円のところICカード利用なら178円となる)。また、ICカードを利用すると、余計なおせっかいをしてくれて、思ってもみなかった割引運賃で引き落とされてうれしくなることも意外に多い。
 
電車に乗るのは年に1~2回だからICカードなんて不要だと考えている人もいるだろう。しかし、ICカードは近くのコンビニやショッピングモール、全国チェーンのスーパーマーケットなどの買い物でも使える。住んでいるエリア内のローカル鉄道がICカードに対応していなくても日常の買い物に使えるのであれば、ICカードを1枚くらい財布に入れておいても損はしないと思うのだが、いかがだろうか?

新幹線など長距離列車に乗る場合 

みどりの窓口

「みどりの窓口」は大都会でも少なくなった

JRの新幹線や特急など長距離列車に乗る場合、新幹線や特急の停車駅には「みどりの窓口」などのいわゆるきっぷ売り場があって、ごく一部の駅をのぞけば係員が常駐している。そのような駅では、希望する列車の下車駅、座席の希望などを伝えれば、係員が発券してくれるので不慣れな人でも戸惑うことはなかろう。
 
小規模の駅では窓口は1カ所しかなく、しかも先客がいて、順番待ちをしなければならないこともある。10分後の列車に乗りたいときなど、慌てることもあるので、余裕をもって向かいたい。

自動券売機で指定券を予約する 

多目的券売機

JR東日本の駅にある多目的券売機

そうした駅でも、隣に自動券売機を備えているところも多い。そのほとんどは多目的券売機であり、使い方に慣れていないと戸惑うことも少なからずあるだろう。画面にタッチすると次々に別の画面が現れ、落ち着いて指示通りに操作すれば、次第に目的の画面に向かっているのが分かるものだ。しかし、結構面倒なためか、不慣れで気が短いと、途中で挫折してしまう人もいるようだ。
 
もし、乗車月日、時間、列車が大体でも決まっていれば、あらかじめ「えきねっと」「e5489」などの予約サイトで申し込んでおけば、券売機では受け取るだけで済む。東海道・山陽・九州新幹線の「スマートEX」なら、発券しなくても直接改札機に手持ちのICカードをタッチするだけで乗車可能だ。今やネットなくしては逆に不便に感じるかもしれない。
 
JR各社は大都市においても有人の窓口を大幅に減らす合理化策を発表しているので、今のうちから多目的券売機に慣れておくのが賢明だと思う。
 
きっぷを購入するのは、いくつもの決まりごとがあるので、一見、複雑に思えるけれど、慣れてしまえば、それほど難しいことではない。モバイルSuicaなどを含めICカードを利用することも視野に入れて、まずは失敗を恐れずチャレンジしてみよう。

※運賃はすべて大人料金
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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