医師に人気(?)の不動産投資
社会的信用の高い医師は融資の審査にも有利で、不動産投資との相性がいいとされています。特に「節税」「私的年金づくり」として不動産投資の活用が進んでおりますが、資産形成において利用しやすい「生命保険」や「証券投資」と比較してリスクが非常に大きく、安易に飛びつかないことが重要です。NISAやiDeCoや生命保険と大きく違う!確実に認識すべきポイント
不動産投資にはもちろんメリットがありますが、NISAやiDeCo、生命保険を活用した資産運用とは異なるデメリットもあります。簡潔にまとめると以下のようなものがあります。<メリット>
- 不動産を購入後、所得を落とすことが可能な場合が多いこと
- 不動産をうまく活用できれば、キャピタルゲイン(売買益)やインカムゲイン(家賃収入など)が得られること
<デメリット>
- 大きな借金をして大きな買い物をすることに対するリスク
- 投資時期を間違ったり、キャッシュフローがマイナスの物件を購入したりしてしまうとキャピタルゲインもインカムゲインもなく、節税を加味しても大きく損すること
- 老朽化していき、将来は「負動産」となる可能性があること
現状では、以前に比べ不動産価格がかなり高騰しています。安く購入できた場合はいいと思いますが、現状でキャッシュフロー(分かりやすく言うと、毎月の収支)がマイナスになるような高額な新築物件の購入などを勧められている場合は、十分に気を付けたほうがいいと思われます。
不動産投資をするなら、「負動産化」するリスクを考えて
投資用不動産に対する団体信用生命保険を「生命保険」の代わりとして営業している業者もいますが、投資用不動産そのものは老朽化するものですから、老朽化せず確実に支払われる生命保険とは本質的に大きく違います。団体信用生命保険は、「ローンを組んだ人が亡くなったら、ローンがタダになる仕組み」の保険です。したがって、投資用不動産を取得するためのローン自体は相殺されたとしても、その物件に住み続ける人がいなくなり、家賃が入らなければ、固定資産税分のみマイナスになり、投資用不動産は「負動産」となります。
そういった意味では、いくら団体信用生命保険がついていたとしても、投資用不動産を利用した「投資」は、資産形成における生命保険や投資商品とは別物と考えられます。
少子化が進む国で老朽化していくマンションに必ず人が何十年も住み続けてくれるのか、というとそんなわけありませんよね? 少子化が進んで不動産価格が落ち、築30年のマンションと築10年のマンションが同じ家賃だったら、30年のマンションに住んでくれる人は稀なはずです。家賃が下がっていったり、誰も住まなくなったりすることは、現実的にありうることではないでしょうか。
今後、不動産価格が上がり続ける場合はいいですが、価格が下がることや、「負動産化」するリスクを考えての購入をお勧めいたします。
詐欺まがいの不動産を買わされるケースも
不動産投資の業者は、長く続けてもらわないと利益が出ない生命保険会社やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)法人と違い、「売ったら利益確定」という世界のため、詐欺まがいの販売方法も横行しています。詐欺まがいの不動産を買わされた医師・パイロットらの本当にあった怖い話については、また別途記事にしていこうと思います。