男のこだわりグッズ

ネガティブな印象を払拭し大ヒット!三菱鉛筆が“あえて”挑戦した水性ボールペン「ZENTO」の開発秘話(2ページ目)

三菱鉛筆の「ZENTO」シリーズは、新開発の水性インクを搭載した、「書く」という時間を大切にしている人のためのボールペンです。久しぶりに“水性ボールペン”として大ヒットとなった製品の開発の裏側をお聞きしました。

納富 廉邦

執筆者:納富 廉邦

男のこだわりグッズガイド

水性インクのネガティブなイメージを払拭し、長所はより伸ばした新インク

新しい水性インクの筆記

従来の水性インクのイメージを払拭した新しいインクは、水性であるということを意識しないで使えるようになったと感じる

実際、「ZENTO」のように粒子の大きい顔料を使った水性インクは、染料型の水性インクに比べて、すぐ紙の中に染み込むのではなく紙の上に乗っている時間が長いので裏抜けはしにくいのです。また、くっきりとした線が書けるのも顔料型のインクの特徴です。加えて、今回のインクでは、乾燥時に紙に染み込む粒子を互いに引き寄せてインクの広がりやにじみを抑制する「引き寄せ粒子」が配合されています。

これらによって、にじみや裏抜けの問題はかなり解消されています。実際に書いていても、染料型のスタンプなどははっきりと裏抜けする紙でも全く裏抜けしませんし、線はくっきりとにじみのない筆跡になっていると感じました。

また、「POA界面活性剤」というクッション成分をインクに配合。これがインクフローを向上させて、もともとの水性インクの良さであるスムーズで気持ちいい書き心地を最大化させています。0.38mmのような細字のペンでも、引っ掛かりがないだけでなく、伸びやかに書けるのは、このインクフローの良さとサラサラした粘度の低いインクの合わせ技なのでしょう。

「その『気持ちよさ』のような部分が、『デザートのような時間』という感覚とリンクするのではないかというのが、今回あえて水性インクの新製品を出した背景です」と板津さん。

性能や機能を売るというよりも、「書くという時間」を豊かにするツールとしての筆記具を売るという考え方だからこそ、このシリーズは日常的な事務用筆記具としての「スタンダードモデル」、気分に合わせた色の軸を選べる「ベーシックモデル」、金属軸の重さと手触りを楽しむ「フローモデル」、キャップ式で書くこと自体をじっくり楽しむための「シグニチャーモデル」の4つのモデルが用意されています。

>次ページ:ユーザーそれぞれの「心地よさ」に寄り添うためのラインアップ
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