「最高益」の見出しは、お宝株発掘のサイン!?
渡部さん:会社四季報の中身は、銘柄コード順に1社につき1ページで掲載されています。1ページは14ブロックに分けることができ(下図)、それぞれに重要な情報が詰まっています。ただ、投資初心者が全企業の全ての項目に目を通すのは時間も根気も必要です。ですので、まずはブロックAで企業名を確認した後、ブロックBの最初の見出しに注目してください。
四季報を14のブロックに分けて読み解く(引用:『そろそろ投資をはじめたい。(サンマーク出版)』)
私が集計したところ、過去3カ月間で最もよいパフォーマンスを示した見出しが「最高益」の7.9%。続いて「連続増配」(6.4%)、「増額」(5.1%)という結果になりました(下図)。私が集計したところ、過去3カ月間で最もよいパフォーマンスを示した見出しが「最高益」の7.9%。続いて「連続増配」(6.4%)、「増額」(5.1%)という結果になりました。

過去3カ月間の見出し別パフォーマンス(渡部氏のデータをもとに作成)
この間、主要株価指数のTOPIX(東証株価指数)のパフォーマンスは5.8%でした。「最高益」の見出しがついた銘柄は113銘柄ありましたが、それらの平均がTOPIXの5.8%を2%超も上回ったことになります。
3カ月間でTOPIXを2%以上上回るというのは、運用の世界ではスゴイこと。それが実際に起こっているわけですから、「最高益」という見出しが投資の大きなヒントになっていることは間違いありません。ちなみに、過去1年間で集計しても、「最高益」の見出しが付けられた銘柄のパフォーマンスが最も優れていました。
社名とともにブロックAに記載されている【特色】欄の事業内容も要チェックです。身近なところで起こっているブームや変化に関連する企業を見つけることができれば、株価の大化けが期待できるかもしれません。
2024年はアサイーというフルーツが大ブームとなりました。アサイーの輸入販売を行なっているフルッタフルッタ<2586>という会社の株価は、昨年8月から11月にかけて急騰し、わずか3カ月で10倍高を達成しました。当時、若い女性の間では、すでにアサイーブームは周知されていましたので、同社がアサイーを扱っていることに気がつけば、株価の上昇を先取りすることができたはずです。もちろん、ブームというのは一過性のもので、乗り遅れるとリスクもありますが、投資の大きなヒントになることは間違いありません。
(文:三枝 裕介/写真:佐坂 和也)
教えてくれたのは……渡部 清二さん(わたなべ・せいじ)
1967年生まれ。筑波大学卒業後、野村證券に入社。野村証券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。28年以上の継続中で、2024年12月発売の新春号をもって、計109冊を読破。2013年に野村証券を退社し、四季リサーチ株式会社を設立、代表取締役に。2016年に複眼経済観測所(現・複眼経済塾)を設立。「会社四季報オンライン」では、コラム「四季報読破邁進中」を連載。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一『四季報』を愛する男」と紹介された。
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